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SaaS業界に転職を考える営業に必要な2つのコト

営業の転職では何を軸に転職先を考えるべきなのでしょうか。

どのような会社が自分のキャリアにとって最適なのか、どのような人が自社で活躍するのに適しているのか、転職する側も採用する側も双方悩ましいものです。

僕はキーエンス→Salesforce→A1A(製造業向けSaaS企業)へ営業職として転職しています。その転職での経験や、現職で営業の採用を行っている経験からも、同じような悩みを持っている方が多いのではないでしょうか。

今日はそのような、営業で転職を検討している方営業の採用をしている方向けに、少しでも役に立てばと、営業の転職にまつわる話について書いていこうと思います。

僕のSaaS業界への転職経験を元に書いているのでタイトルではSaaSと付けましたが、営業のキャリア全般に適用できると思います。

はじめに

実は日本には営業職(販売従事者)に従事する人が333万人もいます。
これは全就業者に占める割合として約5%でして、20人に1人が営業職であることが分かります。多いですね。
(出典:2020年6月総務省調査)

これだけ多くの人が営業職に従事していますので、市場にも営業職が非常に多くの求人が出ています。ビズリーチで調べたら5,239件も!

営業職の求人

ただ、この転職サイトにあるような"職種""業種"だけで本当に行きたい会社、自分の経験が活かせる会社、自分が更に成長できる会社を見付けることは難しいのではないでしょうか?

営業は転職における不安がいっぱい

僕自身もキーエンスからセールスフォースへの最初の転職の際に、自分の経験を活かして、更にキャリアアップできる会社はどこなのかは延々と悩みました。

競合の同業他社に行くのが最も成功確率は高いがその業界に染まってしまうので行きたくない。
かと言って、未経験の業界で過去の経験が活かせるのか分からない。

こんな悩みを抱える人は多いのではないでしょうか。

現職ではトップセールスだとしても、転職して全然活躍できなかったらどうしよう、誰もが思うと思います。

2回の転職で気付いた強みと課題

僕は2回の転職を経験していますが、2回目の転職に関しては、初回の転職を経て気付いた事が多くありました。
最も大きな気付きは、自身の強みと課題を明確にする重要性についてです。

話は逸れますが、新卒で入社したキーエンスで「プロの前提条件」として掲げられていた言葉なのですが、

自分の強みと課題を意識しているか

これは、キーエンスの営業でプロフェッショナルとして成長する上で、最も大事なことの1つとされていました。

営業であれば転職をするからにはさらなる成長を目指したい、こんな思いがどこかで必ずあるはずです。自身の強みをより伸ばし、課題を解決していくことがプロとして成長する近道です。

この強みと課題を明確にした結果としてスタートアップへの転職を意思決定し、その結果、想定通りのパフォーマンスも出せているのだと思います。

このような経験から、自身の強みと課題を明確にすることは、転職への不安の要因を明確にし、その後の活躍を左右する非常に大事なポイントだと感じています。

営業の強みと課題を生み出す、2つの特性

競合の同業他社に行く場合を除けば、仕事の仕方や必要とされるスキルも大きく変わります。

それを明確にする指標は、下記の2点です。

1. 商品知識(商品特性)
2. 顧客知識(顧客特性)

営業とは"特定の商品""特定の顧客層"に対して購入を促していく職業と定義付けられています。そのため、この2点が重要なのです。

どれほど大事かと言うと、プリウスの営業がロレックスの営業で活躍するイメージは少ないですが、フェラーリを売る人はロレックスの営業も上手く出来るのではないでしょうか。

少し身近な例に置き換えるとイメージがわきますが、転職活動にて考えている人は圧倒的に少ないと感じます。特にB2Bの営業では感覚的ではなく、意識的に考えることが必要です。

過去の職歴における2つの特性と、転職先の2つの特性を抑えておくことで、転職後に活躍できるポイント苦労するポイントが明確になりますので、まずはこの2軸をしっかり理解することが非常に大事です。

1. 商品特性を考える

商品特性は次の分類から考えることができます。

・有形商材/無形商材
・商品単価
・売り切り型/継続フォロー型

▼有形商材/無形商材

SaaS業界は非IT業界からも多く人材を募集しており、有形商材の営業経験しか無くとも転職が可能です。有形商材と無形商材の壁は大きいので、その壁を意識することが重要です。

▼有形商材の場合:
 カタログや実物があるため、提案書の作成経験が少ない
 納期調整の仕事が多い
 製品知識の重要性を知っている
 競合排除のため、顧客との関係性構築が得意
 想定業界:製造業/商社

▼無形商材の場合:
 顧客の課題の特定が必要
 投資対効果の説明を明確に求められる
 顧客に合わせた提案力が必要
 想定業界:IT/Web/コンサル/金融/広告/人材

▼商品単価

単価に関しては何と比較するかにより、色々な考え方がありますので厳密ではないですが、下記のような特徴があります。
SaaSの場合、ライセンス課金を行うケースが多いので、場合によっては低単価にもなり得ますし、提案次第で高単価にもなり得る事が特徴です。

▼低単価の場合:
 継続的な案件の発掘力が必要
 即日クロージングできる力が必要

▼高単価の場合:
 長期的に案件を進めていく力が必要
 多くの関係者を巻き込む力が必要
 持てる案件数が少なく案件の大型化が必要
 役員クラスとの折衝経験がある(超高単価の場合)

▼売り切り型/継続フォロー型

SaaSに関しては継続フォローが絶対的に必要なビジネスモデルです。
後ほど記載する新規と既存の軸にも近いのですが、上手く行かないと解約に繋がり、早期の解約では赤字となってしまいます。前職のセールスフォースでは、3年間は継続してもらわないと赤字になると言われていました。

お客様の成功なくしては成り立たないというビジネスモデルのため、お客様の満足度が高い状態を継続させるという点は、最も重要なポイントです。

▼売り切り型の場合:
 
リピート注文がない場合売り逃げが行われる
 販売後フォローは買い替えタイミングに実施
 
▼継続フォロー型の場合:
 お客様の成功が必須条件
 お客様の期待値調整が必要
 お客様のMustとWantを切り分けられる
 トラブル解消能力が高い

2. 顧客特性を考える

顧客特性は次の分類から考えることができます。

・B2B/B2C
・新規開拓型/既存顧客深耕型
・業界/部署

▼B2B/B2C

B2BとB2Cは大きく異なるスキルが必要です。
SaaS業界でも、もちろんB2Cはありますが、営業職となるとメインはB2Bになるかと思います。

▼B2Bの場合:
 
継続した取引を狙う
 母数が少ないため、ターゲティングが必要

▼B2Cの場合:
 決裁者=営業対象者
 紹介営業が多い
 母数が多く数をこなす
 リピート注文頻度は少ない

▼業界/部署

業界や部署も大きな変数の1つです。
製造業と保険業界では抱える課題も大きく異なります。
ただ、製造業の人事部保険業界の人事部では重なる部分もあるのではないでしょうか。
業界に加えて、今まで関わりのあった部署とこれから関わるであろう部署とその特色を想定しておくことが重要です。

SaaSにはHorizontal SaaSとVartical SaaSという区分があります。部署や職種カットに提供するものがHorizontal SaaSで、業界カットがVartical SaaSです。

ちなみに弊社A1Aは製造業に特化したVartical SaaSで、前職のセールスフォースはHorizontal SaaSでした。

A1Aは製造業向けで、特に購買・調達部門がメインです。
セールスフォースは様々な業界向けですが、大企業向けの営業部署は業界別のチーム編成となっておりました。

このように、業界×部署はどのようなSaaS企業でも重要になってきます。

Horizontal SaaSとVartical SaaSの違いについて詳しくはこちら


▼新規開拓型/既存顧客深耕型

新規営業と既存営業にはスキルとして大きな差があります。
SaaS営業だと、そのどちらもバランスよく行う事が求められます。

SaaS業界だと特に既存顧客のみを担当する職種(カスタマーサクセスなど)もあるので、強みを活かして職種変更も一つの選択肢かと思います。

▼新規開拓型の場合
 ターゲティングスキル
 マーケティングスキル
 数をこなすスキル
 飛び込み営業・セミナー・イベント企画などのスキルが有る場合も
 ※インバウンドリードに依存の場合は除く

▼既存顧客深耕型
 役員層へのアプローチ力
 各部署の関係性を理解した営業
 アカウントプランを用いた計画力
 余地の発掘力

【参考】キーエンスからセールスフォースへの転職

前段でご紹介をさせていただきました商品特性・顧客特性からするとキーエンスからセールスフォースに転職する際の状況は下記でした。

キーエンスからセールスフォースへの転職

▼SMBとエンプラについて
 SMB:従業員規模1~25名までの会社を担当
 エンプラ:4,000名以上の大企業を担当

▼強みについて

▼新規開拓で身につけた強み:
 ターゲティング力
 ナーチャリング力
 効率的なアプローチ

▼既存深耕×継続フォローで身につけた強み:
 顧客の期待値を見極める力
 次回の案件の種を見付ける力

▼高単価で身につけた強み:
 松竹梅の提案を行い、更に単価を上げる力
 ROIをしっかりと想定して提案する力
 ヒアリングを行い、提案する力

▼課題(チャレンジ)について

▼無形商材の経験が無いことによる課題:
 提案書の作成経験が無い
 ROIをしっかりと提示することが少なかった

▼顧客業界・部署が変わることによる課題:
 お客様のミッションが分からない
 仕事における優先順位が分からない
 経営者層との会話経験が無い

▼IT業界への転換による課題:

 システムへの知識が無い
 情報システム部がよく分からない

最初の転職で上記を意識出来ていたかと言うと怪しいのが本音ですが、課題を意識してその部分に対する解決策を持てているかで、成長が大きく変わります。転職の前こそ、これらの課題に対する想定を具体的に持っていくことが大事なのではないでしょうか。

失敗しない転職にはアンラーニングが重要

商品特性・業界特性が近いSaaSだとしても、その商品が解決する課題や業界が持っている独自性はそれぞれ若干異なります。

セールスフォースでも成功する営業の条件の定義は難しいが、失敗する人の定義について、という趣旨でよく下記の内容が話されていました。

成功できる人の定義は非常に難しいです。逆の発想をすると、失敗する人の特徴は明確で「あきらめてしまう人」ですね。また、「これくらいでいい」「あすも今日と同じでいい」と、自分で自分にストレッチがかけられない人も失敗しがちです。自身を高めることを他人に定めてもらわないとできない人は、成功までの道のりが遠いと思います。

もうひとつ、頑固で変化に対応できない人は難しいです。当社の場合、新しいテクノロジー、新しいお客様、新しいパートナーが次々に出てきます。それに対応できなくては、成果が出せないでしょう。変化するということは「謙虚に聞いて、素直に実行する」姿勢を持つということなのですが、とても難しいことでもあります。
出典:https://saleszine.jp/article/detail/1122

つまり、今までの経験のアンラーニングが非常に大事です。
良いものは更に吸収し、悪いものは捨てる覚悟が必要です。

転職は人生における大きな変化ですが、自己の強みと課題をしっかりと認識し、最適な選択をしていく。
そして自分自身が変化する事で大きく成長が出来るのではないでしょうか。

最後に宣伝

最後に宣伝ですが、A1Aでは現在、セールス職・カスタマーサクセス職の方を絶賛募集しています!!

弊社の商品特性と顧客特性は下記の通りです。
製造業×ITの経験がある方であれば特に、弊社のビジネスの面白みや可能性を感じて頂けるケースが多いです。

A1Aの商品特性と顧客特性

・IT業界で製造業を担当されている方
・製造業経験がありIT業界へ転職をされている方

これらの方はご興味を持って頂くこと間違いありませんので、是非お話だけでもさせて頂ければと思います!
もちろんそれ以外の方も絶賛募集しております(むしろITと製造業経験ある人は西島しかいません)ので安心して、お気軽にお声掛けください!

最後に、SaaS業界に転職を考えられている皆様が良き転職を行えることを心より祈っております。


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