見出し画像

なぜレジ袋は無料なのか

 こんばんは、いづつです。本年もどうぞよろしくお願いします。

 昨年のnoteデビューから、主に働き方、組織論、環境問題に関して思うことを30投稿くらい書いてきましたが「環境問題ってやっぱり関心小さいんだな」という第一感な2019年末でした。いや、いいんですよ、小さくて。へたに勉強不足で頓珍漢なことをおっしゃるグレタさんみたいな人は減ったほうがいい。「問題に関心を集めることが大事だ」とか言ってフォローしちゃうような人が最も関心なくてタチが悪かったりするのもわかって、こりゃ何も解決しないなとも。本当に関心あったら勉強しますからね。少なくともCO2削減に対しては「余計なことをしない」が最適解ですから、中途半端な関心ならないほうがいいのです。やるなら真面目にやれ。

■なぜレジ袋は無料なのか

 さて、今回の本題です。みなさんは「なぜレジ袋は無料なのか」と疑問をもったことがあるでしょうか。考えたことがあるでしょうか。レジ袋有料化の強制が政治によって決められようとしているのはご存じのとおりですが、そもそもなぜ今までレジ袋が無料でもらえたのか、おそらくあまり知られていない。

その理由をポリエチレンのコストと資源の側面から説明してみます。

(1) 購入単価がきわめて安い

 業務用として売られているレジ袋、当然厚み、大きさ、強度にもよりますが、おおむね1枚あたり1-2円くらい。そりゃ本命の商品を買ってくれるなら、これくらいタダでどうぞという金額です。むしろレジ袋を有料化することで買ってもらえる商品が1個でも減ってしまえば大失敗。だからレジ袋のサービスは必要経費。

 レジ袋の成分であるポリエチレンは、最近だと国内では1トンあたり17万円くらいで取引されています。とても安い。そういう需給バランスの市場だということです。

(2) ポリエチレンは石油のカスから作られている

 資源の側面で見るために少し化学の話になりますが、ポリエチレンの原料となるエチレンは、主には原油を蒸留すると得られるガス成分です。原油から得られる成分の本命となる高価値なものは化学品になるBTXと呼ばれる芳香族化合物や液体燃料になる軽油やガソリンといった成分。エチレンのようなガス成分は「ついでにとれちゃった」レベルの副産物、すなわち石油のカス。大昔は、いらないからと言って、ただ燃やしていました。

 この副産物をなんとか少しでも価値のあるものにできないかということで考案されたのがポリエチレン。どうせ最後は燃やされる運命なら、ポリエチレンとしてレジ袋やストローなどに一度成型して生活の役にたち、その後燃やされるほうがはるかにマシということです。

画像2

(直接燃やされないだけ、よく頑張っていると思いませんか)

 やや余談ですが、実は同じことが割り箸にも言えます。飲食店に限らず、スーパーやコンビニでもお弁当を買うと割り箸は無料でつけてくれますね。これもレジ袋が安い理由と同じ。割り箸が木から作られていることは誰でも知っていますが、より詳しくは建材として切り出した木材から出るカス、つまり端材から作られていて、他にろくな用途がないような価値の低い部分が材料になっています。むしろこの端材をよく箸にしようと思いついたなと感心すべき。

■相当な高額にしないと、流通量は減らせない

 ということで、ポリエチレンの袋は価値の低いものを上手に使った結果誕生しているものなので、とても安いし、無料で配れるというわけ。そしてそのポリ袋はすでに現代の生活必需品になっています。そう、ごみを出す時に必要です。だから無料だろうが有料だろうがレジだろうが消耗品売り場だろうが関係なく、なければ生活が成り立たない。ちょっとやそっとではポリ袋の流通量は抑制不可能ということです。何がエコなのかわからないエコバッグで買い物を何回かすると、家で使うごみ袋が足りなくなるのであえて結局レジで買うなんてことは我が家のあるあるです。

画像2

(このポリ袋の使い方は実はとても合理的)

 環境破壊の側面で紙製の袋にシフトしろというのはわかりますが、やっぱり濡れたごみは無理だし、臭いの出るごみは封をうまくできないためごみ回収日まで保管しておくことはきついです。

 仮に何かしらの強引な政策などで流通量を抑制しようものなら、出せるごみの量が制限されることになるので、あらゆる消費に影響してきます。「ごみ袋の数に限りがあるから、これ以上買い物できないな」という購買力の抑制効果がはたらくし、「次回のポリ袋調達まで、営業を休止いたします」というハンバーガー屋が出てくるかもしれない。そこまでやると結果的に経済によろしくなく人が不幸になる。だから市町村指定ごみ袋を導入している地域でも購入ためらうレベルの値上げまでは要求しないのです。

 レジ袋有料化は日本は環境問題に取り組んでいますという姿勢を見せるためだけ対外的パフォーマンスでしかありません。それにしたって末端価格で1枚あたり数円とか恥ずかしいですけどね。ご近所の台湾に行けば10円以上しますから。仮に本気でやるなら店に有料化してもらうのではなく、前述のようにやっている市町村はすでにありますがごみ袋を指定にして容量に課税する形がいいと思います。1Lあたり1円でどうか。大型の40L袋1枚で40円です。当然ですが法人が出すごみの袋もです。「ごみ焼却設備の運転費に充てる」とでも言えば納得しやすいでしょう。あわせてその地域ではビラ配りを同時に禁止してくださいね。(怒りの経験談)

 以上「レジ袋を有料化しても大して意味ないですよ」と言いたい話でした。


Yoshiyuki IZUTSU

http://linkedin.com/in/yizutsu




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?