はじまりの合図(の、ぼくの場合)
偶に思い出す事がある。小学生の頃、札幌のショッピングモールにある楽器店───店名の記憶を必死に掬い取って調べたが、すでに閉店していた。とても寂しい───で、安物もいいところのアコースティックギターを親に買ってもらった日のこと。期待が高じて前日の夜にいらぬ下調べをした僕はレフティギターというものの存在を知っていたが、それでもまずは、と店員のお兄さんがネックを左手に握らせてくれたのはたしかに英断だったと思う。ここまで覚えておけばいくらか格好がついたのだけれど、指の置き方をひとつ