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ビックカメラの企業分析 ~OMOの雄を目指す家電量販店~

皆さんこんにちは。YJキャピタルの山下(@JP_YJC)です。

週一回くらいのペースで上場企業の企業分析のnoteを連載しています。

今日はあのCMソングでお馴染みのビックカメラをご紹介します。

え? 今までオールアバウトパピレスメドレーとかweb系企業紹介してたのに、急に家電量販店とかジャンルが変わりすぎ?

実はそんなことないんですよ。
なんとビックカメラ、実は2019年時点でECサイトのGMVは1,000億円まで売上が急拡大していて、直近で非常にEC戦略が好調な企業なんです。

EC業績

今回は、家電量販店がなぜECに挑戦したのか?市場の変化に対してビックカメラはどんな戦略を打っていくのか?をご紹介する記事になります。

事業紹介

ビックカメラはみなさんご存じの通り、全国200店舗以上を持つ家電量販店です。
先ほどご紹介したGMV1,000億円越えのECサイトと、全国各地の店舗網が特徴です。

オムニチャネル

実は陽気な太陽のキャラクターでお馴染みのコジマや、グラビアアイドルの背景でお馴染みのソフマップなんかもビックカメラのグループ企業だったりしていて、そのグループ全体の直近の連結決算はこんな感じです。

ビックカメラ決算(連結)

コロナショックや消費税増税の影響が大きく、期初目標から下振れしてしまいましたが、これほど風向きが良くない中で昨年対比98%売上はすごいですね。。

ちなみに、他にも家電量販店とかいうとヤマダ電機やらヨドバシカメラが思い浮かぶかと思いますが、家電量販店別に売上規模を比較するとこのようになります。

家電量販店業績

売上トップはヤマダ電機で、量販店単位では断トツのNO.1です。ただ、売上推移を見てみると、ここ最近は2015年度から不調であることが分かります。

ヤマダ電機売上推移

その一方、ビックカメラの売上推移は前期まで右肩上がりで絶好調です。

ビックカメラ売上推移

ビックカメラの右肩上がりの売上を、EC売上が大きくけん引しているのは、昨年対比EC成長率133.6%(下図)から想像に難くないと思います。

ビックカメラチャネル別売上推移


なぜここまでEC売上が拡大しているのか、EC全般の市場動向を見てみましょう。

マクロな市場分析

2018年の市場流通総額のうち、ECで販売されている比率(EC化比率)の推移は右肩上がりになっています。

EC化率

この中で、特にEC化率が高いのは以下のジャンルになります。

家電系EC化率

二位には家電量販店の十八番である生活家電などが並び、EC化率はなんと32.28%と非常に高い比率なのが分かります。
先ほどの棒グラフの2018年度のEC化率6.22%と比較すると圧倒的に高い数値であることが分かりますね。

家電は以下の理由から、ECとの相性がよく、EC化率が高い傾向にあります。

① EC販売すれば在庫を坪単価の高い店舗で持たずに済み、相対的に在庫リスクが低い
② Amazonなどモール型のECプラットフォームなら自社在庫を持たずに品ぞろえが確保でき、海外製商品など単価が安い商品も展開でき多様なニーズに応えられる
③ ①,②の理由などから相対的に安価に商品が販売できる
④ ユーザーレビューなどが存在し、商品の良し悪しが判断しやすい

これらを踏まえると、EC化率が高い理由も納得ですね。

こうした背景からビックカメラはECを本格化して市場環境に適応して、ヤマダ電機でさえ苦しい市場環境で右肩上がりの成長を続けているわけです。

最後に、今後のビックカメラの戦略を見ていきましょう。

今後の見立て

ビックカメラは、O2O戦略ではなくOMO戦略で売上拡大を目指しています。

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OMOとは「ネット上とネット以外の店舗などの垣根を超えたマーケティング概念」と定義され、実店舗とネット上のチャネル双方でシナジーを生むマーケティング手法です。

OMOは詳しい事例などはこちらをご覧ください。すごく分かりやすくまとまっています。

ビックカメラでは、ECサイトのレビューや在庫確認、ECサイトでの注文を実店舗でも行える電子棚札の導入を進めています。

OMO施策

ECサイトの集客/サービス基盤がなければ成り立たない戦略であり、顧客の利便性をこれらの施策で高め、実店舗/ECサイト双方の利用頻度を高めることで客単価最大化を狙います。

電子棚札の導入は今年夏~秋に完了予定とのことなので、施策実行後にどのような相乗効果が生まれたかなど、今後の動きが楽しみです!

さいごに

いかがだったでしょうか。

「こんな企業の分析が見たい!」というご希望あれば、どしどしTwitter(@JP_YJC)のDMまでご連絡ください。

最新記事のリリースも、Twitterから随時発信していきますので、ぜひフォローのほどよろしくお願いします。

出典

https://www.biccamera.co.jp/ir/library/pdf2020/presentation_20190417.pdf
https://www.biccamera.co.jp/ir/library/pdf2019/presentation_20191018.pdf
https://www.biccamera.co.jp/ir/finance/index.html
https://www.yamada-denki.jp/ir/data.html
https://diamond-rm.net/management/41512/
https://www.ebisumart.com/blog/ec-rate/
https://netshop.impress.co.jp/node/6909


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