珠田

浅学ながら古代中国系の誰も興味なさそうなことを調べては、ニッチコラムを書いています。(…

珠田

浅学ながら古代中国系の誰も興味なさそうなことを調べては、ニッチコラムを書いています。(知識が無くても読めるよう、なるべくフリガナ・注釈をつけています。) 普通話を勉強中(アホほど初心者)なので、時々勉強がてら和訳もします。

最近の記事

三国時代の笑い話。呉の姚彪が同僚に塩をあげない話は何が面白いのか?~前編

■はじめに三国時代に編算された笑い話集に笑林というものがあり、こんな話が載っています。 これを初めて読んだとき、何が面白いのかわかりませんでした。 普通に考えると。 姚彪はむちゃくちゃ性格の悪いヤツで、その悪癖ゆえに大損した、というのが笑いどころでしょう。 しかし、ひょっとすると。 沈珩は塩をやるのが惜しいほどの悪人で、姚彪が義憤にかられて意地悪したのかもしれません。 そうなると姚彪がおバカだとしても、事情を知らずに笑うのは具合が悪い。 つまり、どこを焦点にした笑い

    • アニメ・フェ~レンザイ(非人哉)に出てきた中国語「王炸」とは何か?

      はじめにこんにちは。お元気ですか?元気があれば何でもできます。 最近始まった中国産のアニメ、フェ~レンザイ(非人哉)を、私は毎週歯磨き中や食事中に見ています。 すると今週の放送分、#4第二十五話「端午の節句はちまきを作ろう」にて『王炸(おうさく)』という単語が出てきました。 劇中ではこう説明されています。 キャラクター名でもなく、内容的にも大して重要ではない言葉なのですが『本当にそうなのかな…?』という好奇心が湧いてしまい、日本語情報もあまり無いので今回も調べました。

      • 杜仲茶の「杜仲」とは何者かの謎について調べました

        はじめにまず「杜仲」とは何でしょうか? 実は杜仲というのは木の名前です。 その樹皮には薬効があり、漢方の薬剤として利用されています。 日本では「杜仲茶」がドラッグストアなどで安価に買えるのをご存知でしょうか? しかし樹皮を採ると当然木に大きなダメージがありますので、主に再生の早い葉っぱが用いられています。 話は変わりますが、 最近、もっぱら私を苦しめる原因といえば血糖値です。 いわゆる低血糖やら血糖値スパイクと呼ばれる症状があり、 めまい ふらつき 倦怠感 異

        • 中国の絵本「李寄除妖」の和訳

          はじめに前回は「区寄杀贼」を訳させていただきました。 続きまして今回も同じ楊永青氏による「李寄除妖」を拙筆ながら和訳いたしました。 「区寄杀贼」は区寄(くき)という少年が人売りに誘拐されたものの、間一髪返り討ちにした話ですが、 「李寄除妖」は李寄(りき)という少女が大蛇の生贄にされながら、知恵と勇気を奮って撃退するお話です。 詳しくはあとがきに記しますが、どうやら李寄は一部のゲームで取り上げられているようなので、区寄と比べて日本でも知名度が高そうです。 青空文庫でも岡本

        三国時代の笑い話。呉の姚彪が同僚に塩をあげない話は何が面白いのか?~前編

        マガジン

        • 中国古風系ニッチコラム
          6本

        記事

          中国の絵本「区寄杀贼」の和訳

          はじめにこの絵本は杨永青(楊永青)という方によって描かれています。 「区寄杀贼」は、日本の新字体に変換すると「区寄殺賊」。 区寄(くき)は人名なので、「区寄、賊を殺す」というそのままの意味です。 私は中国語を学び始めたばかりで、その学習のためもあってこの絵本を読み始めました。 小説だとさすがに、たった1ページ読むだけで長大な時間が必要でしょうが、 絵本だと1ページ数行かつ、全部で20ページくらいなので、いくら時間をかけても焦燥感がありません。 文章も子供向けでわかりやす

          中国の絵本「区寄杀贼」の和訳

          九陰とは何か

          老子道徳経序訣『禍滅九陰』射鵰英雄伝に「九陰真経」がありますが、それとはおそらく別の話じゃないかと思います。 実は葛玄という人が著した「老子道徳経序訣」という文章に、 『禍滅九陰』と記された言葉がありまして、その意味が全くわからず、 手持ちの漢辞海(辞書)を調べ回って、やっとわかりました。 聞いたら『なんだそんなことか』と思われるでしょうが、そもそも「九陰」の意味がまったくわからないのだからしょうがありません。 ちなみに日本語のWikipediaの「九陰真経」の項目には

          九陰とは何か

          金庸「碧血剣」の最後の漢詩「万里霜烟绿鬓を迴り~」の調べモノまとめ、とちょっとした感想

          金庸先生作の「碧血剣」を読み終えました。 いやぁ青青が死ななくて本当に良かった。 碧血剣には色々な女性が出てきますが、自分は青青が1番好きです。 わがままなところもあるし、すぐ嫉妬するし、情緒も不安定な青青。 ですが、好きな人に一途で、気丈に振る舞いつつ本当は脆い心のか弱さが、どうしても側にいたくなるような魅力があります。 まぁそれはいいとして、『碧血剣』には最後に漢詩が引用されます。 小説に合わせて書き直すと 漢詩が読めないので、調べてみたのですが日本語では中々情報

          金庸「碧血剣」の最後の漢詩「万里霜烟绿鬓を迴り~」の調べモノまとめ、とちょっとした感想