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夜のお話です。 闇の中、布団の中、月に照らされた中で、昼とは違う一面を見せて大胆になったり、記憶を呼び起こして懐かしんだりするようです。
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2020年10月の記事一覧

ハロウィン

ハロウィン

 カルディの店先が黒とオレンジに染まる。おばけの模様のチョコポップ、ドラキュラやゾンビのデザインのクッキー。そこら中のパッケージにはジャックオーランタンがにやりと口角を上げている。明日はハロウィンだ。

 賑やかな流れにつられて、オレンジ色の大きなキャンディを手に取る。子どもの頃は、人の顔くらいの大きさの棒付きキャンディを一日中なめているのが憧れだった。勢いで取ってしまったから籠に入れるしかなくて

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無垢な瞳

 あの、目よね。ちょっと鋭く光らせているけれど、よく見ると丸っこくて、綺麗な色をしている。いい大人なのに、そういう目をしているひとがたまにいる。自分に自信があって、努力もしていて、でも、実は結構純粋なの。

 私はそういうひとにさっと寄っていって、得意の「褒め」を実践する。褒められるとやっぱり嬉しいのね。自分の話を始める。嬉しそうに聞いてあげていれば、ほら。いつの間にか、私が店のナンバーワンってわ

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明日地球が滅ぶなら

明日地球が滅ぶなら

 家を出る前、莉緒が手を掴んで言った。

「もし、明日地球が滅ぶなら、何がしたい?」

忙しい朝に何を言い出すんだと軽く顔をしかめると、悲しそうに眉を下げて手の力を弱めた。だから僕は、溜め息を飲み込んでから答えた。

「特に、何もしたくないかな。行ってきます」

 あのとき莉緒はどんな顔をしていただろう。

 その日は一日大変だった。仕事が忙しくて、帰り際にチームの一人がひどいミスをしたので、みん

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月夜の笑い声

月夜の笑い声

 くすくす、くすくす。

 カーテンの隙間から差し込む月明かりにぼうっと照らされた白い壁に、カラフルなジグソーパズルが二つ掛かっていました。その下は、横に長いカラーボックス。三段あって、上の二つは細かく区切られています。絵本とか、ミニカーとか、お人形さんのお家とかが、綺麗に整頓されて入っていました。一番下の段は横の仕切りがなくて、互いにもたれあったぬいぐるみたちが笑っています。

 くすくす。

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