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週刊!リハマガ! ~整形リハビリの考え方~

マガジン名を変更し、内容もリニューアルしています!リニューアルした記事は値上げしますので、早めの登録がおすすめです! このマガジンでは運動器の文献から得た知識をまとめて発信しま… もっと読む
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#作業療法士

大殿筋の機能低下が生じると… ~段階的負荷、トレーニングの工夫と注意~

大殿筋は身体の中でも最も大きい筋断面積を持つ筋肉で、身体の中で一番強力な力を発揮するとも言われています。 大殿筋の強力な力は股関節の安定性に寄与するだけでなく、腸脛靭帯を介して膝関節の安定性や胸腰筋膜を介して腰部の安定性にも寄与しています。また、バイオメカニクスの観点から足関節の安定性にも寄与していると述べられています。 そのため、大殿筋の機能は体幹~下肢の安定性においてとても大切になります。逆に考えると、大殿筋の機能不全が生じると体幹~下肢の安定性が低下し、多岐の障害に

腱炎・腱症・腱障害とは? ~介入は異なるのか?~

それぞれの言葉の定義を理解しておくことで、ドクターや多職種との連携もスムーズにいきますし、言葉の定義を知れば評価や介入にも生かすことが出来ます。逆に考えると、言葉の定義を知らないと評価も正確にできず、介入することで状態を悪化させる可能性もあります。 そこで、まず始めに”腱炎・腱症・腱障害”のそれぞれの言葉の定義について解説していきます。 腱障害(Tendinopathy)は痛みや腫れを引き起こすあらゆる腱の状態を指す広義の用語です。つまり、腱の状態をすべて含めた言葉になる

足関節背屈の基礎 ~定義や運動方向を理解していますか?~

皆さんにまず問題です。 すべて知っている方はすごいです!この記事は読まなくてもよいくらいの足部マスターだと思います!足部には骨が26、関節は33、靱帯は107、筋肉が19存在しています。 これらの組織すべてが協調して働き、人の体を支えています。レオナルド・ダ・ヴィンチは「足は人間工学上、最大の傑作であり、そしてまた最高の芸術作品である」と述べたといわれるほど、足部は機能的であり、美しく動く必要があるのだと思います。 そのため、足部を構成する組織が1つでも障害されてしまう

症例から学ぶ肩関節可動域制限 ~拘縮肩・腱板損傷の可動域を拡大させる!~

今回の記事は肩関節周囲炎(拘縮肩)、腱板損傷の2症例から、関節可動域拡大に向けて、私が臨床でどのように評価・介入をしているのかを提示させていただきたいと思います! 問診や挙上動画から、「どのような点に着目するのか?」また「どのような評価が必要になるのか?」「評価からどのような介入が必要なのか?」など、私が臨床1~3年目の時に欲しかった内容を詰め込みました。参考になれば幸いです! 1.症例紹介(凍結肩)1症例目は肩関節周囲炎(凍結肩)の症例になります。顕著な可動域制限と運動

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股関節屈曲制限の原因はどこにある? ~基礎編~(軸・運動学的な視点)

股関節の屈曲可動域は立ち座り、足を組んだ座位、靴ひもを結ぶなどの日常動作で大きな可動範囲が要求されます。また、スポーツ活動ではジャンプ動作、蹴る、投げる、踏み込むなどの動作でかなり重要となります。 股関節はMobility関節であるため、本来は大きく動いてほしい関節ですが、動きが悪くなるとStabiility関節である腰椎や膝関節が動きを代償します。つまり、関節本来の役割が発揮できないので(作用が逆転)、腰椎・膝関節の障害発生の原因になると考えられます。 例えば、股関節屈

第一肋骨疲労骨折を見落とさないポイント! ~なぜ?そんな場所に痛みが出るのか?~

第一肋骨疲労骨折は発生頻度が全肋骨骨折の中でも0.05~5%%と発生率が少ないです。私は今までに3例の症例を経験していますが、1年に1人携わることができるかできないかの頻度になります。 ですが、第一肋骨疲労骨折を見逃してしまうと、骨折の痛みを肩関節や肩甲骨や胸椎の問題による痛みと考えてしまい、症状を悪化させてしまう可能性があります。そのため、第一肋骨疲労骨折を見逃さないために、発生原因と症状を頭の中に入れておく必要があります。 1.第一肋骨疲労骨折が生じる原因第一肋骨疲労

肩関節挙上制限 ~上腕骨と肩甲骨の運動学から考える評価と介入~

肩関節の運動は肩甲上腕関節や肩甲胸郭関節だけでなく、肩鎖関節・胸鎖関節、解剖学的な関節とは言えませんが第二肩関節など多くの関節の複合運動で達成される運動になります。 多くの関節運動が肩関節の運動に関与するのですが、挙上運動に限って言えば、上腕骨と肩甲骨の複合運動が重要になります。上腕骨の運動は肩甲上腕関節、肩甲骨の運動は肩甲胸郭関節の運動になります。 この上腕骨と肩甲骨の運動は古くから述べられており、Scapulohumeral Rhythm(肩甲上腕リズム)と名付けられ

日常で肩の負担となる動作 ~何を見て何を考える?肩の痛みとの関係性~

みなさんが考える肩の負担となる動作はなんでしょうか? 「重いものを持ち上げる仕事」「長時間、座り続けている仕事」「洗濯物や掃除」それとも「上肢を繰り返し挙上するスポーツ」でしょうか? これらの動作は確かに、肩に負担が加わる動作になります。 では、これらの肩に負担となる仕事や動作を行うと、必ず肩に痛みが出現するのでしょうか?この考え方は「YesでもありNo」でもあります。例を挙げると、プロ野球選手で肩に痛みが出て、手術する選手もいれば、肩に痛みが無く投げ続けることができる選手

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何が損傷している? ~組織損傷から考える捻挫への介入~

足関節捻挫は日常生活やスポーツ活動において、一番生じることが多い怪我の内の一つです。足関節捻挫の一般的な考えは”そんなに大した怪我ではない”といったような考え方が多いのが現状です。 しかし、足関節捻挫が生じると骨、靱帯、筋肉など多くの組織が損傷する可能性があり、痛みが長続きしたり、後遺症が残存することも多くあります。 MRIを用いて急性足関節内反捻挫の損傷部位を調査した報告によると、96%に前距腓靭帯の損傷がみられ、踵腓靭帯の損傷も80%みられたと報告されています。靱帯だ

石灰沈着性腱板炎 ~介入はどうする?~

肩関節の疼痛が出現する疾患に”石灰沈着性腱板炎”があります。石灰沈着性腱板炎は、一般的に30~60歳代に発症し、男性よりも女性に多いと述べられています。有症状の発生率は6.8%と報告されています。 この”石灰って何者?”となりますが、簡単にいうと、”石灰は骨や歯と似ている成分”です。その石灰が肩関節周囲に存在する組織の中にできてしまい、悪さをすることで肩関節に機能障害が出現します。 実は石灰ができる明確な原因はわかっておらず、今も議論が続いています。ですが、推論として”退

膝関節伸展制限 ~軟部組織の影響~

今回の記事では、”膝関節伸展制限と軟部組織”の関係性について記載していきたいと思います! 以前の記事で、膝関節伸展制限が生じるとどのような影響が身体面や生活面に生じるか記載してありますので、そちらもご覧ください。 1.膝蓋上嚢と膝関節伸展制限膝蓋上嚢に問題があり、膝関節の伸展制限に関与している場合、症状として ・膝関節の腫脹 ・膝関節伸展時の違和感や圧迫感 などが出現します。このような症状が認められる場合は膝蓋上嚢の問題を疑う必要があります。 1-1.膝蓋上嚢の解剖

中殿筋の機能低下が生じると… ~改善に向けた段階的負荷、トレーニングの着目点と注意点~

股関節外転筋の筋力低下は通常、中殿筋の筋力低下と考えられることが多いです。中臀筋が股関節外転筋の中で最大の体積と生理学的断面積を持っているという点では相違は無いと思います。 大殿筋も外転作用がありますが、主たる作用は股関節伸展になりますので、今回の記事では「股関節外転筋の筋力低下=中殿筋の筋力低下」と解釈して頂けると幸いです! 1.中殿筋の構造と役割中殿筋は前部・中部・後部線維の3つに分けられています。前部線維と後部線維の大部分は、それぞれ表面に位置する大腿筋膜張筋と大殿

日常生活でかなり問題となる足関節底屈制限 ~神経の問題に着目して~

足関節背屈可動域制限はセラピストが大好きな介入ポイントですが、足関節底屈可動域制限は以外に盲点となっていることが多いです。しかし、足関節底屈可動域制限は背屈可動域制限と同じくらい、日常生活上問題です。 足関節底屈可動域制限が存在すると、衣服や靴の着脱、階段昇降、歩行の蹴り出しなど、多くの日常生活動作に制限が出現します。 いろいろ足関節底屈可動域制限の原因はありますが、私が経験したものでは足関節の外傷や下腿伸筋群の短縮、それに伴う”神経の損傷や絞扼が多い”印象があります。

人工股関節全置換術後の歩行 「意外に多い歩行障害の残存に対し、何を見て何に介入する?」

変形性股関節症(以下:股OA)は股関節の重大な疼痛や障害を生じさせる原因となる疾患です。45歳以上の4~9%が症候性の股OA(症状が存在するOAのこと)を抱えていると考えられています。 症候性の股OAでは、症状を管理するために保存療法や投薬などが用いられます。しかし、保存的介入でも症状が緩和、軽減しない末期の股OA患者に対しては、人工股関節全置換術 (以下:THA) が適応となることもあります。 THAを実施することで、痛みの軽減、股関節機能の回復、生活の質の向上します。