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マイクロチップと捨て犬捨て猫

みなさん、「マイクロチップ」というものをご存知でしょうか?

こちらにもある通り、直径2㎜、長さ8~12㎜ほどのチップで、現在こちらのマイクロチップを犬猫の「体内に挿入する」」ことが推奨されています。
このチップには飼い主の名前や住所、電話番号等を登録することができ、専用のリーダー(保健所や一部動物病院に設置)でその情報を読み込むことができます。

つまり、飼い犬や飼い猫が迷子になってしまったとき。もしも保健所等で保護されれば、ほほ確実に、飼い主さんと連絡が取れるようになります。

チップ自体は動物病院で埋め込むことができ、通常犬猫であれば背中に注射器を使って挿入します。このチップが動物の健康状態に影響することはほぼないといわれており、費用も数千円程度です。

今回はこの、マイクロチップについてお話していきたいと思います。


現在マイクロチップの挿入は、一般的なペットであれば「義務」ではなく「推奨」の範囲です。

つまり入れたほうがいいけど、入れなくても罰されるわけではないということです(特定動物や特定外来生物、サイテスⅠの動物は除く)。
近々犬猫に関してはチップの挿入が義務化される可能性がある…とも噂されておりますが、まだ正式な発表はされておりません。

その動物を本当に家族のように愛して、接している方であればチップ挿入が義務となっても特に問題はないと思います(数千円の負担はありますが)。万が一迷子になったときに戻ってくる可能性がより高くなる。とてもいいことだと思います。

しかし、今までペットを「飼えなくなったから」「可愛くなくなったから」といった理由で捨てていた人たちはどうなるのでしょうか?

普通に捨てると保健所に保護され、飼い主の情報を読み取られることになります。つまり捨てようとしても戻ってきてしまうわけです。
そういう人たちがどういった行動に走るのか?というと、おそらく一部の人間は、「マイクロチップを挿入しない」「挿入したマイクロチップをはぎ取る(皮膚ごと)」ということをしてしまうのでは…と私は危惧しております。

近年、犬の殺処分数は減少しています。しかしながら、猫は飼育頭数が増えるとともに、殺処分数は犬を上回るようになりました。減らない殺処分数。だったら飼い主情報の登録を義務づけてしまえ!というのはまあ分かりますが、期待するほどの効果が得られるのか?というのは疑問が残ります。

そもそも動物を大切にする人ならチップの挿入義務化等の法律も守ると思いますが、「捨てる人」なんて動物を大切にしない人です。
もし何かの事情で飼えなくなったとしたら。責任をもって次の飼い主を探す、というのが飼い主の役目です。それもできないような人が、果たして法律を守るのか?ということです。

こちらのチップは犬は生後2週齢、猫は4週齢で挿入が可能になるとのことですから(つまりはある程度の大きさになってから)、チップの挿入はブリーダーもしくはペットショップの責任で行ったとしても、その後の「飼い主情報の登録」をきちんとやってくれるのかもわかりませんし(何らかの対策は取られるのかもしれませんが)、先ほど申し上げたように、マイクロチップを皮膚ごとはぎ取ってから捨てる可能性もあるわけです。

そもそもこのマイクロチップ、「はじめて聞いた!」という方も多いのではないでしょうか?挿入義務化が検討されているというのに、あまりにもPR不足なのでは…と思ってしまいます。


けれど、もしも「マイクロチップ挿入義務化」が本当に正しく機能したのならば。
犬猫の殺処分数、捨て犬捨て猫の数はきっと減るでしょう。

「ペットショップにはペット好きがいるから」と思うのでしょうか。ペットショップ前に犬猫を捨てていく人は相当数います。
そんなとき、ショップのスタッフはやはりそのままにはしておけないので、必死で引き取り手を探します。少し大きくなって、確かにかわいい盛りは過ぎたんだろうな…という犬猫が捨てられているのを見るのは、本当に心が痛みます。

ぶっちゃけ「ペットを飼う」というのは、初期投資もランニングコスト的にも、お金がかかる行為です。それがちょっと変わった動物や、大きな動物ならなおさら。そして「責任」が付きまとう行為です。
猫が近所の子供をひっかいてその傷が腫れてしまった。
飼い犬が他の犬に襲い掛かってけがを負わせてしまった。
やむを得ない事情があり、どうしても飼い続けることが不可能になってしまった。
そんなとき、「責任」を負うのはすべて「飼い主」です。

マイクロチップの有無、法整備などももちろん必要だとは思いますが、

「ひとりひとりが、飼い主としての自覚を持つ」

「動物としっかり向き合う」

という意識を飼い主(と飼い主候補)にもっと強く浸透させれば、

必然的に「捨て犬捨て猫」も減るのではないかと思います。



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