ゆこ@至心舎

編集ライター&防災ファシリテーター。 企画・編集、校正・ライティング、DTPデザイン、情報発信、ワークショップ支援など。 防災やリスク管理に関するセミナーの講師としても活動中。 大阪ものかき隊編集校正部部長。防災士。ソーシャルビジネスサポートセンター嘱託講師。

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    名前なき存在も 言葉をもてば強くなる

    「私ね、手術したら大変なことになるよ」 娘が私に訴えてきた。 「麻酔かけるやつ。100から7ずつ引いて数えてください~って」 ああ、全身麻酔かけるときに、数を言わせて眠らせるってやつね。 「100。・・・93。・・・」 彼女が指折り数え始め、ひとつめで固まる。 「・・・だめ。次がでてこないもん。すぐ切られたら痛い」 あぁ。計算できないから黙ってるのに麻酔が効いたと間違えられてメスを入れられたら痛いじゃないかと。いやそんな手術はないやろ。 まあ、繰り下がり、苦手や

      • 右の頬を打たれたら

        お人好しの話をしていて、思い出したことがある。 幼かったころの話だ。たぶん、幼稚園の年少組か、そのへんの。 母によると、私はずいぶんお人好しだったらしい。 幼稚園に持っていったクレヨンセット、お友達から「貸して~」と言われて「いいよ~」と差し出した。 手元に戻ってきたら、ちびって折れてボロボロになっていた。 なのに、ニコニコして持って帰ってきたそうだ。 自分ではまったく覚えていない。誰かにものを貸したり順番を譲ったりするのは日常茶飯事のことだったのだろう。 「こん

        • 冬の空も、青くなる

          ぽつぽつとしたみぞれは、みるみるうちに雪になった。 黒いパーカーに白く冷たい粒が張り付く。 眼鏡にも、マスクにも。 構わず歩き続けた。 今日はこんな天気が似合っている。 ◇今日は、私がたいせつにしている友人の、いちばん苦しさが募る日だ。 彼女のたいせつな息子さんが、 自らの意志でこの世と別れてしまった日。 2年前のこの日、イベント会場の下見で彼女といっしょだった。 携帯電話が鳴って彼女が席を外し、なにやら揉めているのかと思った途端、この世のものと思えない嘆きの音が響

          • 情が汲めない母、理屈が通じない娘

            年末、入ってくる情報を毎回頭からリロードする四女の話を綴った。 このなかに、彼女が音と色の共感覚を持っているようだという話を載せたのだが、読んでくれた友人が『共感覚者の驚くべき日常』という本を贈ってくださった。(Sさんありがとう!) 正月に一気読みした。 面白かった。 共感覚の種類や共感覚者の言動が、ではない。 友の一言をきっかけに、科学と認識されてさえいなかった共感覚の正体を暴こうと神経学の医師が探求する、その姿勢がよかった。調査し、仮説を立て、反証し、実証し、考察す

            誕生日は誰のため

            明治生まれだった祖母の誕生日は1月5日だった。 寡黙な人で身の上を自分から話すことはなかったが、何気なく生まれを聞いたら教えてくれた。当時は誕生日の記録がなかったため、数え年の倣いで正月生まれにされたのだそうだ。では5日になった理由は? 「いつか生まれたんだしということで、適当に決まった」 駄洒落かい! と大笑いしたことを覚えている。 私がまだ学生のころだった。 ★自分が誕生したときの記憶をもっている人はいない。通常であれば人の誕生はまず周囲の記憶に残され、その記憶が

            感謝の言葉は要りません

            2020年12月10日、「日本看護管理学会より国民の皆さまへ ナースはコロナウイルス感染患者の最後の砦です」という声明が出された。 その中の一文が目に止まった。 私たちは自分の仕事を全うするだけですので、感謝の言葉は要りません。 ただ看護に専念させて欲しいのです。 25年前の苦い記憶が蘇った。 ★当時、私は出版社に所属する編集員だった。 書籍が中心の出版社で、年度末は恐ろしい繁忙期となった。電算写植からDTPに移行する過渡期のころで、パソコンもメールもなく、紙と郵便と

            プロライター秘伝 ライティングを5倍加速させるアイテム7選

            今は、かつてないほどに文字があふれています。SNSにブログ、まとめ記事、リニューアルと称した焼き直しや水増し・・・。文章に差がつきにくい時代だからこそ、効果的にライティングできるツールは重要です。 毎月数十万の文字と向き合う編集ライターがこっそり、いつも使っている便利ツールをご紹介します。 ※定番ツールは入ってないです。たぶん。ご了承ください。 事前調査でおすすめのアイテム ライティングで大事なのは「いきなり書かない」こと。タイトルや内容が決まっていても、すぐキーボー

            曇天に映るもの

            彼らはまばゆい光の中、舞い踊り、歌った。 誰もがどこかで聞いたことのある旋律、甘ったるいフレーズ。 きらびやかな舞台のすぐ外にはしかし、冷たい闇が広がっている。 感染症対策で彼らの引退イベントが軒並み中止となり、今月最後のコンサートも無観客になった。 目眩がするほど輝くステージの周囲は、一声の歓声もない深淵だった。 フレームに入る世界とその外側の落差は天と地のそれよりも大きい。 しかしこのイベントには、わずかだが地を這う者の抵抗があった。 主催者側の計らいか自主的な行動か