見出し画像

公式Twitterが凍結!ピンチから生まれた新たな企画【プロレスリング・ノア】

2020年5月18日朝、プロレスリング・ノアの公式アカウントが不正アクセスにより一時的にロックされた。今回はその時広報チームで起こった裏側を紹介する。

SNS担当のOさんから私に連絡があったのは5月18日の早朝、ツイッター社から「不審なアクティビティがあったようなので一時的にロックします」という通知があったと連絡がきた。私は何度かそのような現場に遭遇したことがあった為、まぁたいしたことはない、大丈夫だろうと思っていた。
しかし追ってOさんから連絡が入った。「パスワード変更のリセットの画面から動きません」。少しだけ嫌な予感がした。その後、パスワード変更の手順をいくつか試している内に、読み込みの問題が解消されたのかパスワードのリセット画面に進むことが出来た。そこで、登録されているメールアドレスにパスワードリセット案内のメールを送ったと表示された。問題なくいけばこれだ対応完了となったのだが……。

存在していない登録メールアドレス

Twitterに登録されているメールアドレスを調べてみると、見たことのないアドレスだった。社内で確認してみたところ10年近く前、ツイッターアカウントを作成した時に発行されたアドレスだった。現在はだれも使っていないことが判明。
周知の事実だと思うが、『プロレスリング・ノア』はこの何年かで親会社や代表権を持つ者が変わっている。その度にホームページ制作会社等も変わっており、サーバー会社も変わっている。つまり、メールアドレスを管理している会社も変わっているということである。たどっていくと、Twitterに登録されたメールアドレスは誰も使っていないどころか、存在すらしていなかった
Web周りを担当している人間としてはなんと情けないと思う反面、早く復旧しなければという猛烈な焦りがあった。

凍結復旧の目途は2週間……!

即、Twitter Japanに問い合わせをした。すぐに返信を頂いたものの、現在そういう事象が多数起こっているので1~2週間お時間をくださいとの回答だった。復旧の目処は見えた。しかしながら時間はかかる。
プロレス業界は現在Twitterでの情報発信が主流となっており、これが止まるのは致命的である。いつまでも公式アカウントが何も発信しないというのは情報の停滞が発生してしまう。

#みんながノア公式キャンペーン を実施!

さてどうしようかと夜な夜なミーティングを行い、様々な施策を考えたが、こうなった以上ピンチをチャンスに変えるしかないという結論に至った。ファンの皆さまに情報発信をお願いをするという企画を立てたのだ。アカウントがロックされたことは変にかっこつけず、包み隠さず伝えようと思った。
こうして生まれたのが「#みんながノア公式キャンペーン」である。

画像1


【 内容 】ノア公式Twitterの代わりにノアの情報や魅力を発信しよう!
【 ハッシュタグ 】#noah_ghc #みんながノア公式
【 約束 】ノア公式Twitter復活時に抽選で1⃣名様に"清宮海斗選手サイン入り賞品"をプレゼント!
今から「#みんながノア公式」のハッシュタグと共に、ノア公式サイトから発信される情報をドンドン発信していってください!
Twitterに限りません。SNSにも限りません。電話や、メール、会話でもOK。これを機に、ノアの情報や魅力を一人でも多くの方へ伝えていってほしいのです。

Twitterアカウントが凍結されたことを正直に伝え、ファンの皆さまに公式アカウントに変わってノアの情報発信をしてほしいとお願いした。
その結果多くのファンの皆様、そして選手やスタッフ全員がこの「#みんながノア公式」のハッシュタグをつけて情報発信をするようになったのだ。
ある人は丁寧にニュースをツイートにして伝え、またある人は自分の意見を入れながらツイートをしてくれた。こうして、様々な情報が発信されていった。「#みんながノア公式」のハッシュタグがトレンド入りするほどのツイート数となった。そしてこの取り組みが注目され、yahooニュースにも掲載されることとなった。

画像2

ファンの「口コミ」が一気に増加!

これまでノア公式が伝えたきた情報を、ファンの皆さまが発信してくれることによりいわゆる「口コミ」が一気に増加。Twitterを眺めていると、普段はRTやいいねをするだけの人が自ら発信してくれるようになった。これはとても大きな事である。
いわゆるRTやいいねではあくまで公式が出した発信に対してのリアクションである。しかし自分のアカウントで自分の言葉で発信するということは自身のフォロワーに対して直接おすすめしているということになる。
知らない企業のCMが流れてくるよりも、知人がおすすめするもののほうが圧倒的に影響力が強い。この期間呟いてくださった皆さまには感謝しかない。

アカウント復旧! そしてまたYahooニュースに!

公式アカウント凍結から10日後、無事ロックが解除された。この時は本当に嬉しかった。嬉しさのあまりSNS担当のOさんもまともな文章が書けなくなっていた。

画像3

こんな状況でもハッシュタグをしっかりいれているのは流石ではある。

さて、もう二度とこんなことがないよう、セキュリティ対策は万全にした。例えまた凍結されたとしても復旧に手間取ることはないだろう。
しかし「#みんながノア公式キャンペーン」は逆境の中で生まれた企画とはいえ、反響が予想よりも多かった。アカウント復旧についてもしっかりとYahooニュースに掲載された。嬉しかった。

画像4

初めてリアルに感じた選手の言葉とファンの底力

これを機に、ファンの底力をリアルに知ることができた。ノアがピンチとなれば、こんなにたくさんの人が協力してくれる。

「みんなと一緒に新しい景色をつくる」
これはノアの新時代のエース清宮海斗選手がリング上でよく使う言葉。

「お前らクソヤロー共を日本武道館につれていく」
そしてこれは反体制である金剛のリーダー拳王選手の言葉だ。
私は改めてこの言葉たちのエネルギーの強さを知った。『プロレスリング・ノア』はファンと一緒に上昇していくプロレス団体。選手とファンがそう決め、そう行動しているのだ。

「新しい応援様式」はファンと一緒に作る!

イベント業界には大きく影響を与えているコロナウイルス。『プロレスリング・ノア』も7月18日にやっと観客ありで興行を開催するまでにこぎつけることが出来た。しかしながらこれまで通りの興行の形とはちょっと違う。
特に一番大きく変化するのは飛沫の問題で「声」が出せないということだ。
これはあまりにも大きい。大歓声の後楽園ホールというのはなんとも言えない高揚感があるのだ。プロレス観戦にとって声を出せないというのは選手ファン共に、つまらなくなってしまう。

そこ私達は声で楽しむ「聴覚」ではなく目で楽しむ「視覚」での応援スタイルを提案することにした。それが今ノアで推奨している「応援グッズ制作」である。声を出す代わりにボードやうちわなどで視覚的に応援してほしいという企画だ。

画像5

この企画を浸透させるためのヒントとなったのが、先述した「#みんながノア公式」キャンペーンである。
ノアはファンと一緒に上がっていく団体である。これはノアの最大の強みともいえる。だからこそYoutubeで選手と一緒に応援グッズを作ろうという番組を行った。その後Twitterのハッシュタグ「#ノア応援グッズ」 には多くのファンがボードやうちわをアップしてくれた。お陰さまでこの企画はどんどん広まっている。
新しい応援スタイルは、ファンと一緒にみんなで作り上げるのだ。

画像6

ちなみにこの企画はインパクトが強かったらしく、他のプロレス団体やスポーツ団体、知り合いからも「あれすごいね!」と複数の問い合わせがあった。

7.18 新しい形のプロレスイベントスタート

いよいよ7月18日(土)後楽園ホールで『プロレスリング・ノア』が復活する。チケットは全席完売。けれど収容人数は以前の3分の1。声は出せない、グッズ販売はなしといった状況でスタートする。
それでも『プロレスリング・ノア』はファンと一緒に最高の空間を作りあげる。みんなで一緒に最高のリスタートを迎えよう!

7.18後楽園ホール大会プロレスリング・ノア復活!
ABEMAで完全無料生中継!
https://abe.ma/3ikqw4s

画像7

写真提供:プロレスリング・ノア
https://www.noah.co.jp/