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2歳児を本屋に連れて行くべからず

普段はまったく活字に触れない妻から読みたい小説があると言われた。あまりに非日常的な申し出に驚きの声を上げてしまったが、とりあえず何が読みたいか聞くことにする。タイトルは『正欲』、作者は朝井リョウだそうだ。

朝井リョウといえば、施設のご利用者が読んでいた『何者』を借りて読んだことがある。なんとなく面白かった印象があるが、だいぶ前のことなので記憶が曖昧だ。僕は本を読んだ後の感想が大体面白かったになるが、具体的にどこがどう面白かったかを語れないので頭が悪いのだと思う。

『正欲』はガッキーが写っている映画のポスターが記憶の片隅にあった。余談だが、ガッキーのガッキー感はすごいと思う。新垣さんとか新垣結衣さんと書こうとは思えない。これだけニックネームが日本国民に浸透している女優もそういないだろう。ガッキーはいつだってガッキーなのだ。
ちなみに何かと話題になった「逃げ恥」は一度も見たことがない。恋ダンスを踊る古田新太が、思いのほかキレッキレな動きをすること以外はほとんど知識がない。

話が逸れたが、小説を読まない妻が小説を読みたいと思ってくれるのはとても嬉しい。創作の世界に引き込む記念すべき第一歩となるかもしれない。せっかくなので長男の散歩がてら古本屋に行くことにした。最寄りのと言っても徒歩30分ほどの距離にある古本屋に長男と2人で向かう。運が良ければ欲しい本が80円で手に入るので、本好きだが貧乏な僕にはありがたい。

目的の『正欲』はすぐに見つけられた。映像化作品なだけあって目立つ位置で宣伝されていた。積読が増えつつある僕用にも芥川賞受賞作を2冊手に取る。良い作品を書くためにインプットの量を増やさなければならない。勉強代は2冊で160円。お手頃価格だが出版業界の助けにはならないので少々気に病む。

子供たち用にも何かないかと長男とともに絵本コーナーへ。たくさん読まれたのだろう年季の入った絵本たちがズラリと陳列してあった。端から端までどれでも80円。飽きたらおもちゃとして破られる未来が見えるので80円でちょうどいい。子供の絵本は質より量が大事だ。

長男も好きな本を2冊手にした。アンパンマンの絵本と元々持っているがビリビリに破かれて読み物としての機能を失った絵本の2冊。また破られるのかと不安な未来が思い浮かんだが、目を三角にしてニコニコとこちらを向いているので買ってやることにした。

ここまで長男と古本屋に行き、本を買った様子をさも平穏無事であったかのように書いたが、実際はとんでもなかった。陳列されている本を出しては平積みし、ある程度積んだら崩し。POPや値札は剥がそうとするわ、仰向けに寝っ転がって絵本を読み始めるわ。親の監督不行き届きと言われたらそれまでだが、我が子の暴れようは想像以上だった。

たくさんの本を読んで心の豊かな子になってほしいとは思うが、しばらくは一緒に本屋に行くのは控えようと思う。

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