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(連載:就活サバイバルvol.8)「自己分析なんかどうでも良い」それよりもっと大事なこととは?

ついに本格化した就活。慶應3年の美希は、OB訪問に説明会に忙しい。漠然と大手企業に行きたいと考えており、手広くやっている。が、彼女はことごとくエントリーシートで落ちてしまう。悩む彼女は、内定を掴むことが出来るのか!?

「経済学部だけで、1,200人もいるんだ…」

自宅に戻った美希は慶応のホームページを眺めながら驚いた。

勇人にアドバイスされた通り、自分を客観視するために、まずは事実把握、現状確認をすることにしたのだ。

自分の所属する慶應大学の学生すべてが、敵になるわけではないにしても、法学部や文学部などの学生は基本的に同じフィールドで戦う敵になる。

それに加えて、東大と京大、上智や早稲田の学生が、同じ会社を目指して争うなんて。

今思えば、こんな当たり前のことも分かっていなかった。

東大や京大には、すでに司法試験合格済みの人間や、官僚の滑り止めで受ける人間もいる。早稲田には、スポーツ万能で、箱根駅伝を走ったようなツワモノもいる。

悲しいが、これが現実というものだ。こんな相手に勝てるのだろうか?

例えば総合商社。そういった超優秀な人間と比べられて自分が上にいくにはどうしたら良いのだろうか。

勇人に言われるまで、そんなこと考えたこともなかった。

さらに勇人から言われたことで衝撃的だったのは、“志望する会社ごとに、性格やキャラを変える”ということだった。

「自分の性格やキャラクターなんて、そうそう変わるものではない!」と反論すると、そういうバカ正直なところがダメなんだと、ダメ出しされた。

勇人によれば、例えば、総合商社を志望する学生は、頭の良さはもちろん、ガッツとアクティブさが重視される。

世界を股にかけて商談をする…と、非常に格好良いイメージを持たれているが、実際には、東南アジアでチャリンコをひたすら漕いで工場の管理をしたり、飛び込み営業を続ける、かなり泥臭い仕事が多い。

そんな仕事が多い総合商社で、おっとりした人間アピールをしても評価されるわけがない。

さらに、広告代理店では、営業を希望するのか、クリエイティブを希望するのかでも、対応は大きく異なる。

営業は、ザ・接待ばかりの仕事。正直、大きな声では言えないような、下品な接待もある。そういうのも大丈夫そうなタフさが見出されなければ無理だろう。

クリエイティブに関しては、アイディア勝負のところもあり、真面目で、一辺倒な回答を繰り返しているだけで、NGだ。

勇人には、「美希には、総合商社も広告代理店も向かないと思う。だって真面目過ぎるじゃん」と一蹴された。

志望する企業がどんな企業で、どういった事業を展開しているのか。文系の人間が入社した場合、どのような業務に就く可能性が高いのか。

そうやって企業を見極めた上で、自分のアピールポイントを調整していく必要があったのだ。

就活生に多い勘違い。

それは、なぜか“ありのままの自分を受け止めて”という姿勢である。

企業にとって、どんなメリットをもたらせるのか。自分がいかに企業に合っているか。それをアピールしなければ、一生独りよがりだ。

だから声を大にして言いたい。

自己分析などどうでも良い。そんなことに一生懸命時間を費やしている暇があったら、志望する企業のことを徹底的に分析するべきだ。

「そういうことをOB訪問で聞くべきなんだけどね。美希は何してたの?」

勇人に言われて、美希は顔がカッと赤くなった。

→続く。

●次回予告

自己分析なんかどうでも良い。美希はどう動き出すのか…?


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