見出し画像

メドレーの企業分析 ~医療現場をDXで支援する~

皆さんこんにちは。YJキャピタルの山下(@JP_YJC)です。

週一回くらいのペースで上場企業の企業分析のnoteを連載しています。
前回は、電子書籍の株式会社パピレスについて、電子コミック市場の業界構造も踏まえてご紹介していきました。

Twitterで記事更新のリリースをしますので、気になる方はTwitterのフォローもよろしくお願いします!

今回はエンタメ系から打って変わって医療求人プラットフォームなどを運営する株式会社メドレーをご紹介します。

企業紹介

株式会社メドレーは、医療業種におけるDX(デジタルトランスフォーメーションの略。デジタル化のこと)を主軸とした企業です。
医療人材紹介プラットフォームの「ジョブメドレー」と、オンライン診察プラットフォームの「CLINICS」をSaaSで提供しています。

では、事業紹介から見ていきましょう。

人材プラットフォーム事業

ジョブメドレーは、病院などの事業者から直接、医療従事者を採用するためのスカウトなどを行う医療人材プラットフォームです。

ジョブメドレービジネスモデル

特に、ミドルテール層といわれる市場規模の小さい人材業界(コメディカル領域)を強みとしています。

強い市場領域

オンライン診療プラットフォーム事業

CLINICSはオンライン診療システムを中心とした、医療プラットフォーム事業です。病院に行かずにオンライン診療を行えるシステムで、導入実績No.1(当社データ)です。

CLINICSビジネスモデル

オンライン診療だけでなく、予約や電子カルテなど総合的に医療機関のDXを支援するSaaSツールで、先日コロナの影響で行われたオンライン診療規制緩和もあり、今後のさらなる成長が期待できる事業です。

主要プロダクトはこれら二つで、医療現場での活用が中心となることはイメージしていただけたかと思います。
ではここから、直近の業績を見ていきたいと思います。

業績推移

まず売上からですが、こちらはきれいな右肩上がりを見せており、成長率は昨年対比で+62%と成長率も好調です。

売上推移

営業利益も、黒字化実現しつつ成長が期待される医療プラットフォーム事業への投資が行いつつ黒字が確保できており、理想的な状況といえます。

営業利益

特に、主要事業で売上の約85%(Q4’19実績)をしめる人材事業は、
ARPU(客単価)×事業所数が順調に増加しており、主要KPIは非常に健全な状態といえます。

画像6

一方、規制緩和やコロナでいま最も需要増が期待される医療プラットフォーム事業も売上の伸びそのものは順調です。

CLINICS実績

Q4(2019年10-12月期)は受注制限を行いペースダウンしましたが、4月から受注制限解消を予定しており、コロナによるオンライン診療の規制緩和のタイミングぴったりに導入プロセス改善が行われるとのことです。

CLINICS業務プロセス

売上拡大は言うまでもなく、いまの医療現場で定期通院をする患者のオンライン診療が進めば、患者間の院内感染リスクの低減につながることから、いま最も導入が望まれるプロダクトです。

業績が非常に順調であることは見ていただいてお分かりかと思いますが、特に売上拡大に寄与している人材プラットフォーム事業を詳しく見てみましょう。

コア事業

なぜここまで人材プラットフォーム事業は売上が伸びているのか、医療人材業界を少し深掘りしつつ、理由をご紹介していきます。

まず、医療人材ヘルスケア市場は、2025年には少子高齢化に伴い、3,700億円市場まで拡大の見込まれる、非常に大きな市場です。

ヘルスケア市場

そのうえ医療人材市場は、慢性的な人不足の状況にあります。

たとえば看護師の場合、全体の11%の方が離職しており、仕事を辞めたい理由として「人手不足で仕事がきつい」という理由が最も挙げられています。

看護師離職率

看護師離職理由

つづいて介護士の場合も、三年以内の離職率は60%におよぶという衝撃的なデータもあり、離職率は高い傾向にあります。

医療系の職種は、社会的に必要性の高く尊敬を集める職種である一方、人の命を預かるというある種「ミスの許されない職場」である点や、夜勤などもあるハードな労働形態のため、どうしてもプレッシャーやストレスから離職率が高くなってしまう傾向にあります。

こうしたことから、医療の現場では慢性的な人材不足に陥っているのです。

人材の流動性が高い市場の中で、JobMedleyは成果報酬を他社と比較し圧倒的に低減することで、他社に比較しての優位性を確保しています。

ジョブメドレー価格帯

上画像内プロセスに書いてある通り、通常の人材紹介会社が人の手でサポートしている点を、オンラインサポートにとどめることでコストカットし、成果報酬の低減を実現しています。

当然こうなると、「人の手でサポートがなくなると、普通の人材紹介よりも質が落ちるんじゃないの?」という疑問もわいてくると思いますが、

ジョブメドレー主要KPI

上記二つの指標はプロダクトの利用度を測るKPIの「医療従事者の会員数推移」と「スカウト通数の推移」が良好な伸び率であることからも、プロダクトがニーズに合致していることが推察されます。

このように、メドレーは流動性の高く、必要性の高い医療人材市場のDXを行い、デジタルの利点である「低コスト化」を競合優位性として、売上拡大に成功したのでした。

今後の勝ち筋

今後も、医療人材は少子高齢化の患者数増加に伴い、需要が増加していく見込みです。

ヘルスケア市場

その一方、働き手は減っていくわけですから当然、医療従事者の有効求人倍率は上がり、病院側の採用難易度やコストは増大していくと考えられます。
そうした中で当社は、病院側の採用コストを低減するサービスを提供しているため、今後も人材事業の拡大は期待されます。

一方、オンライン診療事業は、先日のコロナの影響もありオンライン診療の規制緩和も想定より前倒しで行われたことから、売上拡大の加速が期待されます。

今後は、オンライン診療だけではなく、医療人材事業の営業基盤も活用しつつ、電子カルテなどのアップセルを行っていくことでネガティブチャーンを生んでいくことが目標となり、医療現場のDXを実現するようなソリューション営業が中核を担っていくこととなるでしょう。

CLINICS展開

終わりに

いかがだったでしょうか。

「こんな企業の分析が見たい!」というご希望あれば、どしどしTwitter(@JP_YJC)のDMまでご連絡ください。

最新記事のリリースも、Twitterから随時発信していきますので、ぜひフォローのほどよろしくお願いします。

出典

https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/20191212436211/



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?