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【保存版】デジタルマーケティングで使える「定量・定性調査手法のまとめ」

こんにちは、Media Theaterの柳瀬(@theater_media)です。
デジタルマーケティングの戦略立案から、Webサイト・LPのCVR改善などの実行支援までしております。
また、マーケティング未経験でも体型的にデジタルマーケティングの知識を得て、スキルアップしてもらうための活動にも注力しており、社外での研修講師や、日経ビジネススクールで「デジタルマーケティング戦略立案講座」を展開しております。

今回は、デジタルマーケティング戦略立案における「定量・定性調査」の手法について解説します。
顧客課題の把握と施策の仮説立てを行うためには、定量調査と定性調査の両輪でリサーチすることが重要です。

「定量・定性調査」の手法について

デジタルマーケティングにおける定量・定性調査の代表的な手法としては、

■定量調査
・アクセス解析
・キーワード分析
・広告パフォーマンス分析
・過去のマーケティング施策の分析
・アンケート調査
・顧客データ×販売実績分析

■定性調査
・ユーザー行動観察調査
・ヒューリスティック評価(専門家が経験則にもとづいて課題を抽出する)
・グループインタビュー
・デプス調査

などが挙げられます。

特に、ユーザー像の把握、集客〜WEBサイト流入まで課題分析および改善方針の策定を行うには、
①アクセス解析
②ユーザ行動観察調査
③ヒューリスティック評価(専門家が経験則にもとづいて課題を抽出する)
の3種類が有効なアプローチです。

調査手法は様々ありますが、初期の段階では、全体のアクセスデータから改善における重点領域を明確にした上で、ユーザー行動観察により顧客ニーズと課題の理解へと進むステップが最適です。

よって今回は、①アクセス解析と、②ユーザ行動調査について解説します。

定量調査①顧客データと販売データ分析

定量調査の一つ目は、顧客データと販売データ分析です。

ユーザー属性を把握するデータ項目の代表的な整理として、年齢・性別・職業などのデモグラ情報、居住地のジオグラフィック情報、性格やライフスタイルのサイコグラフィック情報などがあります。

最初はデータを見すぎずに、ざっくりの顧客理解として捉えましょう。
また、売上構成や、顧客属性、チャネル、シーズンなどの掛け合わせも見ていくことで、より多角的に状況を把握することができます。
ABC分析、バスケット分析、RMF分析など、分析手法も様々ありますので、興味のある方はぜひ調べてみてください。

ここで、チャネル別の販売実績と顧客属性のクロス分析によって、改善の糸口を見出したシニア向けの健康食品の事例を紹介します。

販売チャネルはTV通販とEC。
TV通販を含めた全体の年齢ボリュームは「70~80代」がメインボリュームであったために、ECでもターゲットである70代に合わせたWEB広告やランディングページを設計していました。
しかし、TV通販とECとチャネル湧けてデータを分析すると、ECではTV通販よりも若い年代層「50代~60代」がボリュームゾーンであることがわかりました。
ここから、集客施策やクリエイティブなども年齢層にフィットするように改善し、成果を上げることに成功しました。

この結果から、販売チャネル別やユーザー属性別で販売実績データを捉えることで、改善施策を検討することができます。
特にチャネル別に顧客や売れ筋商品が異なるケースはあり、それを把握することで最適な施策が打つことができます。
チャネル別に分けることで、正しく顧客を理解する事例と言えるでしょう。

定量調査②アクセス解析

定量調査の二つ目は、アクセス解析です。

デジタルマーケティングにおいては基本の定量分析手法なので、通常の運用で確認している方も多いかもしれません。
戦略立案の初期の段階では、全体のアクセスデータから改善における重点領域を明確にすることが重要です。

どのチャネルから、どのページに入って来て、何を見て、どこで離脱、もしくは購入してくれているのか。
この一連の流れをメインルートから把握していくことが最初のステップです。

全体の流れを把握した後は、主要チャネルのクリエイティブや個々のページの遷移など詳細をさらに深掘りしていきます。

アクセス解析の応用編として、入り口・出口分析があります。
集客経路とユーザーの流れの大枠を把握することで、

・成果のレベル感理解
・正しい改善仮説設計
・優先度付け

へと繋げることを目的とした分析です。

アクセス解析だけでなく、キーワード分析などの分析も追加で必要なので、少々難しいと感じた場合は、通常のアクセス解析で問題ありません。
また、実施する場合も、データを細かく見過ぎず、全体構造の荒っぽい把握が非常に重要です。

入口分析としては、

・どのチャネルから流入したのか?
・つまり、どこから人がたくさん入ってきているのか?その人たちはどんな媒体やキーワードで入ってきているのか?
・どのページから見始めたのか?
・どのルートにどれだけの費用が投下されているか?

また出口の分析としては、

・どのルートがゴールに結びついて(あるいは離脱を招いて)いるのか?
・つまり、どのページ経由でどの商品ページで成約・コンバージョンしたのか、または離脱したのか?

を把握することで、ユーザーの検討行動上での改善すべきポイントが明確になります。

そして主要なルートが見えてきたら、成果改善の仮説を立てるために、主要なルート別に集客量とコンバージョン率がどの程度伸びるか試算していきます。

ある主要なルートのコンバージョン率を改善すると、数字がどう変化するか、どのくらいのインパクトがあるのか?この一連の試算を大雑把にしていきます。

すると、今までやろうとしていた施策が実は成功してもインパクトが少ないものだった、ということに気づいたり、もっと大きく効きそうな部分を発見したりと、施策案に向けて重要な示唆を得ることができます。

定量調査③施策データの分析

定量調査の三つ目は、施策データの分析です。

意外と忘れがちなのですが、施策の振り返りはとても大事な活動で、有責な調査です。
過去の失敗を繰り返さないようにしながら、過去の効果的な施策のエッセンスを把握することで、仮説構築に大いに役立ちます。

例えば、広告を出す、ページを作る、コンテンツを追加するなど、日々の活動がどれだけビジネス貢献につながったのかだけを見ます
この時、細かい導線を見る必要はありません。
もちろん見るに越したことはありませんが、忙しい中で時間をかけるほどの見返りはありません。

ここで一つポイントになるのが、施策別に見るということです。
ビジネス貢献だけ見るという話をすると、全数は見ていますと反論されることがよくあります。

しかし、全数で見ていても、どの施策が効いたかはわからないため、改善にはつながりません。
必ず、施策別のビジネス貢献を見るようにしましょう。

定量調査④WEB広告レポートの分析(検索連動型広告)

定量調査の四つ目は、WEB広告レポートの分析です。

検索連動型広告やリスティング広告では、大枠として、

・どのようなキーワードグループが、どれくらいの流入を作っているのか?
・キーワードに対して適切なランディングページが表示されているのか
・つまり、顧客の検索ニーズに対して、最適なコンテンツやクリエイティブが用意されているか?

といったことから見ていきます。

このキーワード別の成果を見るだけでも顧客の理解に役立ちますので、ぜひ確認してみてください。

事例紹介「英会話」

ここで、事例の紹介です。

検索するキーワードによってユーザーの知りたいニーズは異なるため、検索キーワードの文脈別にランディングページを最適化することで成果を上げる施策事例です。

例えば、「英会話+」の場合、英会話を始めてみようかな?と、ライトな顧客文脈から、そもそも学習方法から検討している文脈が想像できます。
それに対して、仮にオンライン英会話の事業者だとしたら、オンライン英会話でできることの世界観や通学型とオンラインの比較の中での優位性を訴求しています。

「オンライン英語+」だと、学習スタイルとして「オンライン英会話」に前向きになっているが、オンライン英会話内での自分にあったサービス比較検討したい文脈になります。
それに対して、オンライン英会話における実績や、オンライン英会話ならではの不安払拭コンテンツを用意します。

ブランド指名だと、検討サービスは絞り済みで、より詳細な情報知りたい、決めてが欲しいので期間限定のお得なキャンペーンの訴求を前面に訴求しています。

このように、キーワード別でランディングページの最適化することで、成果を上げることは検討の余地があります。

定量調査⑤アンケート調査

定量調査の五つ目は、アンケート調査です。

王道の手法なので、説明は不要かと思います。
基本把握項目に記載があるように、何を見て知ったか、普段の情報収集方法、検討した理由、購入した理由、比較したものなど、様々なことをピンポイントで聞くことができます。
注意点としては、設問の言い回しや順番などだけでも、答えを左右してしまうのと、顧客の深い洞察まではできないため注意が必要です。

定量調査⑥SEOの現状把握「Googleサーチコンソール」

定量調査の六つ目は、SEOの現状把握です。

自社のSEOの状況を知るための代表的なツールは、グーグルが提供しているサーチコンソールと呼ばれるものです。
キーワードの順位、クリック率などの情報はもちろん、Index数などの情報も見ることができます。

また、SEOにおいて明らかに主要キーワード検索ヒットされない場合などは、ペナルティを受けている可能性があり、そのようなペナルティチェックも一部可能になります。

定性調査の代表的な手法について

改めて、定性調査の代表的な手法としては、

・ユーザー行動観察調査
・ヒューリスティック評価(専門家が経験則にもとづいて課題を抽出する)
・グループインタビュー

などが挙げられます。

特に、ユーザー像の把握、集客〜WEBサイト流入まで課題分析および改善方針の策定を行うには、
①アクセス解析
②ユーザ行動観察調査
③ヒューリスティック評価(専門家が経験則にもとづいて課題を抽出する)
の3種類が有効なアプローチだと先述しました。

その中でも、定性調査においては、②ユーザー行動観察調査は、普段直接見ることができない顧客の本当の行動を徹底的に観察し、改善のうち手を確実なものにする有効な調査手法です。

それでは、「ユーザー行動観察調査」について解説します。

定性調査①ユーザー行動観察調査_概要

定性調査手法の「ユーザー行動観察調査」とはどんな調査なのか?
インタビュー調査などはイメージつくかもしれませんが、「行動観察?」と疑問に思われた方もいるのではないでしょうか。

ユーザー行動観察調査とは、「ユーザー視点を起点とした課題点・改善方針の把握」を目的に、実際のターゲット顧客をモニターとしてリクルーティングし、「WEB上でのユーザーの利用行動」を観察する手法です。

競合と比較しやすく、セルフサービスチャネルであるが故に即座に離脱することができるオンライン環境では、事業者の想像以上に、ささいな迷いやユーザビリティのつまづきでユーザーはサービスやサイトから離脱します。
ユーザー行動観察調査は、普段直接見ることができない顧客の本当の行動を徹底的に観察し、改善の打ち手を確実なものにする有効な調査手法です。

何がわかるのか?というと、

・ターゲットユーザー像やユーザニーズやユーザー行動パターン
・有効なコンテンツや機能、ワーディング
・実際にオンライン上で検討する層がどこでつまづいたのか?それはなぜなのか?

などを把握することができます。
それにより、デジタルマーケティング上の課題を洗い出すことができます。

数名の調査で課題がわかるものなのか?と疑問に思われるかもしれません。

1人60分程にわたって、徹底した行動観察調査を実施しますが、実際5人の調査で約80%の課題抽出が可能と言われております。
そのくらい有益なインプットが得られる調査です。

定性調査①ユーザー行動観察調査_実施内容

では、代表的な「ユーザ行動観察調査」で実施内容をご説明します。

顧客に下記のことを行ってもらいます。

・情報収集における自由検索行動(グーグル検索してもらう)
・現行サイト、また実際のアプリやWEBサービスを見てもらう
・競合サイトを見てもらう

これらによって、

①顧客の検討プロセスを把握することができる
例えば、人事の研修担当者に、来年の新人研修を検討しているとして、実際どのように情報収集しますか?
普段通りにやってみてください。と言って、PCなどで検索してもらいます。

そうすることで、最初にどんなキーワードで探し始めるのか?
どんな比較サイト、ポータルサイトでどんな情報を知るのか?
どんな競合と比較検討するのか?想定している競合ではない競合も発見するケースもあります。
このようにして、検討プロセスを把握することができます。

②情報収集ニーズ・課題解決ニーズを知ることができる
どんなお困りごとでどんなサービスや解決手法を探すのか、情報収集や課題解決におけるニーズを把握することができます。

③顧客視点でのサービスの優位性や離脱するポイントを把握できる
現行サイトを初めてみる場合は、

・サービスのメッセージに対して、どんな反応をするのか?
・どんな期待して、どんな訴求が刺さっているのか?
・逆にどこで戸惑い、離脱するのか?

顧客の立場に立って、「何に」「なぜ」期待し、戸惑うのかを把握できます。

④競合のサイトのサービスの優位性や離脱するポイントを把握できる
同じように、競合サイトを自由に見てもらいます。

・競合のサイトのどのポイントが強みなのか、活かせる部分はあるのか?
・競合サイトもどのポイントで離脱しているのか?

このように、一通り調査をすることで、WEBサイトを閲覧する前の顧客の文脈から、実際の情報収集中の期待や不安、行動要因が明らかになり、課題・改善すべき方向性を見い出すことができるのです。

定性調査①ユーザー行動観察調査_ポイント

ユーザー行動観察調査を行う上での重要なポイントがあります。
それは、顧客の「意見」は鵜呑みにせずに、「状況」や「行動」から洞察することです。

なぜなら、

・人間は相手の期待に応える傾向がある
・人間は自分のニーズを言語化して認識していない
・意見は実態と乖離する可能性が高い

といった特徴があり、意見より行動を見るほうが確実に心理を捉えることができるからです。

お皿の新商品開発におけるグループインタビューの、有名な事例をご紹介します。

ある食器メーカーが新商品開発を行うにあたり、いくつかの試作品を作ってユーザーにグループインタビューを行いました。
すると、インタビュー会場では満場一致で黒い四角いお皿が選ばれました。

その後、インタビューのお礼に好きなお皿を持って帰ってください、と伝えたところ、何を持ち帰ったと思いますか?

全員が丸くて白いお皿を持って帰りました。
慌てて担当者が理由を聞くと、「家には白いお皿が多い」「1枚だけ黒くて四角いお皿があっても使いにくい」といった回答が得られました。
最初のインタビュー結果、すなわち「意見」に従っていたら新商品開発が失敗したであろうことは明らかですよね。

この調査からわかることは、意見と行動には乖離があるということです。
言動の不一致とも言ったります。

いかがでしたでしょうか。
定量・定性調査は、顧客課題の把握と施策の仮説立てを行うために非常に重要で、さらに新たな視点を発見することにも繋がります。
今回ご紹介した調査を参考に、ぜひ自社でも行ってみてください。

最後に。日経ビジネススクールの講座紹介

日経ビジネススクールのオンデマンド動画講座では、「デジタルマーケティング戦略立案」について、より詳細を解説しております。
デジタルマーケティング戦略立案において、概念的な基礎知識だけなく、実践的で再現性の高い「戦略立案方法」を解説しております。
ご興味があれば是非試聴してみてください!

講座の想い
「未経験でもデジタルマーケティングを活用してもらいたい!」

私自身は、営業出身で新規開拓営業からソリューション営業まで多くの企業様への営業経験をさせてもらい、そこで強烈に感じたのは、ほぼ100%に近いクライアントがデジタルマーケティングに課題を感じており、「事業を生かすも殺すも、デジタルマーケティングをものにできるか否か」といった現実でした。
そこから、デジタルマーケティングの必要性を強く感じ、未経験でデジタルマーケティングのコンサルティング業に思い切って転身。
そして、BtoC、BtoB問わず、大手企業からベンチャー企業までデジタルマーケティングを活用した事業成長支援を、通常の倍速以上で濃縮に経験させていただいております。
もちろん、クライアントへバリューを提供するために、ご飯を食べるように書籍や動画など、デジマケ関連の情報は読み漁りました。
そこで感じたのは、WEB広告、SEO、SNS、LP改善などなどなど施策単位のナレッジ・方法論は人生賭けても読みきれない程解説されていますが、「何をすべきか?」の戦略的な問いに対して理解することが難しいと感じました。
というのも、デジタルマーケティングは、「施策メニューが多い!分析データ量も多い!」と「忙殺の沼」にハマるといった落とし穴が多いからです。
今回の日経ビジネスクールの講座は、デジタルマーケティングは何から始めるべきか?といった問いに対して、「顧客文脈」と「競争環境」から紐解いていけるように解説した講座になります。
デジタルマーケティング特有の横文字が多いのはご容赦いただきたいのですが、デジタルマーケティングに関わる方には、お役に立てる講座です!
僕自身がそうであったように、未経験でも体系的に理解できるように、出来る限り解説しております。
是非、ご興味あればご試聴ください。拡散も嬉しいです。

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