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24歳になって、12歳のセンチメンタルな日々の答え合わせをした話

自分とは違う他人だけど、
自分と近いものを持っている人と
なにかひとつの物語を創り上げたい。

ぼんやりとそんなことを考えていたとき、
「この方ならきっと…!」と確信してお声掛けさせていただいたのが
棚上うぱぱさんでした。

そんな我々が作り上げたイラスト2人展
「響き渡る日々はセンチメンタル」は
先日無事に終了しました。
お越しくださった皆様、本当にありがとうございました。

普通の日常を生きる12歳の女の子2人が、普通になかなか馴染めなくて、そこで生まれた言葉たちをそれぞれが交換日記で紡ぐおはなし。

特別驚いたり不思議だったりする展開はありません。
見ず知らずで交換日記を続けた2人が最終的にどうなるかも書きませんでした。

ちょっと嬉しかったり悲しかったりする普通の日常はきっとこれからも続いていくから。
ここで描いた普通の日常とそこで起こるちょっとした出来事を、少しでも特別なものと捉えてくれたら嬉しいなと思いました。


わたし自身も考えさせられること、気付かされたことが本当に多かった物語でした。

この展示の物語を作り上げるにあたって最初にそれぞれの少女になりきってうぱぱさんと交換日記をしました。
ここで物語を完成させ、そこから派生した作品をその後に描いていったという感じだったんですね。

恥ずかしながらわたしは交換日記に憧れはあったものの実は一度もやったことがなくて、しかも1回り年下の女の子になりきるなんて、出来るのだろうかと最初は思いました。

でも実際やってみたら自分でも驚くほどに気持ちがすらすらと書けたんです。

わたしは特別不幸な経験をしたわけでもないし、
たぶん客観的に観て友達には恵まれているタイプだったと思います。

だからこそ当時12歳だった頃は
「友達と一緒に話しているときは楽しいって思うことが当たり前!」
これが正解で、そう思えないのは間違いだと思っていました。
少しモヤモヤすることがあってもそう感じるわたしがおかしいんだと思いましたし、
楽しく過ごす上でそういった負の感情は邪魔になってしまうから、
無かったことにしようとしてずっと見ないふりをしていました。

そしてこのタイミングで自分自身の過去を振り返り、
「あの時はどうして悲しい気持ちになってしまったんだろう?」と考えました。

当時はちゃんと向き合っていなかったのでその答えがわかりませんでした。
でも長い時を経て、たくさんの人や思い出、言葉たちに出会って、それを少しずつ当てはめていくことで、「ここで悲しい気持ちになったことは、別に間違いではなかったんだ」と気づくことができました。
あの時言葉にできなかった気持ちの答え合わせをすることが出来たんです。

そしてうぱぱさんが演じる「スピカ」という女の子が、わたしの演じる「アルフ」という女の子の気持ちを全部受け止めてくれました。
だから「ちょっとおかしいかもな」「こんなこと当時友達だったみんなに話したらどうせバカにされるんだろうな」ってことも書き出すことができました。
だから12歳だった頃に戻って、
嘘偽りなく正直になって気持ちを書き出していた感覚だったので、それが清々しかったんです。

「スピカとアルフがそれぞれ作家自身か?」と聞かれたら
「そうでもありそうでもない」という曖昧な回答になってしまうのですが、
あの頃心の奥に置き去りにした悲しい気持ちを肯定してくれたスピカとアルフがわたしにとって救いのような存在であることは、
今のわたしの明確な答えだと思っています。

だから一緒に物語を作り上げてくださったうぱぱさんには感謝しかないです。
こんなにも共鳴してくださる方が居るとは、
頭上がらんよ〜〜〜、本当にありがとう!!の気持ちでいっぱいです。
アラサーになるまでににまた2人で展示しようね(*^_^*)

この準備期間、絵とは関係のない私情で悩むことが本当に多く、乗り越えられるかが本当に不安でした。
だけどこれをきっかけに自分の気持ちを分かってくれる方に出会えて、
そしてそれを形にしたらさらにたくさんの方々が分かってくれて、
ずっと「これで大丈夫なのかなあ」と不安で孤独を感じていた日々が報われた気がします。

この展示を当時12歳で、名前の無い悲しい気持ちを抱えていた頃のわたしに見せてあげたかったです。
そう思えるぐらいに素敵で夢のような物語でした。

失った時間は戻らないけれど、だからこそひとつひとつの感情を肯定して大切に紡いでいける作家になれるようにこれからも精進していきたいと思います。

本当にたくさんの方々に支えられてここまで来れました。
改めてありがとうございました。

そしてこの2人展を持ってしばらく表に出る活動をお休みする予定です。

でも描くことを辞めるわけではないので、必ずまた戻れるよう努力してまいります。
この展示をもって作家ゆめぞうの物語、第一章の終わりと考えるとなんかかっこいいかもね!

(案外すぐにやって来るかもしれないけれど)
次は第二章でお会いしましょう!ではまた。

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