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運動指導者に大切な力

ボディメイクを頑張る知人とやり取りしていて、ああ、私は指導者に恵まれていたんだなあ、と改めて思うことがありました。

よい運動指導者とは?

思い出に浸ってみたら、私が指導する上で大切にしたいこと、高めていきたい力があらためてはっきりしてきました。

今日は私の個人的なお話です。

運動神経の悪い子だった私

私は小さい頃からいわゆる運動神経の悪い子でした。

走らせたり泳がせたりすればそこそこ早いし体力もあるのですが、ボールやラケット、マット運動など、道具を使ったものが苦手。

バレーボールやバスケットボール、ドッチボールでしょっちゅう突き指、ソフトボール投げをしたら真ん前にポトリと落ちる、ラケットを振れば空振り、そんな子でした。

体もびっくりするぐらい硬かったです。

そんな私が、友達の影響でうっかりバレエを始めたのは20代半ばです。

始めた当初は

「右脚を横に出す」

と言われても、

「はて?右脚ってなんでしたっけね?

どうすると動くんでしたっけね?」

てな感じで、頭と体が全くつながりません。

両脚で跳んで片脚で下りる、なんてジャンプをやったら脚がもつれて転びそうになったり、そういえばつま先立ちでバランスを崩して足の小指を捻挫したこともありましたっけ。

そんな私を、先生たちは見捨てることなく暖かく指導してくれました。

特に一番最初に出会った先生が私の運命を変えたと言ってもよいでしょう。

なぜ体を動かすことにハマったのか

先生は

お手本を見せてくれ

何をやるのか言葉で説明し

どんなイメージなのかさらに言葉で説明し、

触って修正してくれます。

基本はどの先生も同じかと思いますが、特に最初に習った先生はこのバランスが絶妙でした。

ピラティスの指導の勉強をして知った3つの感覚

・Visual (目で見る)
・Verbal (言葉で聞く)
・Tactile (触れられる)

これをバランスよく駆使して指導してくれていたのです。

さらに先生は「わからないとできない」私の傾向を早々に見抜き、四苦八苦している時や個人的に指導してくれる時は言葉やイメージ多めで説明してくれました。

「有紀さんこういう説明、好きやろ?」

と先生がいたずらっぽくおっしゃっる表情を20年以上経った今でも鮮明に覚えています。

そんな感じの先生でしたから、視覚優位の人にはお手本を見せ、触覚優位の方には触れて直し、と、それぞれに合わせた方法で指導してくれていました。

その先生のクラスが大人気だったのは言うまでもありません。

この先生に最初に習わなかったら私のバレエも続かなかっただろうなあと改めて思います。

見ただけですぐできるようになる人もいるし、先生がちょこっとお直しをすると見違えるように素敵になる人もいるし、私のように分解して言葉で説明されると少しづつできるようになる人もいるし、色々な人がいること、そしてすごい先生というのはその色々に合わせて指導ができることを間近で体験したことが、今考えると私の原点になっています。

「なんでできないの?」

先の知人がこんなことを言っていました。

(バレエをやったとしたら先生に)

「なんでできないんだと思われるかも」

確かに、プロとして踊っていたバレエの先生は子どものころから厳しい訓練をしていて、その訓練がモノになった人ばかり。

大人になって始めた人とはそもそもの前提条件が違うので、先生たちが「普通にできること」は一般人とかけ離れているかもしれません。

自分が当たり前のようにできることをできない大人達を見てびっくりすることもあったでしょう。

しかし、私の歴代の先生たちはもちろん「なんでできないの?」なんて口に出したことはなく、できないことをバカにすることもなく、なぜできないのかを想像力を駆使して考えてくれ、こうしたらできるかも?をいろいろトライしてくれました。

言ってみれば、想像力がとても豊かな人たちばかりでした。

これはその後習ったピラティスなどのボディワークの先生たちも同じで、よい先生は「なぜできないのか」のあたりをつけるのが早く、有益なアドバイスをしてくれます。

私が出会ったのはそんな人たちばかりで、大人になってからは「なんでできないの?」という気持ちを前面に出すような指導者に会ったことがなかったのです。

これはとてもラッキーなことだったのかもしれません。

先の知人はどうも相性の良いトレーナーに出会うことができず、なんでできないかを深堀りしてもらえず、目標に近づけずにかなりフラストしているようです…。

よい指導者に巡り合えるといいのですが。

指導者に必要なのは?

私自身運動が得意でなかったこと、体が硬かったことは指導者として大きなアドバンテージだと思っています。

自分が回り道をしながら辿ってきた道があるので、似たようなことにお悩みのクライアントさんにはもっと近道を提案することができます。

とはいえ、例えば同じ「体が硬い」でもタイプは様々。

私の経験がすべての人に当てはまるわけではない。

またどんな指導が最適か、も人それぞれです。

バレエを習い始めた頃はまさか自分がピラティスを教えることになるなんて考えてもいませんでしたが、当時実感した「人それぞれ」がこんな形で生きるとは全く思っていませんでした。

大前提は「人それぞれ」、そしてどうなっているのだろう?何が起きているのだろう?と想像する「想像力」。

これが私の考える指導者として大切なことです。

豊富な知識や、美しいお手本を見せられる技術ももちろん大切ですが、自分とは別の人間であるクライアントさんに何が起こっているのか、どうしたらより良い状態になるのか、様々な可能性を考えられる想像力、この力を今後も磨いていきたいと思います。

その想像力が豊富な経験、知識に裏打ちされていれば何よりです。

知識を得ることそのものが目的にならないように、今後も学びを深めていきたいと思います。

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