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パンとバターの誘惑

フランス料理フルコースについて、知人に印象深い言葉がある。「最後まで楽しくコースを楽しみたくば、パンは飾りと心得るべし。」意味するところとしては小麦でおなかを膨らましてしまっては夢とトキメキに溢れるシェフの魔法が霞んでしまう。という忠告であろう。経験豊富な食通ならではの含蓄ある言葉である。

だがしかし、おなかを空かせて着いた席にホカホカパリパリの芳しい香りを振りまくバゲットが登場した途端にこの言葉は、焼きたてのお肉を前に飼い主より放たれた「待て」のような理不尽さを帯びてくる。極めつけは、パンのわきに鎮座する上等なバターである。犬も私も待てるわけが無い。ささやかな背徳感をスパイスに恍惚の表情でパンを食べるのです。

さて、そんな私が強烈に美味だと思うレシピを本日は紹介します。ご用意いただくのは以下の素材です。
◯あごが疲れるタイプの硬いパン
◯本格派を気取ったチーズ
◯ハム
◯バター(冷えたのを3mm程度にスライス)

挟み、かじり、ビールを流しこむ。以上。ひたすらシンプルに、ドレッシングも野菜もないストロングスタイルが気に入っています。フランス流に言わせるとジャンボンフロマージュ。食べ進めてバターが溶け出すと、モイスチャー効果と発酵由来の旨味たちが奏でる極上のアンサンブルで幸せな気分に浸れます。

日本が誇る古今無双のワンハンドフード「塩鮭のおにぎり」と双璧を成すシンプルサンドをぜひお試しください。


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