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週刊!リハマガ! ~整形リハビリの考え方~

マガジン名を変更し、内容もリニューアルしています!リニューアルした記事は値上げしますので、早めの登録がおすすめです! このマガジンでは運動器の文献から得た知識をまとめて発信しま… もっと読む
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#理学療法

扁平足は改善するのか? 運動でどこまで改善する?

人間の足部は複雑な構造をしており、さまざまな組織がそれぞれの機能を果たすことで、身体が支持されています。 そして、足部の骨・靱帯・筋が内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチの3つのアーチを形成します。これら、3つ個々のアーチの働きも大切ですが、協調的なアーチの関係性も大切になります。 足のアーチの構造と動きの変化は衝撃吸収、体重伝達、移動中の推進力の提供などの足部機能に不可欠です。また、足底腱膜などの軟部組織と合わせた弾性特性により、床反力を吸収し、分散させることができ、筋

シンスプリント「最新知見から介入を考える!休めば治るからの脱却!」

シンスプリント(以下:MTSS)はランナー(長距離・短距離)に多く生じる疾患です。MTSSの特徴としては、脛骨内側部近位1/2~遠位1/3にかけて疼痛を訴えることが多いです。また、走ったり、ジャンプしたりすると同部位に疼痛が出現し、悪化すると疲労骨折に繋がることもあります。 シンスプリントのその他の特徴として ・女性に多い(中高生で多く発症) ・初期では運動開始時のみに痛みがある ・脛骨近位1/2~遠位1/3に疼痛、圧痛がある ・重度化すると安静にしていても疼痛がある(歩け

何が損傷している? ~組織損傷から考える捻挫への介入~

足関節捻挫は日常生活やスポーツ活動において、一番生じることが多い怪我の内の一つです。足関節捻挫の一般的な考えは”そんなに大した怪我ではない”といったような考え方が多いのが現状です。 しかし、足関節捻挫が生じると骨、靱帯、筋肉など多くの組織が損傷する可能性があり、痛みが長続きしたり、後遺症が残存することも多くあります。 MRIを用いて急性足関節内反捻挫の損傷部位を調査した報告によると、96%に前距腓靭帯の損傷がみられ、踵腓靭帯の損傷も80%みられたと報告されています。靱帯だ

鵞足炎はなぜ生じる? ~解剖から発生機序を知り、評価-介入に繋げる!~

変形性膝関節症(以下:膝OA)では膝痛や歩行障害、筋力低下など様々な問題が生じます。中でも、膝OAで最も頻繁に見られた問題は関節液貯留であり、続いて鵞足炎(鵞足滑液包炎)と言われています。 つまり、膝OAでは関節内の問題と関節外の問題が同時に生じる可能性がある疾患になります。今回の記事では、関節外の問題である”鵞足炎(鵞足滑液包炎)”について、鵞足の解剖から発生機序を知り、評価-介入はどうするのかを考えていきたいと思います! 1.鵞足の解剖縫工筋、薄筋、半膜様筋の3つを合

私が実施しているアキレス腱の評価-介入

アキレス腱の障害はスポーツ選手だけでなく、一般的な生活をしている方でも生じる障害です。アキレス腱障害は一度発生すると、長期にわたって症状が残存する方も多くいます。 今回の記事では、アキレス腱の解剖から ・どの部位にストレスが生じやすいのか? ・なぜアキレス腱障害が生じるのか? ・アキレス腱の評価や介入方法はどんなものがあるのか? などを考えていきたいと思います! 本記事の内容は下記のようになっております。 1.アキレス腱の解剖アキレス腱は身体の中で最も強く、大きな腱です

ラセーグテスト使用方法の多様性 ~痺れ・痛み・硬さの解釈~

腰痛は一般的な筋骨格系疾患であり、私の勤めているクリニックでも、3割程度は腰痛で来院される方が占めています。また、腰痛に併存する症状として、下肢への関連痛(患者の約60%とも述べられています)があります。 下肢への関連痛は坐骨神経の走行に沿って出現することが多いため、坐骨神経痛と呼ばれることが多いです。坐骨神経は4番目と5番目の腰神経根と最初の2つの仙骨神経根が結合して腓骨神経と脛骨神経を形成し、坐骨神経として骨盤から出て、遠位まで走行します。 この坐骨神経を構成・走行す

~これを知れば肩関節の介入が変わる!~ 棘下筋を見るPoint!可動域制限を改善するために重要なこと…

肩関節にもアウターマッスルとインナーマッスルが存在します。インナーマッスルはアウターマッスルよりも早期に活動し、関節運動が生じる前に、関節を安定化させる役割があります。 肩関節でいうインナーマッスルは棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋(腱板筋群)の4つになります。もし、これら腱板筋群の機能低下が生じると、関節が不安定な状態で運動が生じたり、腱板筋群の機能を補うためにアウターマッスルの過活動を引き起こす可能性があります。 腱板筋群の機能低下による、肩関節の不安定性や三角筋や大

小殿筋の多彩な役割

小殿筋は大殿筋や中殿筋の深層に存在し、関節包に隣接しているため、股関節の安定性に重要と考えられています。また、股関節の外転運動だけでなく、関節包の動きを引き出す役割もあると考えられており、小殿筋には多彩な役割が存在する可能性があります。 今回の記事では、”小殿筋”にスポットライトを当てて、機能解剖や歩行時の役割、関節可動域制限との関係性などを考えていきたいと思います! 1.小殿筋の解剖と機能小殿筋の起始は腸骨外側面の前殿筋線の前方で、停止は大転子の前面(Anterior

1st外旋制限のみ? ~CHLは多方向のROM制限に関与する!~

凍結肩は人口の2%~5%が罹患していると報告されており、女性に多い疾患です。凍結肩は50~60歳代に最も多く、ピークは50代半ばです。 凍結肩の最大17%では、5年以内にもう一方の肩にも発症する可能性があります。 凍結肩は自然回復すると考えられていますが、関節包の線維化や変性の程度によって、症状が何年も続くこともあります。Manske RCらの報告では、「痛みと可動域制限からの回復には通常1~3年かかり、最大でも20~50%の患者が持続的な痛みとROM制限に悩まされている」

中殿筋の鍛え方 ~場面にあった運動、トレーニング方法を選べていますか?~

中殿筋は変形股関節症、膝関節症の筋力改善や歩行安定性の獲得、バランス機能を再獲得、スポーツ外傷の発生予防のため、評価-介入されることが多い筋肉です。 中殿筋のトレーニング方法として、よく用いられているのが股関節外転です。では、股関節外転は中殿筋の介入方法として適した方法なのでしょうか?他に良い方法はあるのかを考えていきたいと思います! 1.中殿筋の機能解剖まずは、中殿筋の機能解剖を考えていきます。中殿筋は前殿筋線と後殿筋線の間に存在している筋肉になります。起始は腸骨外面の

肩関節の滑液包 ~それぞれの滑液包の特徴と役割を知る~

滑液包は全身の至る所に分布しています。滑液包の機能は「構造物に対するストレスの軽減」や「関節の動きを引き出す」ことが主な役割となります。 特に肩関節は可動性が大きく、周辺組織も多く存在しているため、ストレスを軽減させるため、肩峰下滑液包、烏口下滑液包、三角筋下滑液包、肩甲下滑液包などの滑液包が多く存在しています! これらの滑液包は肩関節の運動に重要なのですが、滑液包に過剰なストレス(摩擦や圧縮)が加わると、腫脹や炎症などの問題が生じ、肩の疼痛や機能不全に関与してしまいます

前鋸筋への介入をする前に…~効率を上げる下準備~

前鋸筋への介入はスポーツ選手や肩関節疾患がある患者さんでは実施されること多いと思います。例えば、スポーツ選手(オーバーヘッドスポーツ)であれば、肩甲骨の安定性を改善するために実施されるかもしれません。 また、肩関節周囲炎で腱板機能が低下している場合やPainful arcが認められるような患者さんでは、肩甲骨の動きを引き出すために前鋸筋への介入が選択されるかもしれません。 僧帽筋と前鋸筋のバランスを改善させ、協調的な肩甲骨の動きを引き出し、肩関節可動域の改善や腱板筋の収縮

僧帽筋の硬さは肩こりを引き起こすのか?~そんな単純明快な話ではない~

日本における肩こりの有訴者数は男性が2位、女性が1位です。コロナの影響でデスクワークの時間が増え、スマホの普及なども影響して、国民病かつ現代病が肩こりだと思います。 肩こりには定義が定められており、「後頭部や肩、肩甲骨にかけての筋肉のこわばりによる不快感や鈍い痛み」と定義されています。つまり、痛みだけでなく、感覚的な問題も肩こりに含まれるということです。 肩こりは原因がわからない肩こりを一次性、原因となる疾患がある肩こりを二次性に分けています。今回の記事では、原因となる疾

母趾外転筋の機能から介入を見つける!~足部形態・歩行への影響~

足部内側縦アーチ(MLA)は骨構造、靭帯支持、足部外在筋および足部内在筋のすべてがMLAの支持に寄与しており、歩行中の回内やMLAの低下を制御する役割を担っています。 MLAに寄与する構造が障害されると、過回内やMLAの低下が生じ、衝撃吸収機能が適切に作用しない可能性があります。そのため、組織に加わるストレスが増大し、シンスプリントや足底腱膜炎などの二次的な障害を引き起こす可能性も考えられています。 また、MLAが低下すると、足部が柔らかい状態となります。そのため、歩行の