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金とき
2021年9月22日 17:22
天井、低いなぁと、頭上に青色のネットが張られた狭い構内を歩く。外から丸見えのスターバックスで、英梨は小説を読んでいた。窓越しに手を挙げると、ぱたりと閉じて立ち上がる。「おっそいよっ」 金色のしっぽを振って走り寄ってくるところは実家の犬に似ている。俺は思わずふっと笑った。「何笑ってるの。あ、私ちょっとチャージする」「うん」 英梨は乗り越し精算をしようとして、あ、と残高を指さした
2021年9月14日 18:24
このお話は カルピス の続編です。このお話だけでも読めます。 ワイングラスを傾ける。視線が痛い。たいして仲良くもなかった大学の同級生たちが、私を気遣うような優しげな視線を送ってくる。 ふう、と息をつく。それからにっこりと笑ってみせた。隣に座る日向さんに、次お色直しかな、わくわくするね、なんて、言ってみせる。日向さんは、ほんとね、花嫁さんどんなドレスかな、と言う。 ワインはあまり好きでは
2021年9月10日 18:07
下沼茜音はクラスで評判の美少女だ。男子たちがこぞって優しく声をかけるほどに人気がある。でも彼女は、彼らにあまり興味がないらしい。「栄吾、そこの低音小さい」 俺が失敗をすると、すぐに手の甲をつねってくる癖がある。痛いからやめてほしい。「何見てんのよ。集中して」「ごめん」 俺はため息をついた。ぷるぷるの黒い髪の毛が腕に当たって集中ができないのだ。茜音の機嫌を損ねないように、できる
2021年9月5日 17:53
窓の外はオーシャンビューで、まっすぐな地平線が海と空の青を区切っている。空だってすごく青いのに、海のほうが濃い青なんだな、と私は初めて知る。それを写真に撮ろうとしてスマホを取り出す。あれ。 あれ、ここ、ワイファイ繋がるじゃん。やった。 気が変わって、スマホを横に持ってゲームを始めた。今はイベント中だから、少しの時間も無駄にできない。最近はいろいろ放り出してゲームばかりしている。 ワイ