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時代に合わせて、発酵が進む、2つの可能性
前回、軍隊をモデルとした祖父の世代、そして、競技アスリートをモデルとした父の世代という、過去の話をしました。
そして、以下のような問題提起で終わりました。
世の中に問題が溢れ、ビジネスが戦場だった「廉価大量生産時代」が終わり、「マーケティング」による欺瞞的な問題の創造をするか、それともアスリート的な技術競争を勝ち抜くかで、なんとか生き残ってきた時代も、いよいよ限界を迎えようとしています。
「価値のないところに価値を付けて必要以上に消費を煽る」ことは、地球資源的にも限界であり、なにより、欺瞞のある行動は、それに携わる人も疲弊させます。一方、アスリート型ビジネスの限界にもぶち当たって手詰まり。
このような状況でどうするか。それが、今の時代をになう私たちに課された使命だと思います。
今日は、未来の話。
そのために今考えていることを書きたいと思います。
まだ手つかずの大きな問題を解決する
前編でも引用しました、山口周さんの『ビジネスの未来』
によると、現代は『多くの普遍性の高い課題が解決してしまった状態』とされていました。
ですが、手つかずの『普遍性の高い課題』があります。『健康』です。人生100年時代とも呼ばれるようになりました。しかし、単に100年長くいきれれるから良かったという話ではなく、『健康寿命』ともいいますが、より、体力、感性、見た目などを、人生の出来る限り長期間に亘って維持したいという欲求は高まっています。
何万年の人類史から見れば、生き物の個体として100年生きるようになってから、まだ日が浅く、人間の身体は物理的に100年を生きることを恐らく想定していません。
私も40歳を超えましたが、少し老眼が進んできましたし、夜は直ぐ眠くなるし、朝早く目が覚めたりします。子どもの園などで、20代のお父さんとは動きが違うとひしひしと感じます。
もうちょっと、目が若い頃のようだったら本を読むのも楽だったし、胃腸が若い頃のようだったら、もっと沢山美味しいものを食べられるんだろうなあと思います。
この、「年をとっても、より健康に瑞々しく生きる」ということ、これは多くのヒトに共通する課題です。
ここに、発酵が貢献できることは多くあるんじゃないかなと思っています。
多様化する精神的な価値へ対応する
また、『ビジネスの未来』のなかでは、「多様化する精神的な価値へのニーズを充足できる個人や集団は、今後、ますます求められていく」とも書いてあります。
これは、前編記事のマーケティングとも一見被りますが、必要のない不安や問題を煽っていくことや、必要で無いものを必要なように見せかけることではありません。
『ビジネスの未来』の中では、それを「人間性に根ざした衝動」と呼んでいます。具体的には「歌いたい、踊りたい」「草原を疾走したい」「木漏れ日を全身に浴びたい」「困難にある弱者に手を差し伸べたい」「懐かしいヒトと酒を酌み交わしたい」「愛しい子どもを抱きしめたい」「何か崇高なものに人生を捧げたい」というような欲求を紹介しています。
これらの欲求は「煽られた不安」でもなければ、「つくられた問題」でもない、「目先の必要性」でもないもの。「やること、それ自体が楽しい」というようなものです。
そして、麹造りが積み重ねてきたものの中に、食品を創造する楽しみ、微生物と対話する楽しみ、そういった感性、感覚的な喜びが含まれていることは、実際に麹を作った方、味噌を造った方には納得いただけるかと思います。
そして、こういう「衝動」を「形」にしていくこと。それを生業とするモデルは、アーティストになると、思います。
ここに、ビジネスとアーティストの結節点が浮かんできます。
まとめ
まとめると、『発酵』が向かう方向性は大きく2つあります。
1つは「多くの人々に共通する健康の領域で、大きな課題を解決すること」
経済的には、この分野は「より多く、より安く」の方向に向かいます。毎日の食事で健康になるための食品は、「毎日支払えるのに無理のない金額」以上にはならない。その分、「多くの人に使ってもらう」ことになります。
2つは「個人個人の精神的な楽しみ、欲求を充足する体験を提供すること」
経済的には、こちらは、人数が少なくその代わり手間と準備に時間がかかるため、どうしても、コスト的には高くなります。「少数を、それに見合った価格で」ということになります。大量生産の軽自動車と、運転手の好みに合わせたフルカスタマイズの高級自動車のようなものでしょうか。
さて、ここで、私のnoteのバックナンバーを呼んでいただいている方はピンとくると思います。
この、当社のビジョンに書いた図です。
そう、まさに、当社が目指していくビジョンのCultureとScienceの方向性に合致する話になるのです。
こんな話を、1年の冒頭にしました。皆様にとっても、何かの参考になれば良いなと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。 私のプロフィールについては、詳しくはこちらをご覧ください。 https://note.com/ymurai_koji/n/nc5a926632683