デジタルマーケティング『CVR改善の鉄板施策』〜入口設計攻略編〜
デジタルマーケティングで再現性高く成果を上げていくには、どうすればいいでしょうか?
デジタルマーケティングには、「守破離」があります。まず取り組む守の型としては、①クイックに成果があがる鉄板施策の実施です。
すでに高い確率で成果を上げられることが実証済みの定石を活用して、短期的に成果を上げることができます。
続いて、破の型としては、②仮説に基づく独自施策の実施です。
定石が反映された後に、さらに成果を伸ばすために、顧客理解を深めて独自施策をうって拡大させます。
最後の、離の型としては、③ナレッジの横展開+PDCA体制の構築です。
デジタルマーケティングの水準を高めるために、PDCAで施策を洗練させ、再現性の高い体制にします。
今回は、守の「クイックに成果があがる鉄板施策」の中でも、まず最初に取り組む施策、「獲得」の鉄板施策の一部を紹介します。
集客先である「WEBサイト」や「ランディングページ」などの成果を如何に最大化するかが「獲得の鉄板施策」のメインテーマになります。
獲得効率(CVR)を改善する鉄板施策とは
デジタルマーケティングにおいて早く効果を得るためには、明日から使える鉄板施策を取り入れてみることをお勧めします。
その鉄板施策の中でも、まず最初に取り組むべきは売上に直結する「獲得」の鉄板施策です。
WebサイトのTOPページやランディングページなどにおいて獲得効率(CVR)を改善するには、「入口設計」「出口設計」「コミュニケーション設計」という3つの設計が重要になります。
入口設計
最初に訪問するTOPページやランディングページで、いかに顧客が自分事化し、もっと見てみたいと思わせることができるかを作り込みます。
入口で離脱することは6割7割とも言われるため、入口設計は全体の中でも最重要となります。
コミュニケーション設計
顧客のニーズや障壁となる不安を把握して、ゴールを達成してもらうまでのコミュニケーションを作り込みます。
出口設計
最後の最後で離脱されないよう、お申し込みや資料請求の入力フォームを設計します。
これらの観点で、順を追って説明していきます。
入口設計①ゴールへ直行できるゴール設計
自社のWebサイトのゴールについて、すぐに答えることができますか?
入口設計でまず行うべきは、Webサイトで何をさせるか?「ゴールを設置すること」です。
ヘッダーやサイトの横に追随するものなど控えめなゴールもありますが、気付かれないことも多いため、サイトに訪れた人が瞬時にわかるよう必ず目立つ形で設置しましょう。
ランディングページでは、このように「資料ダウンロード」から「無料相談」、「電話番号」、「メール」など、ファーストビューで目立つようにゴールを設置します。
弊社で様々な企業様のサイト分析を行っていますが、そもそもゴールの存在しないサイトが多く見られます。
しかし、このゴール設置を行うだけで獲得効率が数倍と上がったケースもあります。
なぜ重要かというと、顧客は必ずと言ってWebサイトに目的を持っており、それを達成するためにサイトへ訪問しているからです。
そのゴールにダイレクトにいける動線がないと、顧客は離脱してしまいます。
また、ゴールを決める時は段階的に設計します。
特に、初期検討の顧客が一歩でも登りやすいゴールにすることが重要です。
例えば、上司から「クラウド経費精算システム」を見つける依頼を受け、サイトを閲覧した際いきなり商談に続く問い合わせがあると、ハードルが高いと感じませんか?
これから情報収集するのであれば、まだ問い合わせする内容もイメージできていない状態のため、まずは「ホワイトペーパー」や「Webセミナーへの参加」などノウハウを収集する方がアクションしやすいでしょう。
そして検討が深まったら、「デモIDで無料体験」や「サービス資料のダウンロード」などに進みやすくなります。
このように、顧客の状況に寄り添った段階的なゴール設計をすることで、取りこぼしを防ぐことができます。
もちろん、急ぎの顧客などはまず電話で相談したいケースもあります。
また商材によっては、知識・リテラシーがなく、まずは問い合わせして相談したいといったケースもあるでしょう。
顧客は何をしたいか、または逆に何をしてもらいたいかすり合わせし、それに合わせてゴール設計を行うことが、最初に行うべきことです。
入口設計②最初の3秒で何者かが分かる
Webページを訪れたユーザーがそのページを閲覧したいと思うか、他に移動するか判断する時間は、たったの3秒です。
最初の3秒で「何者か、誰向けか、一目でわかること」が重要です。
例えば、日経ビジネススクール様を事例に挙げさせていただくと、「経営人材の育成なら日経ビジネススクール」などのメッセージで何者かを伝えています。
こちらのサンプルサイトですと、「未経験でも安心!」というメッセージが強調されているので、「未経験のワタシもターゲットなのだな」とすぐに分かるようになっています。
要注意なのが、自分たちが言いたいことを言うだけのサイトになっていないかということです。
実際、顧客もわからない専門用語、抽象的なキーワードや、ポエム的なワードによって、顧客にどんなサイトか理解されないまま離脱するといった悲しい現実は、幾度となく見ています。
※もちろん、ナイキのJust Do Itなどは別物です。
情報が溢れている時代、顧客の目的や要件が合う情報か即判断できないと離脱してしまうのです。
入口設計③最初の3秒で自社の実績が分かる
続いての鉄板施策は、最初の3秒で「自社の実績が明確に分かること」です。
某Saas系企業の事例では、
・満足度○○%
・導入シェアNo. 1
などは明らかに成果があがりました。
また、明確に「導入すると、作業時間90%削減」など、数字で実績を訴求するのも効果的です。
なぜわかりやすい実績が重要かというと、例えば上司にこのサービスの何がいいの?決め手は?と聞かれた際、担当者が即答することができるからです。
担当者が、実はこのサービスの良さは3つあって、
①作業時間が90%削減できます
②業界導入シェアNo. 1です
③使いやすいと最高評価を得られています。
そのため、これがおすすめです。
というように、上司にわかりやすく説明する素材となります。
わかりやすい実績は、「失敗しないための判断材料」と「上司への論理的な説得材料」になるのです。
さらに、わかりやすい実績として代表的なのが、満足度実績です。
満足度実績のアイコンを設置するだけで、効果はどのくらい変わったと思いますか?
実際に「ABテスト」を実施して無料体験の獲得効率(CVR)を比較したところ、1.7倍に改善されました。
入口設計④最初の3秒で導入・販売実績が分かる
続いての鉄板施策は、最初の3秒で「導入・販売実績がわかること」です。
実績の話が多いと思いますが、入口設計は実績をいかに見せるかが肝になってきます。
例えば、ベルリッツ様の法人向け研修のサイトを見てみると、「トヨタ」のロゴが入ってます。
これで、まずはトヨタ関連企業の心を掴むことができます。
他にも、大手企業の導入実績や同じ業界の導入実績としてロゴがあると、
「へ~、この企業に導入してるんだ!」
「どんなサービスを活用したんだろう」
「この企業が導入しているなら安心だな」
と思いませんか?
ユーザー調査でWebサイトを閲覧してもらうと、大体の方が企業ロゴは見ます。
仮に導入事例でなくても、企業ロゴが並ぶだけでも最強のアイキャッチとなり得ます。
事例:安心を醸成する「実績」と「エビデンス」
ここで、健康食品会社での事例を紹介します。
健康食品において、顧客は安心できるブランドを選択する傾向があるため、実績や効果に対してのエビデンスは、商品を選択する上での拠り所になります。
というのも、健康食品は医薬品ではないため、ユーザは効能に対する信憑性が低いと思う傾向にあります。
科学的根拠に基づくエビデンスを訴求することで、効能に対する不安を払拭することができます。
特に、「実績(業界No.1・ロングセラー etc.)」の訴求は製品やブランドの競合優位性を高めることができるので非常に効果的です。
入口設計⑤最初の3秒で「自分事化」される
顧客は見たいと思った情報しか見ないため、瞬時に「自分向けだ!」と思ってもらえないと離脱する可能性があります。
これは私のためのものだと確信させるメッセージ、エピソードやコンテンツは、入口の段階で顧客を引き留め、興味関心をもってもらうために必須です。
例えば、「月額料金で選ぶなら○○」といった訴求は、月額料金を抑えたい方にとっては気になる情報です。
また、プログラミングスクールで「はじめる方の8割が未経験でスタート」と訴求されていたら、少々難しいのではないかと思っている方の安心材料になります。
次に事例を紹介します。
事例:「自分事化」のクリエイティブ
美容・スキンケア商品市場におけるWebサイト事例です。
レッドオーシャンのスキンケア市場において、同じようなスペック(機能・成分)訴求が濫立、陳腐化しているため、顧客も見慣れてきています。
そんな中、自分事化して共感させるクリエイティブの重要度は非常に高くなっています。
実際に、機能性訴求ばかりを追求していたWebサイトから、
・肌悩みを的確にとらえたメッセージ
・対象年齢
・ターゲットが親しみを持てるモデル
・トンマナ
をターゲットに合わせて刷新したことで、大きく成果を上げた事例があります。
ユーザーは日々多くの広告に触れているため、ありふれた内容が中心の訴求には響かず、感覚的ではあるものの目新しい表現やモデル、年齢などにしっかりと反応しているのです。
入口設計⑥表示スピードを上げる
入口設計の最後の鉄板施策は、「表示スピードを上げること」です。
現代ではWebサイトもアプリケーションも、ユーザビリティの高いデジタル体験が溢れています。
そんな中、少し表示スピードが遅いというだけでもユーザーは離脱してしまうのです。
Amazonでは「0.1秒遅れると、売上が1%減少する」と言われているくらいなので、目視して明らかに遅い場合は改善が必須です。
表示スピード対策の例としては、
・画像サイズを圧縮して軽くする
・サイトのコードを整理する
・順順に読み込むレイジーロードなどを対応
・サーバーをアップデートする
・「Google Page Speed Insights」で一定点数以上を目指す(次にご紹介)
などが挙げられます。
「Google Page Speed Insights」を活用すると、現状のページ表示スピード及び問題点を確認することができます。
Googleの無料ツールで確認できますので、確認してみてください。
鉄板施策レベルの活用方法としては、点数が極端に下がっている項目はないか確認するレベルで大丈夫です。
無理に高特点を目指しても費用効果が合わないことがあるので、費用対効果を考えて改善を実施しましょう。
以上が、Webサイトの獲得効率(CVR)を改善するために最重要となる、入口設計の鉄板施策です。
すぐにでも使うことができるので、今一度自社のWebサイトの現状を確認し、改善してみてください。
最後に。日経ビジネススクールの講座紹介
日経ビジネススクールのオンデマンド動画講座では、「デジタルマーケティング戦略立案」について、より詳細を解説しております。
デジタルマーケティング戦略立案において、概念的な基礎知識だけなく、実践的で再現性の高い「戦略立案方法」を解説しております。
ご興味があれば是非試聴してみてください!
講座の想い
「未経験でもデジタルマーケティングを活用してもらいたい!」
私自身は、営業出身で新規開拓営業からソリューション営業まで多くの企業様への営業経験をさせてもらい、そこで強烈に感じたのは、ほぼ100%に近いクライアントがデジタルマーケティングに課題を感じており、「事業を生かすも殺すも、デジタルマーケティングをものにできるか否か」といった現実でした。
そこから、デジタルマーケティングの必要性を強く感じ、未経験でデジタルマーケティングのコンサルティング業に転身しました。
そして、BtoC、BtoB問わず、大手企業からベンチャー企業までデジタルマーケティングを活用した事業成長支援を、通常の倍速以上で濃縮に経験させてもらいました。
もちろん、クライアントへバリューを提供するために、ご飯を食べるように書籍や動画など、デジマケ関連の情報は読み漁りました。
そこで感じたのは、WEB広告、SEO、SNS、LP改善などなどなど施策単位のナレッジ・方法論は人生賭けても読みきれない程解説されていますが、「何をすべきか?」の戦略的な問いに対して理解することが難しいと感じました。
というのも、デジタルマーケティングは、「施策メニューが多い!分析データ量も多い!」と「忙殺の沼」にハマりがちです。
今回の講座では、デジタルマーケティングは何から始めるべきか?といった問いに対して、「顧客文脈」と「競争環境」から紐解いていけるように解説した講座になります。
デジタルマーケティング特有の横文字が多いのはご容赦いただきたいのですが、デジタルマーケティングに関わる方には、お役に立てる講座です!
僕自身がそうであったように、未経験でも体系的に理解できるように、出来る限り解説しております。
是非、ご興味あればご試聴ください。拡散も嬉しいです。