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お肉を食べなくても大丈夫!タンパク質のリサイクルを回す7つの方法

こちらの記事からの続きです。まだの方は、まずそちらをご一読ください。

タンパク質が足りていない気がする。
そのせいで具合が悪いのかも?
じゃ、どうするか?
やっぱり、「お肉をバクバク食べる」?

いやいや!
それ以外にも方法があります!

カギになるのは、リサイクル。タンパク質のリサイクルをクルクル回す方法を考えてみましょう。

ちなみに、この記事の中には、「オートファジー」という言葉が良くでてきます。ご興味があれば、ぜひこちらもご一読ください ↓


1質の良い睡眠をとる

資源リサイクルでもまず大切なのはゴミ出しですね。タンパク質のリサイクルも、古くなってくたびれたタンパク質の分解処分から始まります。

そのゴミ処理作業がもっともはかどるのが、寝ている時間。ですから、睡眠不足だったり、睡眠の質が悪かったりすると、タンパク質リサイクルの停滞につながります。

タンパク質の分解と合成には、リズムがあります。基本的には食後は合成、食間は分解(オートファジー)が優勢になります。そして、一番まとまった時間を確保できて、腰をすえて分解に取り組めるのが、睡眠中なのです。

1日3食だと、こんな感じ
しっかり寝ていれば、こうなるはず
寝れないでいると、こうなります

晩御飯のタイミングも大切です。忙しくて夕飯が遅れてしまい、食べたらすぐ寝る時間……になっていないでしょうか?あるいは、夜食をガッツリ食べるのが、習慣になっていないでしょうか?

「イエス」の場合、布団に入った時にはまだ、タンパク質がさかんに合成されているはずです。オートファジー優勢に切り替わるまでに時間がかかってしまいます。

寝ているあいだに細胞内のゴミをしっかり出し切るためには、夕飯を食べた後、少しくつろぐ時間の余裕を持ってから眠りについた方がいいですね。

2 糖質を摂り過ぎない

なぜ、糖質が関係あるのか?実は、タンパク質の分解と合成のバランスは、インスリンによって左右されているからです。

細胞の中に、タンパク質の合成と分解を切り替えるレバーのようなものがあると考えてください。食事をした後は合成の側にレバーが傾き、時間がたつと分解側に傾く感じです。このレバー操作で、カギになる存在がインスリンなのです。

このバランスを整えるのが大切

インスリンは、食事をした時(特に糖質を食べた時)に分泌されるホルモンですね。インスリンにはたくさんの働きがありますが、その一つが、タンパク質の合成を促すこと。そのメカニズムを簡単にご説明しておきましょう。

インスリンに限らず、ホルモンのお仕事は、細胞たちに「〇〇の仕事をしてください」と指示を伝えることです。細胞膜にはインスリンに対応する担当者が待機しています。

担当者の名前は、「インスリン受容体」

担当者と接触したインスリンは、「タンパク質を合成してください。分解はしないでください」と伝えます。そのメッセージは、細胞全体に知らされます。こうして、操作レバーが切り替わる仕組みになっています。

インスリンは、「オートファジーはやめて」と指示します

問題なのは、食事は糖質たっぷり(ご飯大盛りとか)、甘いお菓子もちょこちょこつまむ……となっている人です。こうなると、一日を通してインスリンが分泌され続けてしまいます。

糖質ばかりなので、インスリンが出続ける


細胞たちはインスリンから、「タンパク質を合成しなさい」と一日中指示され続けることになります。これでは、操作レバーはずっとタンパク質合成の方に傾きっぱなしです。

ちょっと、極端なバランスですよね

一見、タンパク質合成の時間ばかりですから、マッチョになりそうですけど……決してそうはなりません!逆に、タンパク質不足に要注意です。

本来は、食事から摂るタンパク質の約3倍のタンパク質がリサイクルされて、新品を作る材料として利用されているはずなのですが…
上のイラストでも分かるとおり、分解の時間がほとんどないので、リサイクル材料が出てきません。これでは、新品タンパク質を満足に作れなくなってしまいます。

分解量が少ないと、合成量も減る

まとめますと、糖質摂り過ぎは、タンパク質のリサイクルを悪くして、タンパク質不足につながる、ということですね。もう1つ、糖質の摂り過ぎは、オートファジーを強く抑制する、ことも覚えておいてください。

3 毎食、しっかりタンパク質を摂る

当たり前のことですが、からだの中でタンパク質を作るためには、食事からしっかりタンパク質を摂る必要があります。動物性食品を避けている人なら、タンパク源となる豆料理を意識して増やした方がいいですね。

「食後はタンパク質が合成される時間」とお話ししましたが、あくまで「合成されるはず」の時間です。その食事から十分なタンパク質が摂れていないと、タンパク質をスムーズに合成できません。

インスリンは、細胞に「タンパク質を合成してください」と伝達してまわります。そこで細胞はタンパク質を作る気満々でスタンバイしてくれているはずですが……

しか~し、材料がなければ合成できない

食事からしっかりタンパク質を摂っていないと、からだの中でタンパク質を作る材料が足りません。

タンパク質摂取量が少なくてもダメ

繰り返しになりますが、食後はあくまで、タンパク質が合成されるはずの時間です。実際に合成されるためには、毎回の食事からしっかりタンパク質を補給する必要があります。「晩御飯は焼肉だから、お昼は海苔茶漬けだけでいいや」、はダメですよ!

毎回の食事に高タンパク食品を

4 加えると良い食品

オートファジーを活性化させて、タンパク質のリサイクルを助ける効果が期待できる栄養成分がいくつも見つかっています。

オートファジーを活性化させる成分と食材
●スペルミジン
 納豆 味噌 チーズ
●レスベラトロール
 赤ワイン
●アスタキサンチン
 サケ イクラ エビ
●カテキン
 抹茶 緑茶
●ウロリチン
 ザクロ ナッツ類 ベリー類

いずれの成分も、動物実験や人体から取り出した細胞を使った実験で効果が認められているだけで、ヒトを対象にした臨床試験は行われていません。ですから、実際にどれくらい食べれば、オートファジーにどれだけ影響があるのかはまだ分かっていません。

今後の研究成果が待たれるところですが、とりあえず、「細胞からゴミがポイポイ捨てられていく~ どんどんキレイになっていく~」とイメージしながら食べるておくといいかもしれません。特に納豆やサケなどはタンパク質が豊富ですし、お勧めですね。

5 脂っこい料理を避ける

オートファジーは、年をとるにつれて働きが衰えていき、60歳を超えるとガクンと落ち込むようです。どうしてそうなるかは分かっていなかったのですが、原因候補としてとっても怪しいヤツが2009年にみつかり、「ルビコン」と名付けられました。

ルビコンはもともと細胞の中にあるタンパク質で、オートファジーを抑制する働きがあります。そして、年をとるにつれてどんどん増えていきます。

ルビコンの増加にブレーキをかけられれば、高齢者でもスイスイ細胞のゴミ出しができて、老化を遅らせられるのではないか。健康寿命を延ばせるのではないか、として世界中で研究が進められています。

そこで分かってきたのは、脂っこい食事を食べ続けていると、肝臓の細胞の中でルビコンが増えてしまうこと。「脂っこい食事を避ける」は、タンパク質不足を防ぐ面からも望ましい食事の仕方と言えそうです。

しつこい揚げ物はルビコンを増やす

6 適度な運動を習慣に

タンパク質の分解(オートファジー)のお話に偏ってしまいましたが、合成もとっても大切です。あくまで、新品の元気なタンパク質をしっかり合成できるように、せっせと分解して資源を確保しているわけですからね。

そして、この合成のプロセスの中で決定的に重要なのは、運動。からだを動かすことです。

骨折して松葉杖で歩いていると、使っていない方の足の筋肉がごっそり落ちてしまいますね。このように、使っていないと筋肉が落ちます。動いていないと、からだの中のタンパク質がどんどん減ってしまいます。

タンパク質は大事だと思ってお肉とかせっせっと食べていても、毎日おうちでゴロゴロしていたら、タンパク質を増やせませんよ〜

運動はタンパク質合成に不可欠!

7 ストレスをためない

タンパク質不足が気になる人にとっては、ストレスも大切なチェックポイントになります。

ストレスがかかった時には、ストレスホルモンと呼ばれるホルモンが分泌されます。代表的なものにコルチゾールがあるのですが、このコルチゾールには、体内のタンパク質の分解を促す作用があります。

ストレスがかかると分解が亢進

タンパク質がドサッと分解されれば、タンパク質を作る材料になるアミノ酸もドサドサ出てきます。そこで新しいタンパク質をジャンジャン合成……できれば良いのですが。

タンパク質の合成作業は、急にペースを上げることができません。細胞の中で作業する分子たちがいくら頑張ってくれても、材料がまとめてドカンと届いた時には、その一部しか利用できません。

どんなに急いでも、限界が……

では、利用できなかったアミノ酸はどうなるか……
分解されて、排泄されてしまいます。ですから、ストレスまみれの毎日になってしまうと、体内のタンパク質量はどうしても減少しやすくなります。

大切なアミノ酸が垂れ流しに……

こちらの記事では、動物性食品をほとんど摂っていないのに、タンパク質不足もなく、元気いっぱいのAさんをご紹介しました。

Aさんは、家庭や職場の人間関係も良好で、やっかいなストレスもなく睡眠もしっかり活発で行動的糖質や脂ものの摂り過ぎもありません。タンパク質のリサイクルを快調に回せているのが伺えます。

これなら、動物性食品を食べていなくても、タンパク質が不足する心配はない、ということですね。

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