地図を上下逆にすると・・・?(グランクラス私論・後編)
グランクラスに乗るには最低でも2時間以上は欲しいよね
前編で上越新幹線でグランクラスを絶賛したが、実は不満がなかったわけではない。
それは何かというと、上越新幹線単体でグランクラスに乗るにはあまりにも時間が短い事である。
前編でも書いたように国際線コードシェア関空〜福岡線に搭乗経験があるのだが、その時のシートが快適だった事を今でも覚えている。そのために国内線での運行1時間というのは、関空を飛び出した後シートを堪能して夜景を見て物思いにふけているうちにあっという間に福岡空港に着いた経験がある。
今回のグランクラスに乗車した時にそれを思い出したのだ。
事実今回は小説と食事を持ち込みんで乗車し、夕食をとり小説を読んで移動時間を堪能しているとあっという間に降車駅に着いた。時間が短過ぎた印象を受けた。1時間半では少々物足りないのだ。
したがってこの移動時間をスマホだけをいじるのはもったいない印象である。本を読んだりパソコンで作業したり思考を整理したりする時間にうってつけである。
であるから従来のグランクラスのサービスはそのほんの一例と個人的には思っている。ちなみに私の過ごし方も所詮ほんの一例。考えて思考を整理する事をしたとしても内容は人それぞれ。
要はグランクラスのサービスを受けるのではなくサービスをこちらが使うことに価値があるシートと私は思っている。
もちろん普通車でそれらを工夫してもいいし、普通車じゃちょっと狭苦しいのでグリーン車にしよう!・・・でも良いわけで、むしろ読書や寝るだけならグリーン車でも構わない気もする。
グランクラスは人を選別するのではなく、利用者自身のサービスを自分の形で作る人を選別すると感じている。
飛行機ならダイレクトでもいいけれど・・・、
さて、グランクラスの現在運行する新幹線はこちらである。
しかしグランクラスの「軽食・飲料あり」のサービスは東北新幹線と北陸新幹線の「かがやき」である。上越新幹線と北陸新幹線「はくたか」はサービス対象外である。
「かがやき」の金沢行きならぎりぎりグランクラス堪能できるできると思うが富山までなら新潟までとさほど変わらないので、前記した私論からすると堪能するには少し微妙なところがある。
そうなると東北新幹線が唯一堪能できそうな路線ではあるが、仙台までなら前出した通りに堪能するには少し微妙なところがある。
したがってグランクラスを堪能するには盛岡や青森行きということになるが、ひょっとしたらもっと堪能できるのは203X年に開通するであろう北海道新幹線の札幌延伸だろう。新幹線界隈では本当の東北・北海道新幹線の開通になるのだから期待がかかるのは無理もない話。
ただちょっと待て!
東京の人が札幌に行くには新幹線を使うだろうか?少なくとも値段だけを見れば飛行機を選ぶはずである。
ちなみに時間比較をしてみよう。
東北北海道新幹線が仮に等加速度運動のみの試算で4時間10分弱・巷で言われている予想が4時間30分だとしよう。
時間にしたら断然早いように思えるが、実際に利用する場合搭乗手続き10分や15分前に行かなきゃならない制約が出てくるし、手荷物預かりがあって手荷物を受け取らなきゃならない場合はさらに10〜20分くらいかかる。飛行機といえども搭乗時間以上にそのほかの時間が長いのである。
したがって時間はそんなにアドバンテージではない。
ただそこで関係するのは値段の問題。この路線情報では42000円程度に紹介されているが、実際にJAL&ANAを使うにしろLCCを使うにしろ、お金をかけたくない庶民は早期割引等を使うだろうから実質価格は半額と見ておいて差し支えがないと思う。
であるなら2万円代で新幹線を使えるわけではないので、新幹線を東京〜札幌を全通する人は選別されるはずである。
では見方を変えてみよう
ならばこれが東京〜札幌ではなくて仙台〜札幌だったらどうなるか
あくまでも一例であるが・・・
飛行機利用でもほぼ4時間かかる。東京に行こうと仙台に行こうと4時間なのである。
しかし新幹線利用なら等加速度運動のみではあるが3時間ほどで行ける試算を出してみた。ならこの区間なら新幹線を使うに値するのではないかと思う。
ここからは地図に線を引っ張ってみよう! そして逆さにしてみよう。
では概念図として緑の線として東北・北海道新幹線と上越新幹線の路線を地図に写してみた
この手の話になるとつい東京起点の概念で物事を考えがちである。しかし札幌起点の概念と考えたらどうだろう?
上下を逆にしてみる。
するとどうだろう? だいぶ印象が違ってくるのではないか?
つまり東北・北海道新幹線は札幌から仙台に向けると非常に価値のある新幹線になるということ。その間にグランクラスを使うと上質な移動空間としての選択肢が増えてくることにつながるのではないか?ということ私の問題提起となる。
逆の言い方をすればこの新幹線の成功の鍵はいかに札幌と仙台が繋げられるかにかかっていると言っても過言ではない。
ちなみに桃色の路線は現在基本計画線である羽越新幹線の一部である。羽越新幹線はあくまで夢物語にしか過ぎないが、これが東京とつないだ路線となれば仙台の位置に新潟が来て盛岡の位置に秋田が来る。
となるとこの路線は東京一極集中を是正するために準備された路線でもあり、それはすなわち札幌・仙台・新潟・秋田・盛岡・青森のそれぞれの中核都市が東京へのストロー現象を受けてもなおそれぞれ向上していかないと成り立たない路線である。
いやちょっと待った! その言い方は違うな。
ではこういう言い方をしよう。
札幌・仙台・新潟・秋田・盛岡・青森の各都市をグランクラスやグリーン車を使ってやってくるビジネスマンやインテリを呼び込もうではありませんか!
「成功の鍵はいかに札幌と仙台が繋げられるかにかかっている」と言ったのはそういうことにある。大挙押しかける旅行者でもバックパッカーでもない、グランクラスやグリーン車を使ってやってくるビジネスマンやインテリを呼び込み活性させることがこの新幹線の成功の鍵だと私は考えている。
最後に余談
実はこれを書いた当初は(国土軸私論その1)として書きはじめたのだが、書いていくうちに書こうとした事を変更し(グランクラス私論)に変更した。
というのも国土軸のネタにしようとしたのは東北新幹線は北東国土軸上にあり、羽越新幹線は日本海国土軸上にあるからである。
そして日本海国土軸は新幹線でいうところの北陸新幹線につながっていく。
私こと北陸羽越新幹線の概念と北前船文化からつながる日本海国土軸の探求者としていくのが隠れたライフワークなのだが・・・その続きはその気になったら書こうと思う。
あくまでその気になったらなのであまり期待しないでください(笑)
(了)