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毎日投稿

できない。私にはできない。ひとつの原稿を仕上げるのに時間がかかりすぎる。日記でも小説でも、毎日投稿できる人はすごいし、偉い。

どうやって書いているのだろうと思う。もしかしたら休日にあるていど書きためて、平日に少しずつ出しているのかもしれないが、それにしたって、とてつもない文章の量だ。
仮に1日あたり2000字書くとして、1週間で14000字、1ヶ月で60000字だ。たった1ヶ月で中編小説が1本書けてしまう。3ヶ月くらい続ければ長編小説ができあがる。もうなんだってできる気がしてしまう。
何度でも言うが、毎日投稿している人は本当にすごい。特に小説投稿サイトでそれをやっている人がすごい。それなりの完成度で一気に書き上げてしまうというのが、私には難しい。

というのも、私は小説を書くときに(みんなもそうかもしれないが)、いくつかの段階を踏まえなくてはならないからだ。絵を描くときみたいにまずはあたりをつける。登場人物の言動や場面をおおざっぱに書く、というのを始まりからお終いまでやる。「枠を作る」と私は勝手に呼んでいる。
そこから肉付けしてゆく。主に描写や、エピソードを加える。あまり何も考えずに書きたいことを、めいいっぱい書いてしまう。
そのあと全体をみて、不要な部分を削る。エピソードをまるまる削るときもある。削ったら、そこを滑らかにするための文章を書く。削ってはちょっと書くというのを、何度もやって整えてゆく。
途中でやっぱりこうしたら良いのでは……と思ったら、また加筆して削りというのをやって……その上、自分で書いたにも関わらず、気に入らない文章が必ず出てくるので、これを何度も直して、とやっているうちに、とりあえず原稿が完成する。
それを今度、(できるだけ)人に見せる。見せると何かしら意見をもらえるので、指摘されたところを直す。そういうふうにしているので、圧倒的に時間がかかってしまって、とてもではないが、私の書き方(題材もだが)は小説投稿サイト向きではない。
たまにするする書けるときがあっても、何度も削ったり書き直したりすることには変わらない。このやり方でしか、私は小説を書けない。

これをデジタルでしているので完成稿はすっきりして見えるが、アナログになるとけっこう見づらいのだろうなと思う。レヴィ=ストロースの原稿みたいに、沢山の色を使ったり、紙を切りはりしたりして……あれは一種の芸術作品っぽいけれど。

小説投稿サイトは時間との勝負だ。ランキングに載るためにも、毎日更新しなければ認知されないし、人が見る時間帯を見極めて投稿しなくてはならない。流行りのジャンルもあるし、定石もある。厳しい世界だ。並大抵の努力ではランキングに載れない。宣伝するためのSNSだって更新しなければならないはずで……正直、面倒だ。私は物語のことだけを考えていたい。確かに人には読まれたいが、他人なんか知るかって気分にもなってくる。毎日投稿がなんだ。私は私のやりたいようにやるぞ。

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