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グッドデザイン・ニューホープ賞入選しました。

2023/10/24

不覚。
このページにURLを載せ忘れてしまった。
運営に言っても一蹴されそうなので、こちらに動画URLを載せます。集大成です。

ちなみに、載せ忘れた理由は①単純に知らなかった、②よく確認しなかったの2点。(ただ怠惰)。
今後の教訓になりました。

私の作品は、ビジュアルの美しさというより動きの美しさである。ダンスを中心に観察し、その美しさを作品に落とし込もうとした。

実際のところ、1ヶ月前に内定通知は来ていた。しかし、SNSでの発表は控えるようにとのこと。入選したという余韻は1ヶ月前に味わったものの、同じ課の方との飲み会では再度振り返りながら、いろんな渋みを味わっていた。

特に失敗したと思うのが、応募カテゴリーだ。今回、物のデザインに応募した。しかし、振り返ってみると情報のデザインにした方が、私の作品の面白さを伝えることができたのでは?という後悔が込み上げてきた。
私の作品のテーマはコミュニケーション義手、コンセプトは”Images to Waves”である。プロダクトの使いやすさ、美しさではなく、そのコンセプトと動きの美しさに重点が置かれる。拡大解釈すれば、情報の変換に着目した作品である。

確かに、情報のデザインは入選数が少ない。(情報のデザインは7しかし、多くの作品の中に埋もれるよりかは、少ない作品の中で光りたいとも思った。


最後に自分の作品のパネルと応募時の説明文を紹介する。

作品タイトル
コミュニケーション用表現特化型義手 “Kinetic Hand”

作品英文タイトル(50字以内)
“Kinetic Hand” Expression-specific prosthesis for communication “Kinetic Hand” Communication Prosthesis

応募作品の概要

本作品は、表現に特化したコミュニケーション用義手である。コンセプトは、”Images to Waves”、イメージを波に変換し、他者に伝達する。把持機能に特化した義手は数多く研究されているが、コミュニケーション機能に特化した義手の研究は少ない。以上から、義手の新しい方向性としてコミュニケーション用義手の提案を行った。

デザインが生まれた理由 / 背景

手には、物や道具に対して握る、摘む等の把持機能に加え、指や掌により形を作る表現・コミュニケーション機能がある。人は話すとき、言語のみならず、身振り手振りを用いた非言語コミュニケーションも行なっている。言語活動における情報伝達手段であるジェスチャーは、言語表現の強化と代替、他者との相互作用等の役割を担う。把持機能に特化した義手は数多く研究されているが、外観の補完のみを目的とした装装飾義手の方が把持機能を兼ね備える筋電義手や能動義手より普及している現状である。このことから、便利さや機能的であること以外にも精神的な充足感といったバランスをとるべき価値があると推測される。義手の外観や動きをデザインし、新たな可能性を探索する研究も存在する。しかし、本来手に備わるコミュニケーション機能に特化した義手の研究は少ない。以上から、義手の新しい方向性としてコミュニケーション用義手の提案を行った。

デザインを実現した経緯

デザインプロセスは、7段階に分けられる。①ダンスの観察、②対話の観察、③設計要件の整理、④動作機構の探索、⑤造形調査、⑥ハンド製作、⑦ハンド検証、⑧ハンド評価である。ダンスの観察から、波状のしなやかな動きに着目した。対話時のジェスチャー動作観察から、駆動方法を決定した。様々なプロトタイプの観察と体験を通して、多重ヤジロベエ構造を採用した。先行研究の形状を参考に作成したプロトタイプを展示し、印象に対するアンケート調査を実施した。印象評価の結果から、安定と親しみやすさを持ち合わせた外観、安定と不安定を考慮した勾配角度、軽い印象を与える動きを造形の条件だと解釈し、勾配角度および形状設計に組み込んだ。複数のプロトタイプを製作し、動作検証を行った。製作したハンドに対する評価では、健常者を対象としたユーザーテストおよび第3者からの印象評価を実施し、定性評価を行なった。

デザインの改良、類似デザインとの差異、実績など

本作品では表現に特化している。その理由は2つある。 1つ目は、表現の幅はコミュニケーションスキルにおいて、土台となる要素であるからだ。 2つ目は、新たなコミュニケーション義手の方向性を探索できるからである。先行研究に、Royal College of Artのプロジェクトの1つ、Super Prosthetics Projectがある。Gestural hand seriesでは、アイデアを共有する、アピールする、共感を求めるときに行われる動作に焦点を当て、その動作の再現を目指した。このハンドは、ハンドが動くたび、蝶番によって元の位置に戻るため、自然な手のふるまいの表現が可能である。本研究は、「様々な表現を可能にする」という先行研究とは異なる用途を研究することで、新たな方向性を模索することが可能になる。

自由記述欄

工夫した点は【観察を通して設計要件を決めた点】である。観察は、①ダンスの観察、②会話における身体動作観察の2つである。ダンスの動きには、曲線的および直線的な波状の動きが含まれることを観察を通して確認した。このように、次々と隣接する関節が作り出す波形によって、多種多様なパターンを形成し、視覚的な情報伝達が可能だと推測された。次に、対話の観察からハンド駆動方法の特定を行なった。観察では、6名の被験者によるインタビューを実施し、トリムした取材動画のジェスチャー軌道を分析することにより、ジェスチャー動作傾向を調査した。設計要件は、ダンスと対話の観察を通して3点にまとめた。1点目は、波状のしなやかな動きにすること、2点目は、残存肢の動きに連動した受動的な動作機構であること、3点目は肘関節の微小な屈曲で駆動することである。複数のプロトタイプを作成し、角度と動きを確認しながら、改良を重ねた。

時間がある時に、そのほかの作品について分析でも行いたいと考える。といっても作品を見るだけでも現在のデザインに求められている価値や指標を垣間見ることができるだろう。


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