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炎上マーケティングはマスマーケティングの代替になりうるのか

「誰もテレビなんかみてないぞ!! 若い人が新聞をとるわけないじゃないか!!」
「もう、マスなんて概念はなくて、消費者一人一人にちゃんとしたレコメンドした広告コミュニケーションしか効果がでないぞ!!」
「ネットフリックス最高!! 全裸監督神!! テレビは規制ばかりでオワコン!」

ここ5年くらいよく聞く言葉。こういう事を言っているのは、特にSNSやYouTubeを主戦場にファンの心をつかんでいる、いわゆる「インフルエンサー」と言われている人達が多いと思う。
耳にタコができるくらい聞いてるし、たくさんの本でそう書いているから、僕も、「やっぱりSNSはすごいんだな、マスメディアだけで物が売れる時代はおわったんだな」と信じているし、たぶん間違ってはいない。

一方で、僕は最近のSNSを中心としたマーケティングに対してとっても憤っている。あのDJとか、あの党首とか、あの王子がSNSで注目を集めていることに悲しんでいる。

彼らは、いつも炎上している。炎上して、imp数や再生数をかせぎ、フォロワーを増やしている。そして、炎上すれば勝ちといわんばかりに他人の感情の深い部分をかき回して、それを利用して人々の注目をあびる。

そして彼らははいつもインターネットの素晴らしさを語り、TVをレガシーとして扱う。

貼るのも嫌なのだけれど、例えばあのDJのこれだったり。

あの王子のこれだったり。


マスメディアをオワコンと言い、闇と断罪する。


さて、ここでタイトルに戻る。

炎上マーケティングはマスマーケティングの代替になりうるのか?

人気者達は、テレビをレガシーとして扱い、SNSで炎上を作る。マスメディア対SNSメディアの二項対立を作り出し、自分たちが最前線のマーケティングを行っていると風潮している。ただ、僕はそこの対立に違和感を感じる。そして、その違和感こそ、炎上後の彼らの行動がしめしている。

あのDJはテレビ朝日の「しくじり先生」への出演が決定(のちに差し替え)しいていた。

あの党首は炎上を起こすのは誰よりも目立ちマスコミで扱ってもらうためだと言っている。

あの王子は「なぜ、TVが扱ってくれないのか」と嘆いている。

炎上商法の先にあるのは、彼らが下げずんでいるマスメディアでの取り扱いだ。彼らが燃やして燃やして、たどり着いたところにはTVがあり新聞がある。

子供でもわかる二枚舌じゃないか。

そういえば、ラグビーの視聴率がすごかった

今年の秋はとてもラグビーが盛り上がり、日本中がTVをみてブレイブ・ブロッサムズを応援した。ビデオリサーチによると、予選の4試合でリアルタイムでTVを視聴した人は推計約7,903万人らしい。僕の知っているかぎり、トップYouTubeでもリアルタイムでこれほどまでの再生をさせられる人は、ほぼいない。

マスメディアとインターネットメディアは二項対立ではなく、役割の違いでしかないのだ。
※特に少子高齢化の日本ではTVメディアの役割はまだ終わっていない。

僕はもう一度インターネットのマーケティングについて考えたい

コミュニケーションディレクターのさとなお氏が書いた「ファンベース」という本に、これからのマーケディングは、会社やサービスの価値を共有したユーザー(ファン)とのコミュニケーションを何よりも大事にして、中長期に好きになってもらうコミュニケーションをすべきだと書いている。短期的には効果が発揮しないかもしれないが、ファンベースでの施策が最終的な売り上げ向上につながると述べられている。僕はその考え方がとても好きだ。

SNSで炎上をおこし人を動かし、マスメディアを巻き込んで焼き畑的な話題を作っても、皆3日後には忘れている。そんなポピュリズム的なマーケティングをしても何も変わらない。

だから、皆、炎上商法なんてやめて、SNSは中長期的なコミュニケーションのために使いましょう!

と、ここまでまるでマーケティングについて書いたふりをしているが、僕はまだ本音を言えていない。

本当はただ僕が嫌なだけなのだ。

インターネットが誕生し、SNSができて僕みたいなリアルでのコミュニケーションが苦手な人間がやっと、なんとか人とつながる事が出来る時代になったと思っていた。目の前のスマートフォンは僕を誰かとつないでくれるツールだと信じていた。
そんな中、僕の目の前では、目立てばいい、お金をまけばいい、そんな人たちが偉そうにマーケティングを語っている。そして、それは実際に機能してしまっている。
これからの未来、そんなコミュニケーションが横行する時代になってほしくない。人の感情を逆なでするのが上手な人達が目立つ社会で生きていけるほど僕は強くはない。

泥臭くても、丁寧に一つずつ相手に気持ちを伝え、思いが広がっていく時代に僕はなって欲しい。

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