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(連載:就活サバイバルvol.6)頑張ったのに内定ゼロ…。地方出身者が、“エリア総合”を選べないワケ

ついに本格化した就活。慶應3年の美希は、OB訪問に説明会に忙しい。漠然と大手企業に行きたいと考えており、手広くやっている。が、彼女はことごとくエントリーシートで落ちてしまう。悩む彼女は、内定を掴むことが出来るのか!?

「信じられない…」

面接ラッシュを終えた美希は、実家のある仙台に帰っていた。

大企業の面接ラッシュを終えたが、“内定ゼロ”なのだ。

中には、運良く最終面接まで行った企業もあったが、結局内定を得ることは出来なかった。

ショックで落ち込んだ美希が泣きながら母親に電話すると、「ちょっと疲れてるのよ。実家に帰ってきたら」と、優しく言ってくれた。

「ただいま…」

フラフラになりながら実家に帰ると、母親が「今日は美希の好きなハンバーグよ」と、出迎えてくれた。

久しぶりに食べる母の味。疲れ切った体に染み入るようその味に思わず涙がこぼれてしまう。

「内定が…。どこも取れなかったの」

美希が話し始めると、母親は何を言うこともなく黙ってそれを聞いている。

すべてを話し終えたところで、母親が口を開いた。

「美希。別に大企業に行かなくても良いじゃない。あなたに合った会社で働いてくれれば、お母さんそれでいいのよ」

自分のことを気遣ってくれているのは分かるのだが、内定を取ることが出来なかった自分が惨めで仕方ない。

美希は、「お母さんには分からないんだよ!」と、思わず強く言ってしまう。

「頑張ってきたじゃない。ゆっくりお風呂に浸かってよ」

母の勧めで、美希は久しぶりに湯船に浸かった。肩まで浸かると、じわーっとした温かさが体に広がっていく。

最近はシャワーばかりだったから、その温かさが嬉しい。

気づけば、こんなに自分の体を労ったのは久しぶりな気がする。

お風呂から上がると、母が温かいほうじ茶を用意して待っていてくれた。

「地元に帰ってくるなら、お母さんは大賛成よ」

そう言われても、美希はすぐに返事をすることができない。

東京のキラキラした生活に慣れてしまった今、仙台に帰る決心は出来ないのだ。

だが、美希の実家は仙台。もし実家が都内にあれば、“エリア総合職”という選択も出来ただろう。

家賃も生活費も自分で払わなければいけない美希にとって、エリア総合職のお給料は少々寂しいものがある。

「この後、私どうしたら良いんだろう…」

美希は、布団にもぐった。

→続く。

●次回予告

・実家で休養した美希は再び就活を始める。同期・勇人からの痛烈な指摘とは…?


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