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1等星は2等星の何倍明るいのか? 世界一わかりやすい対数目盛の使いどき

星の歌といえば、私はKANA-BOONの「結晶星」。
等身大の爽やかな名曲だ。

歌詞のなかで「欲望星」「劣等星」「結晶星」と色んな星が出てくる。

私たちの共通認識として「星のランク設定」があることが、この歌詞の前提になっていると感じる。


1等星は6等星の100倍明るい

星のランクは1等星~6等星の6段階で設定されている。
もちろん明るさについてのランク付けだ。

古代ギリシアに「ヒッパルコス」という偉大な天文学者がいた。
紀元前190年~紀元前120年と、2200年近く前の方。

このヒッパルコスさん、偉業を成し遂げすぎていて枚挙に暇がないが
「1等星~6等星のランク付け」もそのひとつ。

彼はギリシャのロードス島でひたすらに天体観測をしていた。

シンプルに羨ましい。


そこでヒッパルコスさんは星を分類する。

肉眼で見える最も明るい星を「一等星」とすることとし、
反対に肉眼でギリギリ見える暗い星を「六等星」とすることにした。

この明るい星は全部で21個だ。

そして一等星から六等星までの星を
それらを含めて六段階に分類したのがおなじみのこれだ。

そんな星たち。
実際、これらの明るさってどのぐらい違うの??と気になるところ。

時が流れ、星の明るさを機械で測定できるようになった。
その結果分かったのが「1等星は6等星の100倍明るい」ということだ。

100という数字にも何か意味がありそうで、
ヒッパルコスさんすごすぎるわ...とハロー効果が全開になる。


挫折しない統計学入門

実はこの話、いま読んでいる「挫折しない統計学入門」という本で紹介されていたものだ。

こちら関西大学教授の浅野先生の素晴らしい著作で、もう相棒として何日も勉強させて頂いている。とにかく興味を引く例題が素晴らしい。

それでは、2等星から5等星まではどう変化していくのだろうか??
というのが、数学の問題としての本題になる。

2等星から5等星

機械で測った結果わかった条件は次のふたつだ。

・1等星は6等星の100倍明るい。
・星の明るさは等級がひとつ上がるごとに一定量増えるのではなく、一定倍率を掛けたものとなる

そもそも紀元前の肉眼観察で、現代技術で測定しても一定倍率を掛けたランクになっていたヒッパルコスさんの能力が異次元すぎるが、ここではスルーする。

立式してみる。(以下手書き)


ということで、星の等級がひとつ上がると
星の明るさは「2.512倍」になる。

よって、タイトルの件は
「1等星は2等星の2.512倍明るい」だ。


世界一わかりやすい対数目盛グラフの使いどき

で?というところだが、実はこの本において
『「対数目盛のグラフ」はこういうときに使うと分かりやすいで!』
という例で出てきている。


データを見ていると、わりと対数目盛の資料というのはよく出てくる。
これは天文学の例の引用だが、ビジネスではこういう状態の数が非常に多い。

おためしキットだけ、桁がいくつも違う数売れたりする。


そこで対数目盛をとってこんな感じのグラフにする。

分かりやすくなったものの、原理が腹落ちしていないので
若干ふわふわしながら使っていた。


それが今回の「星の明るさ」の例で一気に理解出来た。
浅野先生は本当にすごい...

これはグラフを作ればすぐに分かる。
先ほどの星の明るさを「2.512倍ずつ」上がるとしてExcelに打ってみた。

これをグラフにしてみると・・・

こんな風になる。
これはこれで、1等星がバツグンに明るいことが分かってよい。

しかし「2.512倍」の件を知らない方に見せた場合、
星の等級の変化の法則はこのグラフからはパッと見分からない

これがパッと見で分かるのが
対数目盛だ。

もとのグラフはふつうのグラフなので、
当たり前だがひとメモリ上がるとひとつずつ数字が増える。
この場合は20ごとに線が引いてある。

対数目盛は「掛け算」で数字が増えていく。

この場合、ひとメモリで2.512倍ずつ増えるよう設定してあげると・・・

なんとこのように直線になる

一定倍率で変化していく法則が非常に分かりやすい。

これは世界一わかりやすい対数目盛の説明だと感じた。浅野先生は偉大だ。


個人的には、110%ずつ売上が伸びていくとこうなる
といった試算の話をするときなど使えるな、と思っている。

ほかにも素敵な例え話がたくさんで、読んでいると数学すごい!自分も使える!と感じられた。

仕事で少しでも数字を使う方なら絶対に役に立つかと思う。名著「挫折しない統計学入門」ぜひ一度お目通し頂きたい一冊だ。


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