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医療系学生コミュニティマッピングを作ってみて、無意味だと確信した話

先日、医療系学生団体マッピングを作りました。学生主体型と法人・病院主体型、臨床色強めと臨床色弱め。二軸でまとめてみました。

一年生時の医療政策の勉強会から始まり、救急系、臨床推論系、官公庁インターン、学生団体運営、国際保健、地域包括ケア、そして場づくり、と6年間で多くの団体に属したり、行ったりした経験を生かして、我ながらうまくまとまり、普段、バズることのない僕が、ちょっと驚くくらいにはRT・いいね・コメントをいただきました。

医学生が、閉鎖的な医学部という環境の中で、自分自身が学びたいと思えるコミュニティと出会えていないのでしょうか。自分の大切にしたいこと、目指したいことという軸で考えた時、今いるコミュニティとのアンマッチを感じたからでしょうか。

実際、自分の本当にやりたいことに悶々としながら、医学生特有の部活、テスト勉強だけで学生生活を終えてしまう人が多いことはかなり問題です。これをIBTD問題(医学生、部活とテスト勉強だけで終わってしまう問題)と名付けます!

IBTD問題を抱える医学生、一歩踏み出すことに奥手な医学生、自分のやりたいことを共有する仲間が欲しい医学生にとって、この医療系学生団体マッピングはかなり効果的でしょう。「臨床の実践的な勉強したいけど、大学内にそういうサークルがない!」となれば臨床勉強会、「ビジネス・政策系のことに興味があるんだけど、どこに行けばいいかわからない!」となればビジネス・政策系からこの団体がいいよと勧めることができるからです。(そういう風にこのマップ使っていただけると幸いです。)


しかし、2つの理由から、今の時代にもはやこのようなマッピングは無意味であると、確信しました。

①学生団体所属から自分でプロダクトを生み出す時代になった    ②もはや医療系学生向けコミュニティだけでは足りない

①学生団体所属から自分でプロダクトを生み出す時代へ

今やSNS全盛時代です。ググれば情報はいくらでも手に入ります。そんな時代だからこそ低学年のうちから多く情報に触れ、医学部の閉塞感と自分自身の自己実現のため、夢を追いかける人が増えているように思います。

彼らは、学生団体を介さずとも、Ready forやCAMPFIREといったクラウドファンディングサイトで資金を集め、ETICなどの起業家支援を受けながら、自己実現をしてしまいます。彼らが情報を集める先は、学生団体ではなく、インターン。もはや学生同士の内輪勉強会ではなく、その道のプロのコミュニティの属した方が手っ取り早い。起業や官公庁も早期に体験型のインターンを用意することで、優秀な学生を早いうちから囲い込みをはかっています。そうして彼らは、今をときめく企業や官公庁と連携を取り、社会に大きなインパクトを与えるソーシャルグッドな事業を行っています。

SNS全盛期時代だからこそ、個と個がつながり、“学生団体飛ばし”が起こっているのです。


②もはや医療系学生団体コミュニティだけでは足りない

先日、ついにAmazonがヘルスケア産業に参入してきたというニュースがNewspicksにあがっていました。人口減少が続く日本において、多くの産業が衰退産業、少なくとも市場規模は減少していきます。そんな中でヘルスケアは、主な顧客である高齢者の人口は当分減らない。むしろ団塊の世代が後期高齢者になる2025年以降も割合としては増え続ける。しかもこれまで旧態依然だったヘルスケア分野には新規参入が少なかった。そんな状況も相まって、今多くの企業がヘルスケアに進出しています。

他分野との連携が求められる時代において、医療系コミュニティだけでまとまっていいのでしょうか。コミュニティを学ぶにはコミュニティマネージャーの専門家へ、経営を学ぶにはMBAへ、医療×デザインを実践するために建築家へ、地域社会を見るために文化人類学の専門家へ。それぞれの分野と連携するために、そのコミュニティとの橋渡し役として、他分野のコミュニティに思い切って属する必要があるのではないでしょうか。

好きな先生の言葉に「キャリアは掛け算」という言葉があります。医療という武器を持つ僕たちだからこそ、他の武器を学生時代に手に入れておくのも将来につながるでしょう。SNS全盛期の今は、学生特権を使えば、facebookメッセンジャーやtwitterのDMで熱い文章を送れば繋がれる可能性も高い時代です。思い切って、他分野に飛び込んでみてはどうでしょうか。

実際、このマッピングを書く際も、どこまで医療系学生コミュニティか、定義するのはかなり難しかったです。主に社会人向けだけど、医療系学生が入っているのはあり?ヘルスケアメインとはうたってないけど、ヘルスケア業界の人も多いコミュニティはあり?など、医療と他分野の境界線も曖昧になっています。


そうは言っても学生団体は学生団体のいいところがある

ここまで散々、"学生団体飛ばし"の話をしてきた僕ですが、自分自身運営していた団体もあり、学生団体への思い入れは強い方です。だからこそ学生団体の価値はまだまだある。

学生団体というコミュニティは、閉塞する医学部の中で浮いてしまった人を受け入れる機能があると思っています。尊敬する鈴木裕介先生がこんなことをおっしゃっていました。

頑張っていなくても受容されている環境。それがコミュニティ。

家庭医療が好き、国際保健が好き、公衆衛生が好き、基礎医学が好き。いろんな“好き”が大学内で浮いてしまうけど、学生団体では受け入れてくれる。ありのままの自分を受け入れてくれる。そんな場として学生団体は必要とされているのだと僕は思います。

医療系学生コミュニティマッピングの最新版(Ver.3.0)です。




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