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アスペルガーの僕が 家族の定額給付金を使い込んだ話

『アスペルガーの僕が、家族の定額給付金を使い込んだ話』

表題の通りである。

僕は家族の定額給付金を、勝手に使いこんでしまった。

我が家の家族構成は僕と妻、息子と娘の4人である。コロナ禍、4人分の定額給付金として40万円が僕の口座に振り込まれた。この40万円を何に使おうか? 妻と話をしていたときに、こう言われた。

妻「家族のお金を管理する口座があるからそこに振り込んでおいてくれる?」
僕「わかった! 振り込んでおく!」

翌日、早速振り込み作業をしようと銀行のページにログインした。すると1回の振り込み限度額は30万となっている。申請すれば限度額を上げることは出来るが、わざわざ手続きをするのも面倒くさい。2回に分けてすればいいやと思い、まず1回目は20万円の振り込みをした。

2回目の振り込みを忘れる

翌日はバタバタして定額給付金の振り込みを忘れてしまった。いつかやらなきゃと思い、TODOリストに「定額給付金の振り込み」として入れていた。だが、日を追うごとにリストの奥底にどんどんと沈んでいった。

それから3ヶ月ほど経ったある日、妻からこう言われた。

妻「定額給付金の残り振り込んでくれた?」
僕「忘れていた! 振り込んでおく!」

すっかり忘れていた、僕は「今すぐ振り込まねば!」と思ったが、ここであることに気づいた。

そんな残高はない。

僕の口座は家賃の引き落としやスマホ代、僕個人のカードの引き落としに使われている。給料が振り込まれて、毎月末ちょうどトントンくらいの支払いになるようにしているつもりだ。

しかし妻から定額給付金の話をされたとき、そこにはあるはずの家族の20万円分の残高がない。何に使ったのかわからない。どうしてないのかわからない。ひとつ言えることは、何かしらの形で僕が使い込んでしまったという事実である。

嘘だったり誤魔化しているわけではない。本当に、いつ消えたの全くわからないのだ。

「ADHDの忘れっぽさ」で定額給付金が口座にあることを忘れ、「ASDの思い込み」で給与と支払いがトントンになっていると思い込み、家族の定額給付金が消えた。僕の特性が最悪な形であらわれてしまったのだ。

とんでもない事をしてしまったと泣き崩れる

この事実を理解したとき、「やばい、どうしよう」と、冷や汗が止まらなかった。
けれどどうすることも出来ない。僕は妻に正直に言うことにした。

「ちょっと聞いて、残りの定額給付金がない。どうやら僕が使いこんじゃったみたい! ごめんなさい!!!!」。僕は思わず泣き崩れた。

しかし意外にも妻は、「そうなの!? そっかーじゃあしょうがないか!」とケロッとしている。

なんなら妻は「全然怒ってないよ」と言ってきた。僕は死ぬほど怒られると思ってたのに。

どうして怒らないのか?

怒らない理由を妻に聞いてみると、

・僕の特性上使い込んでしまうことは可能性としてありえる。
・使い込んでしまったことは事実だから怒ってもしょうがない

とのことだった。

定額給付金を使い込んだ自分にもビックリしたが、この件で怒らなかった妻にもビックリした。たしかに言葉として理解できるがよくわからない。

そもそも他人が怒っていない事実を初めて知る

話が少し逸れる。

実は妻以外にも「この人これで怒ってないの?」と、思う事案がある。

あるとき僕は、取引先の人とミーティングをしていて、「これはやっちゃだめだよ」と、注意された。僕は怒られたと思って非常に自己肯定感が下がった。次にその人と会うときは気が重たかった。しかしこれもまた、妻によると「別に怒ってないでしょ。注意しただけ」という。

注意=怒っているわけではない

『注意された=怒っている』と、自分は思っていたが、世の中はそうではないらしい。僕はこの事実に衝撃を受けた。いままで35年間怒られていたと思っていたことが全く違ったかもしれないのだ。

僕はこれまで、「注意してくれた人のことを少し避ける」という行動特性があった。もしかしたらそこには僕の勝手な思い込みがあったのかもしれない。勝手に思い込んで、勝手に避けてしまった。大変申し訳なく思う。

アスペから見た世界の不思議

このように、定型発達(普通の人)から見た世界と、発達障害(アスペルガー)から見た世界はかなり乖離している。まずはこの事実を世界に伝えたいと思い、noteを書いた。

これまでのエピソードをちょっと振り返っただけでも、相当苦しい。しかし今、自分は色々な経緯があって、自身にアスペルガー傾向があるということを理解している。それにより確実に生活は豊かになったなと感じる。自分の特性を知ることで対策を取ることができているし、周囲にも理解されている(と思っている)。

自分にもそういう部分があるのかも? と、思ったらぜひ一度診断してみてほしい。どんな結果であれ、自分の特性を理解することが出来る。

追記

妻にこのnoteを見てもらったら、そもそも定額給付金のエピソードが違うらしい。

正しくは

僕「今月の支払いが、1万円足りないから振り込んでほしい」
妻「なんで足りないの? そもそも給付金はどうなったの?」
僕「あれ? え……ない。使い込んじゃったみたい……!」

その場で泣き崩れる、という流れだったそうだ。

僕の中の記憶と全く違う。どうやら勝手に僕が脳内で変換したみたいだ。アスペルガーの僕はやばい。

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こちらは自分が「隠れアスペ」であると気づいたときの話。