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【インタビューVo.1】姿勢を正して腰痛を克服!姿勢セミナー講師・高島くみさんが伝えたい姿勢の大切さとは

腰痛や肩こりといった体のトラブルと姿勢は、密接な関係にあるといわれています。その姿勢の大切さを1人でも多くの人に知ってほしいと願っているのが、長崎で活躍中の姿勢セミナー講師・高島くみさんです。高島さんは学校や企業を飛び回り、姿勢の基礎知識や改善の方法などを伝えています。今回はそんな高島さんに、姿勢の大切さに気づいたきっかけや今後の展望などを伺いました。

高島くみさんプロフィール

くみさんプロフィール1

長崎県で活躍中の姿勢セミナー講師。小・中学校を中心に、姿勢の大切さを子どもたちに伝えるセミナーを開催している。楽しくてわかりやすいセミナーが評判を呼び、教育機関だけでなく企業からの講演依頼も増加中。子育て中の2014年よりセミナー講師として活動を始め、5年目にはセミナー参加者数が1万人を突破した。
公式サイト:https://ameblo.jp/kokoro-karada-sisei/

切迫早産の入院で腰に激痛が!7年間におよぶ腰痛生活が始まる

ーーーまずは簡単なプロフィールを教えてください。

「運動が苦手な人でも大丈夫!世界一わかりやすい姿勢の理論」をテーマに、長崎で姿勢セミナー講師をしています。姿勢の大切さをたくさんの人に知ってほしいという思いから、2014年よりこの活動を始めました。

子育て中のごく普通の主婦からスタートし、今では小・中学校を中心とした教育機関や企業研修、新聞社・ドラッグストア主催のイベントなどで姿勢セミナーをおこなっています。

ーー姿勢セミナー講師になる前は子育てに専念されていたのですね。そんな高島さんが姿勢の大切さに気づいたきっかけは何だったのでしょうか?

私が姿勢の大切さに気づいたきっかけは、姿勢によって7年間苦しんだ腰痛とサヨナラできたことです。もともと腰痛とは無縁だったのですが、2004年に初めて腰に痛みを覚えました。

腰痛の大きな原因は入院中の寝たきり生活。その頃、私は長女を妊娠し切迫早産で入院していたんです。絶対安静で、とにかく体を動かすのは禁止。たとえば目の前にあるトイレへ行くにも看護師さんに車いすで運んでもらい、戻るときも再び看護師さんを呼ばなければいけない日々でした。

2カ月間そうした生活を送っていると、筋肉が減って1人では座れなくなってしまうんですよ。出産を終えて退院しても、筋力がないから座った状態でしか赤ちゃんを抱っこできません。座りながらとはいえ、つい昨日まで寝たきりの状態だったので、抱っこは体への負担が大きかったんでしょうね。退院から間もなくして、ひどい腰痛を発症してしまいました。

ーー立ったまま抱っこもできない状態だったんですね。

そうなんです。しかも初めての出産と育児で、とにかく眠くて仕方がなくて。寝たいのだけれど、横になるとまた痛むんです。ようやく眠れても、寝返りで腰に激痛が走り目覚めてしまう。そんなつらい日々が7年続きました。その間に次女を出産。波はあるものの常に痛みを抱えている状態だったので、どうにか治したい一心で整形外科や整骨院、マッサージに通い詰めていましたね。

正しい姿勢を取れたことで自分で腰痛を克服!

ーー姿勢によって長年苦しんだ腰痛とサヨナラできたと伺いましたが、どのような経緯だったのでしょうか。

当時通っていた整骨院の先生が、ふと「高島さんは巻き肩だからね」と言ったんです。そのときの私は巻き肩という言葉を知らなかったので、さっそく家で調べてみました。すると、肩が内側に丸まることで姿勢の乱れにつながり、腰にも悪影響があるとわかって。

「そうなんだ」と思い自分なりに姿勢を整えていたら、どこにも痛みを感じない瞬間があったんですよ。自分で体を動かしていると、あるポイントで痛みがスッと消える感じ。

ーー自分でそのポイントを見つけたんですね。

そうなんです。この時点で腰痛の発症から7年が経っていたので、もう一生このままなのかなと思っていました。でもこの出来事をきっかけに、正しい姿勢でいれば腰痛から解放されるかもしれないと気づいたんです。

それからは1日中、痛みがなくなる姿勢をキープ。すると3日後には腰の痛みをすっかり忘れていましたね。もう10年が経ちますが、それ以来、腰痛だけでなく肩こりにも悩まされたことがありません。

ーーすごいですね!その出来事がきっかけで、姿勢セミナー講師になろうと思ったのですか?

実は違うんです。そのときはまだ普通の主婦だったこともあり、自分の体験をきちんと人に伝えようとまでは考えていませんでした。ただ、周りの人は私がひどい腰痛で苦しんでいる姿を知っていたので、腰が楽になったと伝えるとみんな興味津々で(笑)

「何をしたのか教えて」と何度も聞かれましたが、自分の体で試したことを言葉でうまく説明できなかったんです。きっと周りの人は具体的な方法がわからずモヤモヤしていたと思います。でも、私的には「腰痛から解放されたからもういいや」と満足していたので、人に伝えたり教えたりするという発想はまったくありませんでした。

ーーその満足した状態から、なぜ姿勢セミナー講師になろうと思ったのかが気になります。

食事中、私は娘たちにしょっちゅう「姿勢を良くしなさい」と言っていました。ところがある日、同じセリフを口にしながら、ふと「姿勢を良くするってどういうことなのかな」と思ったんです。

当時の私は自分の姿勢が良いのかどうかもわかっていなかったので、その状態で子どもたちにエラそうなことを言っていたのかなと疑問が湧いてきました。やっぱり、子どもたちには「正しい姿勢とはこういうことなんだよ」と伝えたい。その思いが次第に強くなり、姿勢の勉強をしようと決意しました。

長崎と東京の往復。姿勢セミナー講師への道を歩み始める

ーー姿勢の勉強をしようと決意したあと、どのようなことから始めたのでしょうか。

まずはネットで姿勢について教えてくれる場所を探しました。私が希望していたのは、ストレッチや体操ではなく、姿勢に関する理論を教えてくれる場所です。そこで見つけたのが日本姿勢教育協会の講座。まさに私が知りたい内容を学べる理想的な講座だったので、2013年の8月から4カ月間、月1回のペースで東京まで通うことにしました。

ーー期間限定とはいえ、長崎から東京まで通う生活は大変だったと思います。勉強は思うように進みましたか?

20人ほどの同期生と一緒に学んだのですが、そのほとんどがカイロプラクティックの先生でした。大半の人が今より知識を増やすために来ていて、私と同じようにこれから学ぶという受講生はほんの数人だったんです。

その中でも私は特に知識がなかったので、先生から説明を受けてもわからない部分が多くて。だから説明が終わるとみんなそろって私の顔を見るんですよ。そのときに私の眉間にしわが寄っていたら先生がもう一度説明してくれて、私がニッコリうなずいたら先の内容に進むという感じでした(笑)

ーーとても良い雰囲気だったんですね!

本当に仲間に恵まれたと思います。そうして講座が進み、最後に待っていたのは姿勢教育指導士になるための実技と筆記の試験。とても難しくて、知識がある人でも落ちてしまう試験なんです。

とはいえ、試験に受かるまで長崎と東京を往復し続けるのは家族に申し訳ないと思い、一発合格を目指して必死に勉強しました。その結果、無事に合格。12月に念願の姿勢教育指導士の資格を取得できました。

ーー資格を取得したあと、すぐにセミナー講師の活動をスタートしたのですか?

そうですね。もともと娘たちに姿勢のことを伝えたいと思い勉強し始めたのですが、資格取得試験の1カ月前には「たくさんの子どもたちに姿勢の大切さを伝えたい!」「親子姿勢教室をやってみたい!」という気持ちが強くなっていました。

そのため12月の試験に合格したあと、すぐにセミナー告知のチラシを作りスーパーに貼らせてもらおうとしたんです。でも、どこも断られてばかりでうまくいかなくて。ようやくチラシを貼らせてくれるお店を1軒見つけたものの、今度は参加者が集まらない。どうしたものかと悩みましたね。

ーー最初の集客って難しそうですよね。その後どうしたのでしょう…?

これは後日知ったことなのですが、実はそのとき友人の1人が、自身で運営しているメルマガで私のことを紹介してくれたようなんです。それで最終的に16人の参加者が集まり、翌14年の1月、私個人としては初となるセミナーを開催できました。

ーー記念すべき第1回目のセミナーですね。

はい。実はその参加者の中に、公民館でセミナーをしてくれる講師を探している人がいまして。講演後その人に「ぜひ高島さんにお願いしたい」と声をかけられ、思いがけず次の仕事が決まりました。

そのあともセミナーを開催するたびに「次はぜひうちでお願いします」と依頼されるようになり、今もずっと口コミだけで仕事をいただいています。おかげさまで、5年目にはセミナーの参加者数が1万人を突破しました。

子どもにも大人にも、姿勢の基本となる理論を知ってもらいたい

くみさんセミナーの様子①

ーーセミナーでは具体的にどのようなことをお話ししているんですか?

基本的には、正しい姿勢とはどういうことか、姿勢が悪いとどうなるのか、そして正しい姿勢を取るコツなどをお話ししています。そのうえで、参加者に合わせてプログラムを少しずつ変えています。

たとえば学校であれば、運動や視力、歯並びなど、その学校に通う生徒の悩みに対応できるよう内容を調整しているんです。姿勢は体のあらゆる部分に深くかかわっていますから。

ーー子どもたちも自分の体のことだから、興味を示してくれそうですね。

みんな前のめりで真剣に聞いてくれます。ただ、私はその場で子どもたちの姿勢を直したいわけではないんですよ。私がやりたいのは、姿勢に対してポジティブなイメージを持ってもらうこと。たとえば好きな人ができたときや、入試の面接を受けるときって第一印象が大事だと思うんです。

いつかそうした場面に直面したとき「そういえば以前、姿勢について面白い話を聞いたな」と子どもたちに思い出してほしくて。「姿勢良くしなさい!」と怒られる嫌なイメージではなく、姿勢は自分で簡単に正せるんだというポジティブなイメージを持っていてほしいんです。

くみさんセミナーの様子②

ーーポジティブなイメージって大切だと思います。大人向けの場合はどうでしょうか。

大人に向けてお話しする場合も、やはり関心を寄せてもらえるよう意識しています。私がよくセミナーでお伝えしているのは「姿勢だけでウエスト7号Sサイズ」というフレーズです。

運動しないと痩せないと思われがちですが、私もまったく運動していません。正しい姿勢を取ることでインナーマッスルが使えるようになるので、何も運動をしなくても常にエクササイズをしている状態になるんです。だから私も、姿勢を整えてから体脂肪が6%も減ったんですよ。

ーー体脂肪6%ですか!それは話を聞いてみたいと思ってしまいますね。

大人向けのセミナーでは先にこうした理論を伝え、運動しなくても大丈夫な理由を知ってもらいます。理論を知っていると、そのあとに運動を取り入れてもパフォーマンスが上りやすくなるので、まずは理論を知ってもらうほうが良いと思っていて。基本となる理論を伝えたいという私の思いは、大人と子どもで変わりはありません。

少人数の悩みに対応できるよう、姿勢に関する基本動画を制作したい

ーー今後はどのような活動をしていきたいですか?

今までは多くの人に姿勢の大切さを広めたいと考えていたため、学校や企業でのセミナーを中心に活動していました。これからはさらに、少人数で1人ひとりに合わせたアドバイスをしたり、私の持っている知識を伝えたりしたいと考えています。

ーーそう考えたのはなぜでしょう?

新型コロナウイルス感染症の流行で、オンライン化が急速に進みました。テレワークを導入する企業が増え、それに伴い腰痛や肩こりがひどくなったという人が多いんです。家で働くための環境が整っていないため体に負担がかかり、今まで抱えていた症状が悪化している。そうした話が私の耳にもたくさん入ってきます。

これまでは時間的にもセミナー会場でお話しするのが精いっぱいでしたが、オンラインであれば往復の移動時間も必要ありません。ですからオンライン化した今なら、場所や時間を問わず個別の悩みにも対応できるかもしれないと思ったんです。

ーー個別に相談できると喜ぶ人も多いと思います!

実際、個人的に連絡をいただき「この場合はどうしたら良い?」とよく聞かれます。でも、私は理論を1から説明したいのでその場でパッと答えられないんですよ。中途半端な答えを言うと、相手に誤った捉え方をされてしまう可能性もあるので。

それを解消するため姿勢に関する基本の動画を作成し、それを最初に見ていただこうかなと考えています。そのあとオンラインで少人数のセミナーを開催し、個別の相談に乗るというのが現在の計画です。

ーー最後に、体のトラブルで悩んでいる方に向けてメッセージをお願いします。

体のどこかにトラブルを抱えていると、痛みだけでなくやりたいことも我慢しちゃうんです。私も昔はそうでしたから、そのやり切れない気持ちはとてもよくわかります。

体のトラブルの中でも特に、腰痛は8割が原因不明だそうです。だからこそ、姿勢を整えることで痛みから解放される人もたくさんいるのではないかと思っています。身をもって体験した1人として、みなさんにも「痛みを手放す」ことを諦めないでほしいですね。

(取材・文/山本洋子)


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