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私の英文履歴書(実物)-無料公開+書く際のTips

英文履歴書は絶対に作っておいた方がよい。これは新卒から外資系勤務、MBAを経て現在アメリカで働いている私なりの結論である。チャンスがやってきたときに、さっと英文履歴書を送って話をスタートできるか否か、というのはキャリアにおいて大きな違いを生む。また、一度作った英文履歴書は、数か月ごとに、定期的にアップデートしておくとよりよい。同時並行で、LinkedInのアカウントも作り、英文履歴書を少しばかり簡略化した内容を英語で載せておくべきだ。こうする事で、貴方がよりよい(少なくともより高給の)仕事を得られるチャンスは大きく上がる。

英文履歴書の使い道は、実は山ほどある。興味のある外資系企業の知り合いを紹介してもらった場合、事前に英文履歴書を送っておく事で、より効果的なcoffee chatが出来る。転職エージェントから良さそうな話が有れば、特に何も考えずに英文履歴書を送って電話で詳細を聞くことができる。外資系企業のリクルーターがLinkedInで貴方のプロファイルを目に留めて連絡してくることもあるだろうし、そういった場合、英文履歴書を送る事が次のステップになる。また、日本語がある程度話せて、日本人の英語のアクセントに慣れていても、日本語の読み書きは未だに厳しい、という外国人は少なくない (三種類の文字を組み合わせる日本語は珍しい言語だ)。そういった人がHiring Managerだった場合、きちんとした英文履歴書を用意でき、書類選考を突破できれば、多少英語力が不足していても、採用までの道が開けることもあるだろう。これだけキャリアアップの役に立つのだから、作らない理由はないと私は個人的に思う。

しかしながら、今まで少なくない数のキャリア相談を日米で受けてきた経験上、日本人は英文履歴書をそもそも準備していない人が多いし、少し言葉は悪いが書き方が無茶苦茶な人も多い。これは中国やインドといった国の出身者には見られない傾向である。実力はあるのに見た目で損をするのはとても勿体無い。ということで、少し悩んだのだが、私がアマゾンのシアトル本社からオファーをもらった時に提出した英文履歴書(6年近く前のもの!)を、一部の情報に最小限の手を加えた上で、無料で公開することにした。フォーマットや構成の参考にして頂き、是非とも自分の英文履歴書とLinkedInプロファイルを作って頂ければ幸いである。また、以下に英文履歴書を書く上でのTips(アメリカの会社向けの場合)も簡単にまとめたので併せて読んで頂ければと思う。

尚、英文履歴書は書類選考を突破する上で最も大切なものであり、受ける会社、ポジション毎に多少のカスタマイズをすべきだと私は思う(少なくとも私はしている)。ここで公開する英文履歴書は、あくまでテンプレートの域を出ないため、実際にキャリアアップを目指したり、転職活動などをする時はきちんと添削やアドバイスを受けた方がよいと思う。今回公開する英文履歴書も、MBAのキャリアアドバイザーに確か二回ほどレビューしてもらっている。

1.職務経験と学歴は最新から時系列に並べる

私の記憶が確かならば、日本語の履歴書は古いものから新しいものへと時系列で並べていくものだったと思うが、英文履歴書は逆で、最新のものから並べていく(最後に日本語の履歴書を書いたのはおそらく大学2年生のバイト面接だったと思うので、間違っていたらご容赦願いたい)。私がHiring Managerとして採用を担当する際、大変申し訳ないのだが、時系列が滅茶苦茶な英文履歴書には目を通さない。また、最新の業務経験若しくは学歴が募集しているポジションのJob Description及びBasic Requirementsに合致しない場合はその時点で読むのを辞めるため、ここ数年の役職や学位の英訳には細心の注意を払うべきだ。

尚、私が今回公開する英文履歴書はMBA在籍中のものなので、学歴が一番上に来ている。学歴と職歴のどちらを上にもってくるか、というのは若干の論争がある分野だと私は理解しており、実際に私が受け取る英文履歴書でも両方のパターンを見かける。私のお勧めは、職歴を上に持ってくることである。

2.業績は能動態と平易な単語を使って説明する

日本人の書いた英文履歴書にありがちなのが、was engagedやwas involvedといった受動態を多用していることである。これは絶対に辞めた方がいい。受動態ではなく能動態を使うことで、自分が能動的に大きな役割を果たしたことをアピールできる。具体的には、Led、Conducted、Analyzedといった単語を使って、自分の業績を説明すべきである。

また、たまにとても拡張高い単語を使って英文履歴書を書いている人をお見受けするが、私はこれはお勧めしない。英語話者のかなりの割合はNon Native Speakerであり、従って、貴方の英文履歴書を受け取る人もNon Native Speakerな可能性がある。難解な単語を多用すると、そういった英文履歴書の読者を混乱させる可能性がある。同じ理由で余り極端な略語も避けるべきだ。(アマゾンでも難解な単語や略語は使わないようにというライティングのルールがある)

3.規模やインパクトは具体的な数字で説明する

具体的な数字がないとインパクトが伝わらない。Led a company-wide cost reduction initiativeなどと書くよりも、Achieved a cost reduction by $10 million、と書いた方が採用担当者の目に留まる可能性は高い。コストを削減しました、と言われても、それが1億円のコスト削減なのか、100億円のコスト削減なのかによって、入社後に任せられる仕事のScopeが違ってくるからだ。

また、数字の書き方も、XX million cost reductionのように絶対額を書くのか、cost reduction by XX%のように幅を書くのか、というので印象がかなり変わるので、こういった見せ方にも細心の注意を払うべきだと思う。

4.日本の会社や産業は知らないという前提で書く

日本の大手企業は、世界的には驚くほど知られていないことがある。従って、日本の会社について英文履歴書で言及する際は、若干の補足を加えておくと親切だろう(XXX Corporation, a leading Japanese consumer electronics company)。相手が知らない、という前提で書くことで、誰が読んでも理解できる親切な英文履歴書を書くことができる。インド出身や中国出身の人のレジュメを見ると、こういった点が極めて細やかに手当てされていることが多く、とても好感度が高い。

尚、日本の外資系のポジションだから、といってこの点を怠ってはいけない。Hiring Managerが外国人で、日本に来たばかり、ということだってあり得るし、そもそもHiring Managerが海外のオフィスに在籍しているケースだって沢山あるからだ。

5.若干盛り気味に書く (嘘はダメ)

自分をアピールする、という訓練を受けていない日本人は多く、従って、自己アピールの仕方がよくわからない、という人は多いのではなかろうか。私も自分の業績を誇ったり、これは自分がやったんです、と言ってアピールするのは未だに苦手である (それでよくアメリカで働けるなと自分でも思わなくもない)。

英文履歴書を書くときは、30%増しくらいで自分の業績をアピールするように心がけると丁度よいと思う。といっても、業績を水増しするは当然ダメで、10億円の営業実績を13億円と書く、と言っているわけではない。大事なのはものの言い方である。例えば、built a sales pipeline to help the team achieve the sales budgetと書くのか、played a key role on the team to achieve $10 million sales budgetと書くのかで印象はかなり変わると思う。自分の活躍がなければ予算を達成できなかった、と思うのであれば、Played a key roleと言い切ってしまうのでよいと思う。

6.面接をイメージしながら書く

首尾よく面接まで進んだ場合、面接官はおそらく英文履歴書を熟読して面接に臨んでいる (少なくともアマゾンは採用にとても熱意をもって臨んでいるので、私も含めてかなりの時間を準備に充てる面接官が多い)。従って、面接で聞かれることの多くは提出した英文履歴書を読んだ上での質問である。また、受け答えをする方としても、履歴書に書いてあることを答える場合は、一から説明をしなくてすむので話が進めやすい。ということで、英文履歴書はその後の面接の導線になる、という観点で、採用担当者が興味を持ちそうなことを詰め込んでおくと、その後の面接対策もしやすくなる。

7.Word一枚に纏める

本稿をお読みの方が、20年+のキャリアを持っていて、既にある程度の規模の会社の経営層を担っているような場合を除き、英文履歴書はWord一枚に纏めることをお勧めする。Concise、というのはアメリカに来て以来よく聞く単語であるが、これはアメリカで広く共有されている価値観の一つなのではないかと私は思う。

8.実際の英文履歴書

というわけで散々能書きを垂れた挙句で恐縮だが、最後に実際の英文履歴書を添付しておく。最初はPDFで、とも思ったのだが、さすがに広く流布してしまうことを若干懸念し、ぼかしを入れてスクリーンを切り取った画像でのUploadとしてみた。少しでも多くの方のキャリアゴール達成の一助になれば幸いです。

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