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韓国をいつの間にか好きになる。

日韓ワールドカップをきっかけに、好きとは言えなかった韓国。お隣だけど、なんとなく文字を判読できる中国や台湾とは異なり、文字から何のお店かさえ推測できないということもあって、旅行先としても選択肢に挙がらなかった。

ところがどっこい!(死語)

おうち時間の増加と比例するように、パラサイト、愛の不時着、梨泰院クラス、NiziU、TWICE、BTSと韓国のコンテンツに自然と触れた結果、いつしか好意的な感情に変わっているではありませんか!エンターテイメントって、戦争なくせる

というわけで、韓国に興味を持った私は、田中絵里菜(Erinam)さんの素晴らしき著書『K-POPはなぜ世界を熱くするのか』を読んでみました。日本の文化や仕組みとは違う側面があって面白かったので、一部を紹介します!(長くなりそうな予感)

世界に目を向けている

そもそも韓国は、人口5,000万人ほどの小さな国内市場。だからこそ、最初から外(世界)に目を向けており、国家予算の1%を超える3,000億円以上を国内のコンテンツ(文化)産業の育成にあてている。2019年で言うと、日本は0.12%(1,167億円)らしい。ちなみに、令和2年度クールジャパン関連予算は552億円。まさに韓国は国策と言える。

また、インターネット普及率も世界で最初に90%に到達する(その時、日本は57%)など、デジタルインフラの整備の影響も大きい。コンテンツを多くの人遠くの人に届けられる仕組みも整っていた。反して日本は、ようやく2021年9月に「デジタル庁」ができる苦笑 コンテンツとデジタルに力を入れる国って、楽しそうで羨ましい。

K-POPにおける「カムバック」という概念

本を読んではじめて知ったことのひとつに、K-POPには「カムバック」という言葉があること。そのまま「戻ってくる」という意味だ。新曲を出すことが「カムバック」にあたり、新曲を出すタイミングで複数のMV公開、メディア露出やイベント、ポップアップストアのオープン、そしてSNSが一気に活性化するらしい。逆に新曲を出す前は「空白期」というものが如実に存在するらしく、露出は極端に少なくなるとか。
このメリハリがあるからこそ「劇的な変化」の演出ができる。確かにK-POPのアーティストは曲ごとに髪型や色をはじめ、見た目から見違えるくらい違ったりする。(TWICEのモモがMVで見つからないように…)(NiziUのマユカの髪が突然「紫」に変わったように…)その生まれ変わる瞬間が、爆発的な勢いを生む。それ故に、アートディレクターの力量も試される。


NiziUに対する違和感が解消された。日本のアイドルは、イベントやSNSでの接触面が多く、割と常に見続けられる環境がある。だからこそ、地道な成長を感じられるという魅力があると思う。後輩に「NiziUにハマったけど、触れられるコンテンツが少なくて物足りない…」と吐露していたが、それもK-POP流の演出のひとつみたいだ。

韓国のアイドルは遠い存在なのか?

「カムバック」のことを知って、「ファンとの距離は遠いのか?」「空白期は何もしていないのか?」と疑問を持った。もちろんそんなことはなく、SNSを活用したファンとのコミュニケーションは素晴らしく、日本(企業)も参考にすべきことが多い。複数言語での発信、SNSの特性に合わせた情報の選択など、ちゃんとちゃーんと工夫している。
特に、NAVERが運営する芸能人の配信に特化した動画配信サービス「VLIVE」では、リアルタイムでアイドルのオフの姿が見れるなど、人気を博しているらしい。日本で言うところのSHOWROOMやイチナナ的なアプリで、累計DL数は1億超え。海外でも人気なだけあって、韓国の人口を優に超えている笑
面白いのは仕組みで、ユーザーが独自に「翻訳」できる機能がある点。言語の壁をファンに「外注」して取り払っている。しかも、翻訳したファンの名前がクレジットされるという、ファンにはたまらない仕掛け。世界進出を、ファンが、そして仕組みが後押ししている。

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こんな感じで選択できる / モモかわいい

応援広告

推しの誕生日や記念日を祝う広告を、複数人の有志が出稿するのを応援広告と言う。普通に駅などの広告枠に、公式と見違えるほどのクオリティで、推しが全面に出た広告が掲出される。AKB48の総選挙の時にも同じような動きがあるが、規模が違う。

たまに、博多駅前のビジョンでも見かける光景(今日も宮脇咲良ちゃんの応援広告を見かけた)だが、信じ難いのは広告費がエグいくらい高いニューヨークのタイムズスクエア(1週間で3,000万円が相場)にも応援広告が掲載されたことがあるらしい。すげぇ。

またまたすげぇのは、社会貢献にも繋がっていることだ。韓国のアイドルは、ハリウッドスターのように社会的問題に対して意思表明するらしく、その気持ちにこたえようと、ファンも社会活動を熱心に行うそうだ。ライブが中止になって、払い戻されたお金をコロナ感染防止のための寄付にまわしたり、アイドル名義で植樹したり、発展途上の地域にアイドルの名前をつけた学校を建てたり…社会にいい変化ももたらしている。

ほかにも

韓国の音楽チャートの話、グループコンセプトの話、キレキレのダンスを全体でシンクロさせて踊る「カングンム(刀群舞)」の話、『Make you happy』の縄跳びダンスのようなキャッチーな振り付けである「ポイントダンス」の話、芸能人の写真や動画を撮影してネットに載せるホムマ、MV、作曲やスタイリングの話など…『K-POPはなぜ世界を熱くするのか』は、K-POPのアーティストを知らなくても十分に楽しめる内容となっているので、ぜひ手にとって読んでみてください!

最後に推し曲の「カムバック」映像があったので、共有しておきます。こんな風にケーブルテレビや民放が普通に公式動画としてUPする文化があるのも日本と違うところですね…


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