金庸「碧血剣」の最後の漢詩「万里霜烟绿鬓を迴り~」の調べモノまとめ、とちょっとした感想

金庸先生作の「碧血剣」を読み終えました。
いやぁ青青が死ななくて本当に良かった。
碧血剣には色々な女性が出てきますが、自分は青青が1番好きです。


わがままなところもあるし、すぐ嫉妬するし、情緒も不安定な青青。
ですが、好きな人に一途で、気丈に振る舞いつつ本当は脆い心のか弱さが、どうしても側にいたくなるような魅力があります。

まぁそれはいいとして、『碧血剣』には最後に漢詩が引用されます。

万里烟霜回绿鬓,十年兵甲误苍生。

https://baike.sogou.com/v204452004.htm

小説に合わせて書き直すと

万里霜烟绿鬓を迴り 十年兵甲蒼生を誤る

漢詩が読めないので、調べてみたのですが日本語では中々情報が出てきません。これは困りました。
せっかく小説の面白さと予想外のラストで奮い立っているのに、肝心の決め台詞が理解できず、なんだか気持ち悪いではありませんか。


なので、『百度知道』のページをツール使って翻訳し、なんとなくですが色々とわかりました。

この漢詩を作ったのは金庸先生の祖先、査慎行さんという方でした。

査 慎行(さ しんこう、1650年1727年)は、中国清朝初期の詩人、文学者。原名は嗣璉(しれん)、字は夏重、号は査田。後に慎行と改名し字も悔余と改めた。号にはほかに他山煙波釣徒がある。査慎行の詩は査升書道朱白恒とともに、海寧三絶と呼ばれる。査慎行は武侠小説家の金庸の先祖である[1]

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9F%BB%E6%85%8E%E8%A1%8C

そして漢詩や単語を翻訳した私的な解釈としては

『いまこの大地はどこまでも木々が生い茂り、霧に揺れる月明かりが人影に邪魔されることなく、ただ時間が静かに流れている。かつて10年もの間、戦乱が万民を苦しめていたというのに』

という感じでしょうか。
正確性には欠きますが、こうして意味を自分自身で納得出来た時、すぐに松尾芭蕉のあの有名な句を思い出しました。

『夏草や 兵どもが 夢の跡』

つまり、この最後に引用された漢詩で意味している事はというと、
「碧血剣」の中で描かれてきたイザコザや動乱は全て過ぎ去ってしまい、ついに新たな時代が始まっているよ。めでたしめでたし。
という締め方だったのだと思います。

いやー、めでたいなら良かった。いやーめでたい。

しかし袁承志。一時は今にも死ぬ寸前だった青青が生き返ったのだから、抱きしめるぐらいはしても良かったんじゃないか。恥ずかしかったのかな。
あと何度も青青を放置したことで危険な目に遭ってるんだから、また置いてこうとしたのは正直びっくりしました。
でも「いや、一緒にいてやれよ!」と読み手が思ったら、完全に小説の世界へと引き込まれている証拠なんでしょうね。

笑傲江湖も面白かったけど、碧血剣も実に面白くて最高でした。

もし『碧血剣』を読んだはいいけれど、最後の漢詩の意味が分からずモヤモヤしている方に、このページが一助となりましたら幸いです。




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