うつ病のサインをのがさないで!セルフチェックで分かる心の健康状態
誰もが一度は聞いたことのある心の病気「うつ病」。芸能人がうつ病を患っていたことを告白するなど、近年その名前が広く知られるようになりました。しかし、実際には「自分は病気になんてならない」と、他人事に感じている方も多いのではないでしょうか。
コロナ渦と呼ばれる現在、多くの人がストレスを抱えている状況にあります。なんとなく調子が悪いという方のなかにも、うつ病の症状がかくれているかもしれません。
今回は、セルフチェックで自分の心の健康状態を知りながら、うつ病とはどのようなものなのかを解説していきます。
1、うつ病とは
うつ病は、「気分障害」の1つと言われています。気分障害は、大きく「うつ病性障害」と「双極性障害(躁うつ病)」に分けられます。皆さんがよく知っているであろう気持ちの落ち込みや、やる気が出ないという状態は、先の述べたうつ病性障害の症状です。一方で双極性障害の場合は、うつ状態と躁状態(興奮状態になる、寝ないでも活動ができるなど)を繰り返します。
うつ病は、脳の伝達物質が何らかの異常をきたす病気です。機能的な問題があるため、まわりから「もっとポジティブになればよくなる」といった言葉がけをされても治すことはできません。気力や精神面だけでは症状をよくすることは難しく、治療につながる必要があります。
2、原因
・気質(性格)
うつ病にかかりやすい人の性格として、ストレスを受けやすいことがあげられます。具体的には、生真面目、几帳面、完璧主義など、自分に厳しく相手からの影響を受けやすい人に多いようです。
・環境
ライフステージの変化やライフイベントによって、環境は大きく変わります。例えば、「身近な人の死」、「退職」、「事故」などは悲しみや混乱というストレスが大きくかかります。また、あまり知られていませんが明るく楽しいライフイベントにも、ストレスは伴います。例えば「結婚」、「入学」、「出産」にも環境は大きく動かされます。
私たちは日々変化に対して少なからずストレスを受けながら生活しており、それが過度になったことが発症の引き金になると言われています。
・心理的ストレス
対人関係や過労といった、生活の中で受けるストレスも原因の一つ。現在流行してる新型コロナウイルスによっても、感染の恐怖や仕事の変化などさまざまな心理的ストレスがかかっています。
心理的ストレスは、自分の受け止められる器が人それぞれです。自分からしたらささいなことであっても、相手は強くストレスになることがあるということを忘れてはいけません。
3、症状
うつ病の症状には、精神症状と身体症状があります。どちらも出る場合もあれば、いずれかの症状が強く出ることもあり、人それぞれ重さも違ってきます。
・精神症状
・気分の落ち込み
・不安、焦り、イライラ感
・喜び、楽しみを感じられなくなる
・集中力がなくなる
・意欲の低下
・ぼんやりすることが増える
・口数が少なくなる
・外見に気を使えなくなる
・眠れない、寝すぎてしまう
・身体症状
・耳鳴り
・頭痛、腹痛
・動悸
・食欲不振
・腰痛
・めまい
・生理不順
このほかにも、さまざまな症状をもつ人がいます。多くの人が、はじめに自覚するのは身体症状です。身体の不調で内科を受診しても原因がわからないままになってしまい、うつ病の早期発見を難しくしています。
4、うつ病のセルフチェック
今回は、精神医学の診断基準につかわれている「DSM-5」の内容に基づいたセルフチェック項目を紹介します。最近2週間の自分(相手)の状況を振り返り、「はい」にあたる数を数えてください。
基準として、①、②のどちらも、またはいずれかの症状と、③~⑨の症状合わせて5つ以上に該当する場合にうつ病と診断されます。また、①、②を含む4つ以下の場合は、軽度うつ病、または抑うつ状態とされています。
あくまでもセルフチェックの一つであるため、これだけでうつ病だと決められるものではありません。心配なときは、医師による正しいが必要になります。
5、治療法
・休養
うつ病の治療で最も大切と言われているのが休養。うつ病にかかりやすい性格に、完璧主義の人をあげました。症状によって体が思うように動かなかったり、やる気がでないことによって、「自分はなんてダメな人間なんだ」と落ち込み、悪循環におちいります。結果として、うつの状態は悪化していくのです。
ストレスを軽減できるように、まずは環境をととのえ、何もせずに休むことが必要です。自分ができない部分を誰かに任せることは、迷惑をかけていると思ってしまいますが、焦らず休むことが回復への近道になります。
・薬物療法
前に述べたように、うつ病は脳の伝達物質の異常によっておこるため、それを修正していく必要があります。日本では、「抗うつ薬」と呼ばれる薬を服薬するのが一般的です。その他、症状によっては睡眠薬や抗不安薬と組み合わせることもあります。
・精神療法
あまり聞きなれない治療法ですが、うつ病の原因は何だったのか振り返り、ストレスとの向き合い方や対処法を学ぶことによって、再発を防ぐことを目的としています。カウンセリングは精神療法の一つで、よく耳にしますよね。
そのほかにも、物事の捉え方や考えを変えていく「認知行動療法」や、人間関係の問題を解決してストレスの軽減をする「対人関係療法」があります。
これらの治療を組み合わせることによって、うつ病は回復していきます。しかし、注意しなければならないのが治療の自己中断。
うつ病の回復過程はゆるやかなため、少し体調が戻った時点で薬を飲むことをやめたり、病院へ行かなくなることがとても多いとされています。また、休養中に焦りがとれず、急いで会社や家庭に復帰してしまうケースもあります。
これらのことは、症状を悪化させたり、回復途中であっても再発のリスクを高めるため、正しい知識を身につけ、治療を受け続けることが必要です。
6、気持ちに疲れを感じたら
自分自身を振り返った時に、もし慢性的な疲れや気持ちの落ち込みなどを感じたら、一人で抱え込まずに相談しましょう。休養や自分の趣味に没頭することも、セルフケア(自分で自分を癒す)になります。
しかし、周りの人に相談しずらかったり、どうしたらいいかわからず悩んでしまうときもありますよね。そんなときには、カウンセリングを受けたり、医師に相談したりと医療にかかることをおすすめします。
・心の相談はどこにすればいいの?
病院であれば、精神科、心療内科、メンタルクリニックがあります。
こちらのサイトでは、全国の病院から診療科目ごとに検索することができるので、参考にしてください。
ドクターズ・ファイル
また、厚生労働省が運営する「こころの耳」では、さまざまな心の相談に対応できる相談窓口の案内がされています。
こころの耳 相談窓口案内
各都道府県には、「精神保健福祉センター」が設置されており、同じく心の相談窓口が設置されています。自分の住んでいる都道府県の内容を調べてみてください。
まとめ
今回は、うつ病とは何か、心の不調があったときにどのようなことが大切かについて触れました。うつ病はだれでもなり得る身近な病気ですが、正しい知識や相談先を知っていれば、多様な治療から自分に合ったものを選択できます。また、日ごろから自分や周りの人の不調に気づき、対応していくことができるのです。この記事を思い出して、心の健康について考えていただければ幸いです。
参照:こころの健康情報局すまいるナビゲーター
(https://www.smilenavigator.jp/utsu/)
こころの陽だまり
(https://www.cocoro-h.jp/index.html)
うつ病 こころとからだ
(https://www.cocoro-h.jp/index.html)
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