見出し画像

アフターコロナを振り返る (テレワーク編)

全世界的な新型コロナ(COVID-19)が流行して、早5年。

感染拡大は甚大な被害をもたらしましたが、新型コロナの流行は新たなカルチャーの震源として、急速なIT化や宗教変革などの大きな影響をもたらしたのも事実です。今まで「マスク」と「宗教改革」について取り上げたので、参考にされたい方はマガジン「アフターコロナの世界」をご覧ください。

今回は、新型コロナ(COVID-19)を契機に急速に発展した「テレワーク」について振り返ってみたいと思います。

【2021年】テレワーク1.0の始動

2020年初春には、企業のセミナーやイベント・テレビ・雑誌などのメディアが仕切りに「テレワーク」を題材としたテーマを取り上げ、関連企業がここぞとばかりにPR・営業活動に勤しんでいました。

しかしながら、当時の日本はテレワークの準備がお世辞にも整っていたとは言えず、テレワークを推進出来たのはほんの一部の企業でした。首都圏においても、外資系の企業やスタートアップが前衛的なアプローチをしている一方、日系企業の多くは短期的な全社休業や無理な勤怠管理(PCを立ち上げたら電話をください、のような)という急場しのぎの対応を講じていました。

地方の中小企業はというと、自治体も含めてそもそもPCやネットワーク等のインフラ環境自体の知識や環境が整っていなかったために、緊急事態宣言が解かれた瞬間に通常通り出社するようになりました。8割の企業がデジタル変革が重要だとしていたのに、です。

画像1

参照) https://www.itr.co.jp/report/itinvestment/S20000100.html

まるで、英語を勉強することが重要だと思いながら何年も何年もやらないで過ごしてしまう学生のように、中小企業もIT投資が重要だと認識しつつも優先順位が上がらず、投資に力を入れていなかったのだと感じます。

しかし、いよいよ新型コロナ(COVID-19)の到来により、危機感がメディアによって醸成され、テレワークにシフトする「準備」が1年かけて進められました。学校法人に対して危機感を伝えた文部科学省のYouTube動画も話題となり、企業のみならず自治体・教育現場でも少しずつ補助金を活用した見直しが開始されました。

【2023年】アーリーマジョリティへの到達

新型コロナ(COVID-19)の流行から3年経ってようやくキャズムを超え、アーリーマジョリティ層にも本格的に受け入れられ始めました。

画像2

参照) https://www.onemarketing.jp/lab/btob-marketing/innovation-theory_195

キャズム
「変革の手段」としてテクノロジーを採用するアーリーアダプターと、「業務効率改善の手段」としてテクノロジーを採用するアーリーマジョリティの間にある溝のこと。ニーズが異なるので、マーケティングメッセージも変える必要があると言われている。

それだけ一般に受け入れられるような事例が増えてきたということでしょう。この頃になると、テレワークによる変化は様々なところに出てきました。2つ取り上げてみましょう。

1.「教育」

テレワークで参加可能な授業も増えましたが、特に大学で大きな改革が行われました。外部の教授がテレワークで大学の枠を超え、複数大学に向けて同様の講義を行うスタイルが開始されたのです。学費にいくつかオプション料金を加えることで、TOPクラスの著名人の講義が気軽に聞けるようになるということで大きな話題となりました。

画像3

参照) https://www.sbbit.jp/article/cont1/37892

小学校、中学校では新入生に限りPCが全員付与される(一部補助金で支援される)ことになり、授業のカリキュラムの見直しが図られるようになりました。

2.「働き方」

はじめは営業組織をほとんど持たない事業社から土地の安い地方拠点に散り散りになっていきました。そうしてある程度日本全体に事業社が散ったことにより、営業部隊も首都圏に置き続ける意味合いが薄れ、徐々に営業部隊を持つ企業もテレワーク型の営業スタイルにシフトしていきました。

以前は直接面談に来ないと懸念を示す人がいた業界も、この頃になるとほとんどなくなり、基本的にはテレワークでのコミュニケーションで問題がなくなりました。

経理や総務などバックオフィス担当は引き続き紙業務が一部残っているため、定期的に会社に行く必要がありましたが、徐々にクラウド化が進んでいきました。

【2025年】分散型社会の到来

そして今、人と人はテクノロジーで繋がりながら生態系を守る分散型社会として再スタートを切ろうとしています。まだまだ多くの企業が首都圏エリアにいるものの、全国のいくつかのシャッター街が蘇り、拠点を持たずに自由に仕事をする場所を選ぶ企業が全体の10%を超えました。

画像4

参照) https://gori.me/web/pakutaso/83795

テレワーク専門学校ができたのも印象深い出来事です。過去の通信教育のようなものですが、それとは異なり、本格的に部活や学校行事が行われる、あくまでテレワークを主体とした授業を展開する学校の登場です。

一方、テレワークの弊害として、エンターテインメント施設の衰退が挙げられます。特定の場所にこだわらないが故に特定の場所にあることに価値を置いてきた施設(遊園地など)の客数が減少傾向にあります。生き残りをかけたVRシフトを各社が積極的に進めています。

人と人のフィジカルな繋がりが薄れたことも弊害の一つです。むしろ、弊害と捉えている人と、変革と捉えている人が半々なのかもしれません。自由を求めインターネットの世界により深く入り込む人もいれば、むしろ自由を求め、自由な思想で日々を過ごす人も増え、いよいよ日本でも「Diversity」が本格的に取り入れられ始めました。

「テレワーク」改革はまだ始まったばかり。これからも日本ではテクノロジーが各所に取り入れられていくでしょう。

今後の展開が非常に楽しみです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?