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(5/31追記)“平等の国”デンマークでネット中傷について訪ねたら思いもよらない答えが沢山返ってきたので読んでほしい

とても悲しいことがありましたよね

僕はデンマークで物理学者をやっているのですが、この事件が起きてなぜ自分はデンマークに来ようと思ったのか、その理由のひとつを思い出したのでFacebookで質問を投げかけてみました。

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英語がめちゃくちゃなのは許してください。(これdiedじゃなくてpassed awayとかにすべきでしたね…直接的すぎる…)

最初は自己紹介なので残りをざっくり訳すと

日本である悲しい事件がありました(説明)。
僕がデンマークに来ているのは研究のためですが、デンマークのような高福祉の政策はSNS上での誹謗中傷などを抑止するような効果があるのかを知りたい、という別の理由もあります。
とてもラフな仮説なのですが、経済的に格差が少ないデンマークでは例えば日本に比べて1,000ツイートあたりのクソリプ(誹謗中傷)が日本に比べて少なかったりするのかな、とか思っているんですがどうでしょう。
もし経済の平等さ以外にも考えるべき要素があればぜひ教えてください。

という感じのポストです。

ありがたいことに20人以上の方から、基本的にとても長文のコメントをいただき、想定していたものとはかなり違う答えをもらうことが出来ました。

ので、頂いたコメントをここで少しシェアさせて貰おうと思います。



(後記です)コメントを口語調で訳したり、予想外の答えを受けているうちに文章のテンションが上がっていってしまいまいた。もしそういうものを不愉快に感じられそうであればここでそっ閉じしていただけると幸いです...

それと英語の訳には自信ないです(「ざっくり訳」と書いて逃げております)。誤訳があったら教えて頂けると嬉しいです。さすがに文の要旨が違うというレベルの誤訳はないと信じていますが...

たまに新しくコメントを頂いたりするので、追記していくかも知れません。


5/31:新しく頂いたコメントを追記しました。このnote自体が長いので文脈をぶった切ることになりますが追記分は追記分として最後に足すことにしました

なぜこの質問なのか

そのまえに、どうしてこういう質問をしたのかちょっと説明させてください。ちょっと長いので興味ない方は本編までさーっとスクロールしてくださいな

ちなみにここで誹謗中傷の行為を正当化する意志は一切ありませんので、あくまで議論として読んで頂けると幸いです


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書き込んだ当時は何も考えずにバーッと書いてたんですが、その時の気持ちを思い出すと

(i). 主に大人による有名人への誹謗中傷を問題としていて
(ii). 加害者の犯行意欲を削ぐ仕組みはつくれないのかなぁ

ということを考えながなら書いていたみたいです。

(i)に関しては本編で説明するので、2つめについて説明させてください。

(僕はもっぱらネット中傷は成人がやっていると思って話をすすめているのですが、この認識が間違ってたらすみません。ただ、それでも頂いたコメントは価値があると思います)


事件直後から、加害者の善意に呼びかける声や法整備を求める声などがあがっています。

もちろんそういった対策も効果があると思うのですが、加害者のなかには毎日に何か不満があって、その憂さ晴らしとしてネットでの中傷をしている人も一定数いるのではないかと思うんです(具体的には収入の低さや社会的疎外感を感じている人をイメージしてます)

未来に希望が持てなくて、しかもお金もぜんっぜんない、とかだとめっちゃ荒んだ気持ちになりません?(きっとそういう論文はあるんでしょうけど)

その不満を何らかの方法で取り除くことが出来れば、根絶は無理にしてもある程度そういったリプライを減らせるのではないかなぁ、と思ったのがこの質問をしたきっかけです。

僕はこれをまさにデンマーク人に聞きたくて、というのもデンマークは

・大学入試がない、大学の"ブランド”という考え方がない
・転職あたりまえ、履歴書穴だらけなのあたりまえ
・経済格差少なめ

だからです。

1.大学のこと

まず行ける大学は高校の成績で決まります。入試がないのです。

なので受験シーズンに一気に頑張ってどうこうなるものではないので、もう古いけどビリギャル的なことは起きない。

僕はデンマークでの教育は全く詳しくないですが、いわゆる大学の「ブランド」みたいなものはないみたいです。

これは何でなんでしょうね。

ただそもそも大学の数がとても少なくて学士から博士までのコースを持つ教育機関は全土で8つ(!!)しかなく、加えてそれがすべて総合大学というわけではないので「学びたいこと」が決まれば自動的に行くべきところはある程度自動的に決まるのかも知れないです...

(詳しい方いればコメントで教えてください...!)

2.転職、履歴書の穴

高校卒業後にギャップイヤーを取るのも当たり前で、僕は一応物理学者なのですが職場に僕より4つ年上の女性の学生さんがいました。

彼女はすでにお母さんで、ギャップイヤーは5年とり(5年はちょっと長い)、サーカスの専門学校にいたそうです。そのあと大学に入って物理をて、、、ちょっと情報量多すぎません??

履歴書に働いてない期間があっても「休みとって旅行していたの?良いじゃん!」と言われるのは、割と日本では想像できないですよね。

失職機関中の補助も手厚いので、割と転職も自由にやっている印象がありますね。

(ちなみに教育とギャップイヤーのことに関してはデンマークに住んでいる日本人のお友達に少し教えていただきました。ありがとうございます!)

3.経済格差の低さ

いやほんと税金高いんですよ!!!!!!!!!(叫び)









さて、

いい大学に行き、履歴書には穴をつくらず勤め続けるのが「良し」とされていると、うまくいっているうちは良いのですが、一度穴が空いてしまうともう戻しようがないですよね。

本当のところどうなのかは分わかりませんが、「日本は一度転落すると這い上がるのは難しい」というのも見聞きしたりします。

もしそれが本当なのであれば、一度悪い境遇に置かれてしまった人はどれほど頑張っても好転しない日々を恨みながらも、誰にも届かない悲しみを罵詈雑言にしてSNSに投稿するしかなくなってしまうのかなーー、と勝手に想像してしまいます。

(改めて断りますがこの行為を正当化するつもりはこれっぽちもありません!)


というわけで

『一度レール(があるのかも分からないけど)から外れても戻りやすく、かつ経済格差の少ない国の人はネット中傷をどう考えるのだろう』

と思ってあんな質問をしました。ちょっと色々と認識が偏っているかも知れないですが、あくまで本編は頂いたコメントの紹介ですのでご容赦ください。


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さて、

長々と書いてきましたがここからが本編です。


ネット中傷は子どもの問題?


投稿したその直後から、どんどんコメントが集まりました。

合計20名ものデンマーク人から、そしてFacebookならではのド長文!

たとえば....

Hi Yusuke, I think that maybe cyber bullying in Denmark due to that we arent that many people here isnt high compared too other countries, but if we take the % of the population I think it might be worse here due to alot kids growing Up is taught too like specific kind of traits in people, like being Skinny, being good at sports stuff like that, but mainly the "anonymity" of the internet makes it alot easier for people who wanna fat shame or has racist opinions, too speak Them out Loud without themselves being targets or called out for doing it, ofcourse I think bullying is bad since u can drive people to do extreme things like suaccide or selfhurt, but er as a society No matter what country er live in can help each other out in preventing things like this by having anti bully siminars om schools like we have here in Denmark, IT doesnt eradicate the problem but it is a step in the right direction, I hope this post is somewhat og an answer you were looking for

(ざっくり訳):そもそもデンマークは人口が少ないからネット中傷(cyber-bullying)が少ないと思うよ。ただ、もしパーセンテージで議論するのであれば実は他国より状況は悪いんじゃないかな。というのも多くの子どもたちが痩せ型とか、スポーツがうまいとか、そういったとても限られた特徴が良いものだと教わってきたし、それに加えてネットの匿名性のせいで太ってる人をバカにしたり、人種差別的なことを言ったりするのが簡単になってる。
もちろん、ときに人に命を絶たせてしまったり自傷行為へと追い込む中傷は悪いことだと思ってるよ。どの国に住んでいようとそういったことを防ぐために手を取り合うことは出来るし、実際にデンマークでは中傷対策のセミナーとかが学校で行われてる。もちろんそれだけで中傷を根絶することは出来ないけど、いい方向に進むための一歩だと思うんだ。僕の返信があなたの探している答えになっているといいな。


とか


I think it would be too difficult a question to link social welfare with more or less cyber bullying. But some of the cases that have been in the media in Denmark is more cases like videos being shared. Videos of young Girls who were filmed while having sex. One of the cases meant that 1000 people got fined or given small sentences for sharing the videos.
In terms of cyberbullying in general, it does seem like the problem is smaller in Denmark compared to other countries, But it does exist.

But in my work, where i work with child protection services/family department in a municipality, its my impression that it is very rare that we have bad cyberbullying cases.

(ざっくり訳):社会福祉とネット中傷を関係付けるのはちょっと難しすぎるんじゃないかな。デンマークのメディアで問題にされるのは、例えば若い女の子が性行為をしている動画が拡散してしまったとかそういう動画の拡散に関係するものが多い。あるケースなんて動画をシェアした1,000人に罰金が課されたなんてものもあった(fined or は fined forだと思うんですがどうでしょう...)
ネット中傷一般でみればデンマークは多分他国と比べて少ない気がするのだけど、たしかにあるんだ。
ところで僕は市のChild Protection部署で働いてるんだけど、自分の経験の範囲ではネット中傷はかなり少ない印象だね。


短いのだと

I don't think cyber bullying is common in Denmark, though it's a small juvenile problem.
I don't think it has much to do with economic welfare and equality.

(ざっくり訳):ネット中傷はデンマークではあんまりないんじゃない?それってちょっとした少年問題でしょ。経済とか社会福祉は関係ないよ。


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さて




お気づきいただけたでしょうか....




みんな「ネット中傷」はおもに児童の問題だとしてお返事をされていることに....




これが最初にかいた「この質問をした理由」の1つ目に関係してくるんですが、僕はこのときに起こった事件から「有名人への、主に成人によるネット中傷」のことしか頭になかったんですよね。


この考えの甘さをバチーンと叩いてくれたのがこのコメントです(他のコメントへのリプライです)

I would take statements like the one above lightly. the elite is always using that argument ie " jealousy, jantelov" ect. Secondly, cyber-bulling is much worse among normal people, since they have non of the benefits of being famous. Thirdly, bulling in japan is fare worse than in denmark, not to say that its not a problem in denmark. The sad part of this, is how much attention she get, while thousandths of teen commit suicide due to bulling (among other things) in japan get no mentioning at all.

(ざっくり訳):(一般人が有名人を叩いているのは結局憂さ晴らしなんじゃないかという意見に)はある程度正しいと思う。エリートは jantelov (あとで説明します)をすごく重んじるし、そもそも有名になる利点なんてないし。あと日本のネット中傷はデンマークに比べてかなりひどいよ。デンマークでの問題がかすむほどに、とまでは言わないけど。
なによりも悲しいのは、こうやって有名人がネット中傷で亡くなるとものすごく注目を集めるのに、オンライン・オフライン問わずいじめや中傷で亡くなっている無数の少年少女たちに世論は見向きもしないことだよ。

日本びいきのデンマーク人が周りに多いので、ジャパンウォッチングしている方もそれなりにおり、結構自信満々に「日本のネット中傷はデンマークよりひどい」と言ってますね。できればそれのデータをもらいたいんだけどなぁ...知らないかなぁ...

それはさておき、確かに多くの少年少女が自ら命を絶ってるんですよね。日本でも2017年度は250人も...

もちろん家庭内の問題などまた学校やSNSとは異なるところに原因があったりすることもあるんでしょうけど。

これも本当に重要な問題だと思うので本題からは少し外れますが、デンマークにおけるいじめの状況、対策に関するコメントを紹介させていただきます。


「いじめ」への対策

デンマークでもいじめ(オンライン、オフライン問わず)はかなり大きな問題になっているらしく、例えばこの記事

では4〜9年生(10~15歳)のこどものうち9.3%が高頻度で、ネット上のものを含めたいじめを受けており、9年生の16%がネット中傷を受けたことがあることを紹介しています(デンマーク語→英語のGoogle翻訳は非常に精度が良いので読んでみてくだい)

大人に対する"bullying"は「誹謗中傷」と訳し、子どもに対するそれは「いじめ」と訳すのはいかがなものかとも思うのですが(「いじめ」という言葉を変えようという議論もありますよね)、ここではそう訳すことにします


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まず、デンマークにおけるいじめの対策について

In Denmark the teachers and parents actually care about bullying and try to prevent it. In Japan growups don't seem to bother as they see it as a conflict between children that they should solve by themselves - they honestly just look away. Bullying is only seen as a problem because of extreme cases resulting in murder and suicides (like this case) and there is hardly any focus on it on a daily basis. In Denmark we have antibullying programs, organisations, institutions and child psychologists just for the purpose of helping children feel well. There are hands everywhere that they can grab on to. In Japan you are more or less alone with your problems and then it escalales and becomes harassment. It is really rare that it turns out like that in Denmark and when it does then it is headline news - it only becomes news in Japan when there is death involved because then the adults realise that it has come to far and that they had to react sooner. In Denmark we use our welfare system to react sooner than later because we care about childrens mental health and therefore invest in it. That is also why we actually talk about stuff and tell people when we get bullied or witness it. That is a big taboo in Japan cus you are not likely to get help anyway so people just suck it up. The school system is also an important factor cus we are trying to make a class into a whole union by having activitites so every children get to know and respect each other which also makes it possible for the teacher to observe their relationships and point out possible issues. Japanese classrooms are huge and based on individual learning so some times kids don't even know the names of half of their classmates cus they stick to their own social group during breaks and after school. So Japan and Denmark are worlds apart when it comes to bullying and it is not easy to make any statistics cus here it is easy to admid you you have been bullyied while in Japan you might deny it even though everyone around you is pointing fingers at you.

(ざっくり訳):デンマークだと子どもの間のいじめとかを親たちはすごく気にするし防ごうとするけど、日本って割と「当人たちの問題」として見過ごしている部分あるよね。自ら命を絶ったりするケースがなければあんまり注目されないんじゃない?
デンマークには専任で児童心理学者を雇っているようないじめ対策のための機関があって、日本のように問題が大きくなってから対処するのではなく未然に防げるように多くの努力が支払われてる。
学校のシステムも大事で、いろいろなアクティビティを通してクラスのメンバーが互いに敬意を払えるように、また教師がクラスで起きていることをなるべく把握できるようにしている。その一方で日本のクラスは大きいし、個人主義的だから、各々の小さいグループに篭ってしまって、場合によってはクラスの半分も名前を知らないということが起こるじゃない?
そんなこんなで、日本とデンマークはいじめの対策に関して対局にいるような国だよね。いじめの実態を知るために統計をつくろうとしても、デンマークだといじめの認定は簡単に行われるけど日本だとなかなか認めようとしないでしょ。


いやぁ手厳しい...

クラスの名前...さすがに全員知ってましたけどね...

言い過ぎの部分はあるように僕は思いますが、もしかしたら日本のいじめの実態をすごくちゃんと調べて怒っているのかも知れない

各自治体でどのような対策がとられているのか一切知らないので深入りは避けますが、「何度学校に訴えてもいじめを防いでくれなかった」みたいな話はたまに耳にしますもんね


あとデンマークではオンラインゲームがネット中傷の温床になっているようです

the severity of the bullying in Japan probably is worse, but it happens alot here in Denmark aswell we are happy people but alot of young people especially those playing video games like fortnite or counter strike experience getting bullied or bully everyday because of the anonymity of the internet, and I would guess that the same thing is true in Japan I think the big difference is what kind of games the kids in Japan vs the kids in Denmark like too play, I have heard/read articles about kids in Japan often plays more offline games than online games compared too Denmark, since they wanna get a release from the competitive side of society, I dont know if it is true just my own guess of why that would be the case,

(ざっくり訳):日本の方がいじめや中傷の問題はより深刻だけど、デンマークでも間違いなく沢山起きているよ。デンマーク人は明るかったり優しい人が多いとは思うけど、特にオンラインゲームをやっている若い世代で問題が顕在化している感じがあるね。
例えばフォートナイトとかカウンターストライクとかは、やっぱり匿名性の助けもあってプレイヤー同士での中傷が毎日のように起きてるんだ。日本でも状況は同じだと思うけど、デンマークに比べて日本の子どもたちの間でオンラインゲームはそこまで人気じゃないって聞いたことがあるんだ。ゲームのなかでまで競争したくないみたいな心理があるのかな??


僕全然わかんないんですよね、オンラインゲーム...

最近久しぶりにゲーム機買いましたけど、やってるのはポケモンくらいだし。。
この方はオンラインゲーマーで個人的な感覚として14-22歳くらいの人とのやりとりで汚い言葉を使われる経験が多いそうです。

本当にただの印象なんですけど確かに日本よりヨーロッパの方がオンラインゲーム人気が高い印象ありますよね。

でもそれって単に、日本語化パッチがあてられてないというだけの話かもなという気もしないではないです。


ヤンテの掟

さて、話を戻しますが、


いろいろなコメントを読んでいくと、どうもネット中傷というものに関して、

「もちろん大人でもやるやつはいる。けどこれは児童の問題だ」

あるいは

「そういうことをしないように子どもたちは教育を受けている

といった感じで、「どのようにしてネット中傷をしないよう子どもを育てるか」という部分に多くのコメントの力点が置かれているような気がしました。

(「大人は矯正するにはもう遅い」というコメントも実際ありました)

たとえば

I have so many things to say about this. But will try with as little as possible!
In Denmark we talk a lot about “janteloven”. It’s a saying that you should never think of yourself, as being better than others. As a social educator I see it more than often, that we teach children never to think of themselves as better beings.
Through my work I would say, that I see more bullying in socially exposed areas. Lower income, lower educational level and higher frequency of illness are factors that provoke socially unacceptable behaviour.
Lastly I’d say, that we today talk quite loudly about anti-bullying. We invest time in make strong social bonds between children, so that they don’t bully one another.
As saying is, that if you have had physical contact like massaging with another child, you will be very less likely to bully them. 🙂

(ざっくり訳):めっちゃくちゃコメントしたいことはあるんだけど、可能な限り短くするね!
デンマークでは"janteloven" というものについてとても頻繁に話すんだ。これは「他人よりも優れた存在になろうと思ってはいけない」考え方なんだ。僕は社会教育者として、子どもたちにこの考え方を何度も教えてきた。
質問への直接的な返答としては、多分社会的な保護が少ない層がやっぱり中傷に加担していることが多い印象があるかな。低所得、低い教育レベル、あるいは高頻度で病気になっている人は社会的に好ましくない行動をしちゃうことが多いよね。
最後になるけど、僕らは中傷への対策にとても力を入れている。実は特に物理的な接触が大事で、例えばお互いにマッサージをした子どもたちはお互いに罵ったりする可能性がとても減ることが分かってるんだ^^



はて、Jantelovenてなんやねん?


他人より優れた存在になろうとしてはいけない....?なんで....?



と思いましてググりまして、



分かりやすい記事を見つけたのでもし興味があれば読んでみてください。

いわく、

Jantelovenは小説に登場する架空の村、ヤンテ村において住民が守るべき10個のルールのことで、北欧民族の精神性にとってとても重要なルールらしいです。

この記事には「北欧版 大和魂」、Wikipediaには「北欧版 侘び寂び」と書かれていました。


10個の掟からその内容を上のページから引用させていただくとこんな感じ

(ちなみにこれは「自分」が「私たち」(ヤンテ村の住民)から掟を伝えられているという場面だと思います。多分)

・自分が特別だと思ってはならない。
・自分が私たちと同じくらい優秀だと思ってはならない。
・自分が私たちより賢いと思ってはならない。
・自分が私たちよりも優れていると思ってはならない。
・自分が私たちよりも多くを知ってると思ってはならない。
・自分が私たちより重要だと思ってはならない。
・自分が何かに秀でていると思ってはならない。
・誰かが自分を気にかけてくれると思ってはならない。
・私たちを笑ってはならない。
・誰かが自分を気にかけてくれると思ってはならない。
・自分が私たちに何かを教えることができると思ってはならない。

いや、おぉ....




うぉぉ....




えマジで....?




ってなりません?




こんなん言われたことあります....?




ちょっと自分でいうの恥ずかしいんですけどこれでも一端の学者なので、

人よりは物理とか数学できるなーと思っちゃってますし(第7の掟アウト)
まぁ悪くない大学出てるよなとさすがに1ミリくらいは思いますし(掟いくつか一気にアウト)
高校で偉そうに講演とかしちゃいましたし(第10の掟アウト)
気にかけてくれる人...いると思ってましたよ...(第9の掟アウト)


ちなみにこちらの英文の記事では「個人より社会を優先する思想」として紹介されています。まぁ北欧は「明るい社会主義」とも言われますしね。


もちろん、思想とかは字面だけを見ているとその価値を計り損ねるので(例えば予定説とか)Jantelovenが染み込んでいるとどういう民族性になるのかなーとかなんとなく考えてみるわけです。

そうすると、このコメントとかが結構響いてきます。

I think the rather extreme degree of competition that is build into the Japanese society model from children are very small, has a role to play. It urges people to push others away instead of lifting together. In Denmark you are allowed to be a child and enjoy your childhood and the transition to an “adult” life with stress and high demands is slow comparred to Japan. In Japan you must become a brand from a well branded university to be a success and that journey starts from being tested to be accepted into specific kindergardens, elementery schools etc. In Denmark you must become you to become a success and there are no entering exams for kindergarden and so forth. Nobody cares where you come from, if your family is rich or which specific schools you have attended as long as you are a good person to be arround and you have the specific qualifications and skills needed. Since education is free and you get paid while you study everybody have the same opertunities.

(ざっくり訳):本当に小さい子どものころから周りと競争しないといけないという日本社会の構造がネット中傷に果たしている役割は結構大きいと思うよ。その緊張感って、他の人と一緒になにかを作りあげようというより、他を蹴落としてでも成功しようというマインドに人を駆り立てるんじゃないかな。
日本だと良い大学に入って、成功してっていうゴールに向けた旅路を、良い幼稚園や小学校に入るためのテストを受けるところから始めないといけない。ただデンマークではあなたがあなたらしくなることが「成功」するということなんだ。もちろん入試なんてない。周囲の人に優しく出来て、仕事に必要なスキルをちゃんと習得してさえいれば良い。ここでは教育費は無料だし、むしろ在学中はお金が貰えるくらいだから、誰もあなたがどこ出身か、家族が金持ちかどうか、有名小学校を卒業したかとかは全く気にしない。機会は誰にでも平等に与えられているんだよ。


きっとかなり日本フリークなんですねこの方。幼稚園入試や古典的な「理想のライフプラン」までご存知でいらっしゃる


後半はデンマークの宣伝感がすごくて、「いやいや、そんな理想郷でもないやん....」と住んでる人間としては思うわけですが、価値観が多様だという主張はJatelovenと併せて「なるほど」と思うわけです

そもそも「他人より優れているかどうか」という尺度を悪とする文化なので、競争という発想が生まれにくそうですよね

こういう尺度や競争がないんだったら、「なんであいつはうまくいっているのに俺は....!!」みたいなものが少し減りそうですよね。




ただし「競わない」文化には良い面ばかりではなく、マイナスな側面もあるようで...

I think both countries have a sense of "The nail that sticks out gets hammered down", along with jantelov. I have been bullied online in Danish, the reason being cited that I have an "ego" and deserve to be put in my place. I feel the same sentiment of putting people in their place exists in Japan, but more towards those that are different or do not conform to societal expectations.

(ざっくり訳):どっちの国にも「出る杭は打たれる」精神があるよね。デンマークはJantelovenあるし。私はネット上で「お前はどんだけ自惚れてんだ、身の程を知れ」ってデンマーク語で中傷を受けたことがあるよ。どっちも結構似ていると思うけど、日本の場合はより異質な人とか社会的な常識みたいなものに合わない人に向けられる傾向がありそうだよね。

なるほど。Jentelovenは「出る杭は打たれる」精神に繋がることもあるんですね。

「出る杭は打たれる」については他の方も言及されてました(翻訳MPが0になりました...)

I don't really know if there is more cyber-bullying in Japan than Denmark. But I think that the reason for cyber-bullying of famous people is pretty similar with that "The nail that sticks out gets hammered down" attitude many people have..
I think that when famous people experience cyber-bullying in Denmark it is usually because they are succesful in a lot of way and that some people feel like they need to take them down a peg.
Hana was a confident and charismatic young woman that did not have trouble showing it. Combine that with reality-tv where she was sort of portrayed as a villain and people leapt at the chance to try and and hammer her down.
Awful situation. Whenever I saw Hana (be it wrestling, Terrace House or social media) she always seemed like such a loving person.


ひとまずのまとめ


今回の投稿は、

「もしデンマークのネット中傷が少ないとしたら、まぁ多分経済的格差の少なさと手厚い福祉がその理由だろうなーー」

という素朴に素朴を塗りたくった仮説から出た質問だったのですが、なんかどうも民族性とか、そういうところの方が効いているのかも知れない...まずい思ってたより深い....

とこれらのコメント読んで思うようになりました。


コメントは予想とはまったく違う角度から飛んできて

・こどもの間でのネット中傷がより問題されている
・Jantelovが根付いているのでそもそも「他人と比較する」という感覚が弱い

という2点がデンマークでのネット中傷を語るのには欠かせないのかも知れません。


もちろん、所得や経済格差と中傷との関係に関して同意してくださる方もいました。

よりソリッドな話としては例えばこの論文のように、犯罪と所得にはある程度の相関は見られるようです。しかしそれは犯罪の種類にもよるし、ネット中傷は調べられていません

また、ヨーロッパ各国におけるネット中傷とその要因を調べた研究があることもコメントで教えていただきました。しかしこれも「格差が少なければ中傷は減るよ!」と言えるほど簡単な話でもないようです


たしかに経済状態が全く同じ国があっても、

「周りに負けるな!どんな手段を使っても1位になるんだ!!」

と教える国と

「周囲より秀でたいなどと、ゆめゆめ考えるな」

と教える国ではSNSの使い方なんて全く違ってきそうですもんね...


___


というわけで、なにも結論めいたことがなくてお恥ずかしいのですが、いったんここで締めさせてください。
あの、、ほら、、、Open-Endedということで、、(締めが思いつかない時の常套句ですね。良くない、、)

グローバリゼーションの申し子とも言うべきSNSへの向き合い方が、国が違うとここまで違うのかと衝撃を受けましたが、デンマーク流の考え方との対比を通じて、今後の議論が深まっていけばいいなぁと思っています。

ここまでの長文を読んでいただいて本当にありがとうございました。

___

実は頂いたコメントをどのようにシェアするのが良いのだろうと結構悩んだんです。

「これが頂いた全コメントです」

と貼っつけてしまうのがまぁ一番勝手な解釈が入ってないかなと思ったのですが、「情報はひとりではいられない」に倣って、なんとなーくの“編集”を施してみました。

ですがあくまでこの編集は僕の感覚ですので、生のコメントを読んで違う感想を抱かれたりしたらぜひコメントで教えてください。日本からのフィードバックとしてコメントをくれたデンマークの方々に改めて聞いてみたりしたいなと思います。



最後になりますが、心よりご冥福をお祈りいたします。



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5/31追記分:出る杭は打たれたあとどうなるのか


こちら、5/31の追記分です。

まず教育のことに関してデンマークに30年住んでいらっしゃるという日本人の方からコメントをいただきました。

私は日本人ですがこちらに30年間住んでいてデンマークではDigital mobning / cyberbullingをずっと見てきました。子供たちの学校でも、Facebook等にある討論の場でも大人同士での中傷、理に敵わない罵倒なども見てきました。でもほとんどの方々は素晴らしい意見を持ってSNS等を利用されています。
上に貼ったものはちゃんとしたリソースのものですがスタティックに近いですしデンマーク語ですが使えますか? トランスレーションアプリでトライしてみて下さい。
先ほどどなたかがJanteloven(ヤンテロウェン)、「自分を特別に思うな」と言う一般常識がデンマークにあります。イクアリティーと言うのであればこれは経済的でも社会的でもなくどちらかと言えば精神的平等の考えがデンマーク人の一個人各自のどこかに根付いているからだと思います。日本でも「出る釘は打たれる」と言うのがありますが、それとはかなり違うニュアンスかと思います。
と言うのはここでは打たれても「凹まない」教育姿勢と精神的に追い込まれた人に助けを渡すシステムが日本よりはあるかと思います。ただそれでもデンマークのスタンダードから行けば精神的支援は例えば体の不自由な方々に比べれば充実していないと批判が出続けています。
デンマークでの子供教育は自己の言葉で「述べる」教育です。子供の頃から授業への参加貢献/挙手も成績採点の重要な基準です。日本と決定的に違うのは中学から数学等を含むすねての試験に「口頭試験」があります。グループでの課題授業も多く、クラスでの発表のため子供たちも全員自分のパートを練習して臨みます。この教育の一環が「凹まない」で自己の言葉で対応できるデンマーク人を作ってきたのだと思います。大人のSNS上での安直愚直な心ない書き込みを討論系のサイトでもたまに見ますがしっかり対応しています。 
ただSNSの発達によってこの「述べる文化」が変化しているのも事実。
極論いじめる側の人間の意識改革以外に解決法は無いと思います。
デンマークがCyber bullingについてどう思うかというご質問とはかけ離れましたが何かのご参考になればと思います。

訳さなくて良いのはとてもありがたい....

Jantelovenには「出る杭は打たれる」という考え方を生んでしまう負の面もあるというコメントを紹介しましたが、この方いわく打たれたところで凹まないのがデンマーク流らしいです。

明言されているわけではないのですがこの「述べる」教育というのはおそらく「音読」ではなく、自分の意見をつくるという部分を含んでいるのだろうと勝手に解釈してます。そうだとすると状況は結構違いますよね。

私が受けた範囲ではテストは筆記が多いし、授業への(発言による)参加度が特に評価されたような記憶はないので、一度打たれてしまうとまぁそれ以降はクラスのなかでだまり続けるのが最適解のような気がします。

その意味では自分の意見を言い続けないといけないのはかなり「打たれたあと」の行動に差が出てきそうですね。


他の方に教えていただいたのですがデンマークではFie Laursenというvloggerがいて、彼女は学校で受けていたいじめの告白をメディアが取り上げ、それによって有名になったとのことです。

その動画がこれ

で、顔出しで出てます(問題は音声がデンマーク語だから全然わかんないんだよな...)

ちなみにFieへのいじめはコメントをしてくださった方いわく「無視とかをされる、いわゆる普通のいじめだった」けれどもそれは大きな問題だとしてメディアが取り上げたんだ、とのことでした。

We have a girl called Fie Laursen who became famous because she was on a talk show as a victim of bullying. It was not even harassment. It was just some average school bullying about her being left out by the other students but yet the media saw it as an issue and made it into a story.


もちろんこれを「売名だ」みたいに捉える方もいるらしく、なかなかリスクの伴う行為だと思います

また、批判されるかどうかを除いても日本でこれをやると有名になりすぎてしまった場合、普通の就職が難しくなることは容易に考えられますよね

そういう意味でこれが良いことなのかどうかは分かりませんが、「声をあげる」環境は日本とデンマークでかなり違うのだな、という印象です。


この「声をあげやすい」環境や、本編で紹介した「専任の児童心理学者がいるいじめ対策組織」の努力の成果もあってか、デンマークでのいじめ件数はものすごく減っているようです

画像2

こちら年ごとの(オフラインでの)いじめ件数です。めっちゃ減ってますよね。

ちなみに「いじめ」の認定基準も相当低くて、「月に2回以上汚い言葉を投げかけた」場合いじめ認定のようです
なんとなく解ると思いますがarige, piger, drengeはそれぞれ歳、女の子、男の子、です。 
このサイトをデンマーク語→英語で翻訳すると「投げかけられた」ではなく「投げかけた」と翻訳されるんだけども合ってるのかな...デンマーク語読める人お願いします...)

ただ一部のいじめはオンラインに移行しているようです

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が!オンラインとオフライン合計してもかなり劇的に減ってますよね

(上掲した2つの図はこのサイトから引用、文章も同じサイトに基づいてます)

いただいたサポートでもっと勉強します!