私の散歩道①

家を出る。

家の前の通りを左に進み、すぐ左折する。

左折した道路は、わりかし車通りのある通り。

ガードレールの内側を歩いて、しばらく道なりに。

左手には二階建ての住宅が立ち並ぶ。

こちらを正面にして。

建売だったのかな。

家々の玄関は同じ造り。

でも、その彩りはそれぞれ。

門の前に手入れした綺麗なバラを咲かせる家もあれば

サボテンが地植えされてる家も。

その並びにあるお寿司屋さんのサボテンなんて

2階の高さまで伸びている。

ここのお寿司屋さん、シャリがちょっと大きいんだよな。

そこから数軒分のお家を通り過ぎて、今度は右折。

右折した右には、新しいお家が建設中。

道路側の角地だけ売れ残っていて。

角地だから人気そうなのに。

でもそうだよね。

一番北側で日当たりは少し減るし

北側にはさっきの車通りの激しい道路。

なかなか難しいのかな。

でも、駅からの距離は悪くない気がするけどな。

左手には、市民農園。

貸し農園みたいな畑で、６畳分ずつくらいかな？

ここいらの人が、自家栽培を楽しんでるみたい。

もう少し歩くと、今度は右手に資料館。

ここの資料館の庭園

自然観察用になってるのだけど

すごい深くなっちゃってるのよね。

木も生い茂って、建物を追い越しちゃって。

だから、セミの声なんて、ものすごい！

夏の情緒、風情なんて通りこして

もう騒音かも。

何dBあるんだろうか、測ってみたい。

一回入ったことあるけど、蚊がすごかったな。

いっせいに群がって

私の血を吸いに来たことを思い出してゾッとした。

また少し歩く。てくてくと。

あ…今日も香ってきた。

酪農の

あの、ニオイ…

今日は雨上がりのすぐ後だから、余計に香る。

かほる、かほる、、。

うっぷ。

ちょっと、息を止めたくなるけど

うん…うん、、これも味わい。

だって、こうやって酪農があるから

人間は牛乳が飲める。

そこで毎日働いてくれてる人がいるから

私達の命はつながっていくんだ。

そのまま歩いてぶつかると、大通りに出る。

渡ろうと、左右を覗き込む。

駅前から延びた大きた道路だから

右を見て、左手をみて、慎重に。

右手からはバス。

左手からは黒い乗用車。

なかなか渡れない。

でも、横断歩道は使わない。

渡った先にある彫刻は

1990年代に設置されたものらしい。

三日月のようなオブジェ。

曲線じゃなくて直線で、ちょっといびつな形。

作者は、市内在住の大物彫刻家だとか。

なかなか渋い。結構好きだ。

車通りが一旦おさまって、ようやく渡る。

渡ったら右手方向に進む。

そのまま、ずっと進めば駅だけど

その手前で左手斜め前の小道へ。

左手には3階建ての新築マンション。

一戸建ても並ぶ。

そうそう、あのお家の表札

ガラスでできてて、何か面白いんだよね。

あそこの家の二階、洗濯物干されてるな。

干してる場所が窓に近すぎて

見えちゃうよ。

変わった置物も、窓越しに見えたりして。

海外旅行のお土産かな？

怪しい人か、私。

道なりに進む。

酪農のかほりは、まだ消えず。

小道を抜けて、また大きな道路にぶつかる。

そこを左折。

大きな車道と平行して道なりに直進。

左手にはまた住宅がつづく。

花壇の中に

多肉植物が植えられたマンション。

ニョキーって茎が伸びて

ちょっとおどろおどろしい。　

オレンジ色の花達を咲かせてた。

多肉ちゃんがそこまで育つなんて

陽当たりがいいんだろうね。

前から、チャリンチャリン。

自転車もくる。

今度は後ろから。

左によけて、右によけて。

車道沿いには立派な欅が並ぶ。

樹齢20年じゃ済まないだろうなぁ…

幹に苔だってしげっちゃってる。

さてさて、ついに近づいた

あの、かほりの発信源。

住宅の中にいきなり、牛舎。

左手に見える。

今日も元気そうに、牛さん達のお尻が並ぶ。

そういえば、牛ってすごく繊細な生き物らしい。

昔、大学の実習で聞いた雑学を思い出す。

牛のルーティンを崩さないように

飼い主はとても気を遣うって。

だから酪農農家さんは

気軽に旅行にも行けないんだって。

頭が下がる思いになったのを

思い出した。

そのまま、そのまま、ずんずんず、んずん。

時折、すれ違う人とは会釈をしたりして

狭い歩道をよけあって進む。

見えてきた、見えてきた。

最初の野菜無人直売所。

今日売ってるのは、、、

ナスとゴーヤとオクラ。

ゴーヤは家にあったから

ナスとオクラだけ買おうかな。

一袋100円。

近頃ナスは高いから、助かります。

さらに進む。ずんずくずん。

地主さんの広い土地のお家達を通り過ぎ

もう随分前に商いをやめたであろう

ラーメン屋さんの空き家の前を通り過ぎる。

すると、見えてきたのは地元の神社。

水天宮もある。由緒ある神社だ。

この神社でお参りするのが

私の散歩道（さんぽどう）。

鳥居の前で一礼をして参拝へ。

背のたかーい杉の木に囲まれて、

本殿の背中に見えるの広い空だけ。

やっぱり、神社の周りだけ

スポッと空気が変わるような。

何かスッとするような。

パワースポットな感じ。

強欲にも、神頼みしまくり。

長いお願いをした参拝を終えて、戻る。

最後、鳥居をくぐってまた一礼。

軽く深呼吸。

空気を吸い直して。

さぁ、また

歩きますか。ね。

鳥居を出た私は、左に曲がった。

（私の散歩道②につづく）