成果展”VARY”についての整理ー語られる証言と遺失物の解釈-
閉じられた展示VARYについて、幾度となく情報公開を続けてきた。しかし、時間が経つにつれ記憶があいまいになり、情報が断片化してきたように思う。結局のところ、発信する側もなんだったのかについて、収拾がつかなくなってきた。
COVID19によるハプニングが起きてからの応答については、以下の記事にて表明済みだが、VARYからを中心とした視点で書き直してみる。
■概要
証言音声や資料から「想像の設計図」をえがくことをして頂きます。
①全2回のワークショップで、Web会議ソフト「ZOOM」を使用
時間は 14:00~15:10
[第1回]2020/5/3 (日) [第2回]2020/5/9 (土)
②ワークショップの参加締切:4月26日
③ワークシート(図面)の提出期限:4月29日
■VARY特設サイト ⇒ EVIDENCEとなる証言のためのサイト
上記のリンクは、VARY特設サイトという名前になっているが、内容がEVIDENCEという名前に書き換わっているのを確認頂きたい。その中の証言や遺失物について、以後の記述を読んだ上でもう1度注目してほしい。
以下にサイトの内容が書き換わった経緯を記載した。
0、~さらに詳細を説明していく。
Apr/19/2020 証言音声⑨~⑫を追加しました。
The testimonies ⑨~⑫ has been added.
Apr/14/2020 遺失物資料01~03を追加しました。
The lost articles 01~03 has been added.
Mar/22/2020 サイトデザインを一新しました。
The site has been redesigned.
Mar/09/2020 イベント情報を追加しました。
Event information has been added.
Mar/09/2020 展示会場に立ち入れないことが決定しました。
It has been decided that they will not be allowed in the exhibition hall.
Mar/01/2020 新作「mountain /東地雄一郎」オーダーを受付開始
New work "mountain / Yuichiro Higashiji" is open for order now.(**)Mar/01/2020 コロナウイルスの影響で開催できない可能性が出ています。
It is possible that the event will not be held due to the coronavirus.
Feb/25/2020 「東地雄一郎 VARY 特設サイト」を作成しました。
created the "VARY Special Site"
0、EVIDENCE/証言について
展示VARYを制作とその成果と位置づけた場合、Evidenceは、その評価のためのプロジェクトである。最初の展示VARYで刈り取った情報をもとに、展示を再構築することで、その各プロセスにて批評する予定であった。
1、VARYとは、(1月時点)
Variationの源となる単語で、変化という意味をもっている。変化し続けるアーティスト 東地雄一郎 を対象として、misreadし続ける crevasse と 正しく解読を続けようとする da大 in print が示す観察結果である。黄金町AIRプログラムの成果展に参加し、改めて黄金町での活動の目的を考えるきっかけとする。
"バリエーション 【variation】の語源とされる
① 変化。変動。 「 -に富む」
② 〘音〙 変化させたもの。少し違えたもの。変形。変種。
③ 一つの主題をさまざまに変化させる手法。変奏。また、その手法による楽曲。変奏曲。"
つまり、変化というキーワードにて、CREVASSE視点 と da大 in print視点の2つ視点を準備して、東地雄一郎の成果を観察するプロジェクトであり、それが2019年度の黄金町AIRプログラムの成果であった。
上記は、黄金町エリアマネージメントセンターの告知ページ。現在、告知の上段に中止の文字が書かれている。
2、もともとの計画 と その考え方(2月時点)
アーティストは、制作する人であり、生命線は、その活動を継続することと考える。2019年に黄金町AIRに参加して、ルーシーの骨の60%として制作そのものをメインとする活動を活発化させてきた。
上記は、当時のWEBSITEをアーカイブ(保存記録)化したものである。イベントの内容をできるだけ簡素に記載し、来た人にしかわからないもの をつくろうとしていた。計画では、黄金町で常に動きつづけてきた活動目的を振り返り、制作した2種類(2つの視点)の本の比較を実施した。結果、その要素を展示として空間に展開する予定であった。
この時点の思いは、zineや本は見るだけても、読むだけでもダメで、触わって動かすことが重要であると考えていました。そして動かすのは作家の力でだけなく、(お客さんを含めた)そこに直接触れてくれる人たち全員の協力が不可欠であることを展示(イベント)の仕様やカタチに織り込んでいる。
■CREVASSE視点:A=AA≠Aを再解釈(という誤読)としての提示
本は現在も販売しており、CREVASSE(下記リンク)で購入できる。
■da大 in print視点:A=AA≠Aに関わるなにかの探求と精読(or 正読)
(まだみえない小さなアイデアを対話で収集するプロジェクト)
3、応答とは?(3月時点)
COVID19の猛威が明らかになり、状況は日に日に変化していった。
我々は、この状況を素早く認知・判断・操作(施行)をする必要があることを共有し、変化に対する応答を表明した。
この時点から、当初の予定であった東地雄一郎やその作品であるA=AA≠Aの解釈から、テーマが応答に変化した(つまり、エビデンスの評価対象も変化した)。
■CREVASSEの応答=出版の立場から素早く応答
2020年1月にデモによる混乱の中でも香港にむかったCREVASSEが、その独自の視点からCOVID19による展示中止に思考をはじめている。
■東地雄一郎の応答=作家の立場で思考を進めた結果を数日遅れで共有
テキストだけみると結果的に、CREVASSEの表明に対する応答になっている。このときいっしょに展示の計画をしていたこともあり、よく議論した。
可能性を消さないこと と みえるようにすること(だれかに届く状態にする)を念頭に以下の3つの方針を決定した。
【行動1】考えや立場を表明すること。=トークでの意見交換
【行動2】自分たちがすべきことはやり切る=展示設置(結局、ドアは開かず)
【行動3】そのままにしておくこと。=すでに設置されている展示の変形
結果的に、VARYは、開かない展示として開催することとなった。
外から開かないドアを観察することができたが、結局、何人が見たか不明である。
4、展示VARYの証言(4月時点)
いままでは、VARYの話だったが、ここからはEVIDENCEの話にうつる。
会期が終わる前に展示VARYの目的と刈り取っておくべき結果、そのプロセスのおさらないをはじめる。
変更前=当初の計画(COVID19の影響前)
変更後=変更された計画(COVID19による中止をうけて)
■展示の目的は?=表現や思考のVARY(バリエーション)の提示
変化前:本をつかった東地雄一郎やA=AA≠Aの可能性の提示
変更後:COVID19による展示中止を受けて、アーティスト・出版各々の応答
■最低限なにができればいいのか?
変更前:2つの出版がつくる本の比較結果とその議論の内容(疑問も含む)
変更後:応答の刈り取り。ドアが開かずして展示があったことの確認
■アーティストとしての向き合い方
変更前:2019年度の黄金町AIRプログラムの成果の観察⇒次への要求づくり
変更後:応答をカタチにして、確認・共有・交換すること(対話すること)
⇒各項目の変更後に記載がある通り、評価するためには、ドアが開かない展示に対して、応答を刈り取り展示の存在を示す必要がでてきた。
5、証言を収集すること(4月時点)
会期終了間際(撤収直前)に、会期中になんらかの理由で展示をみた人が何人かいることがあきらかになった。展示の存在を証明できる数少ない手段と考え、早急に、展示をみたであろう人に声をかけて証言をとった。収集した証言は、以下のサイトでEVIDENCE=証拠 としてすぐに公開をはじめた。
6、証言から想像の設計図を描くこと
従来の計画をベースに、EVIDENCEのカタチを再構築した。
目的は、応答をカタチにして、確認・共有・交換すること(対話すること)である。目的に合わせてワークショップ形式で進める方針が固まった。
当初、ただ証言を聞くだけのワークショップと考えたが、目的がなしに証言を聞くことが観察にならないため、展示を再構築(従来の目標そのままとする)ことを目標とした。
■展示再構築のための設計図
証言は情報が断片化してるので収拾がつかなくなる可能性を懸念し、一度設計図に聞き取れた情報あつめて共有する場が必要だと考えた。それは工業図面のように正しくものでなく、想像や可能性に満ち溢れた何かをつくりだせす絵画のようなものまでを想定してもいいかもしれない。
目的は、応答をカタチにして、確認・共有・交換すること(展示の再構築)であり、設計図を描くことでないことに注意してほしい。
7、オンラインワークショップへ
4月中頃から設計図をつくるワークショップをオンラインで募集をはじめた。以下が募集の記事である。
■概要
証言音声や資料から「想像の設計図」をえがくことをして頂きます。
①全2回のワークショップで、Web会議ソフト「ZOOM」を使用
時間は 14:00~15:10
[第1回]2020/5/3 (日) [第2回]2020/5/9 (土)
②ワークショップの参加締切:4月26日
③ワークシート(図面)の提出期限:4月29日
展示VARY視点からこれまでの経緯を一言で語ると以下の通りである。
以下、記事からの抜粋----------------------------------------------------
COVID-19により多くのアートイベントが閉まるなかで、今、ギャラリーや美術館での直接の鑑賞体験の価値があらためて問い直されています。
このワークショップでは、私どものアートプロジェクトに在宅のままオンラインでご参加頂くことで、直接的な鑑賞なしになにができるのか、ひいては「展示とはなにか」を思考するきっかけを作ります。
-------------------------------------------------------------------------ここまで-
8、オンラインとは?ーその狙いー
当初は、自分のスタジオを使って実施予定でだったが、COVID19が消息の目処が立たなくなってきた為、オンラインのみで進行できるワークショップを提案した。それと並行に他のオンラインと呼ばれるものを確認する意味でもベンチマークをとった。
Ⅰ、ZOOMをつかった参加型ワークショップ(いっしょに参加すること)
いままでにほとんど開催されていない。
Ⅱ、展示ができないでは止まらない思考(いっしょに思考続けること)
Ⅲ、誤解が生み出す想像力の可能性(いっしょにならないこと)
9、ワークショップの目的=交換(等価と効果)
最後に、ワークショップの目的をおさらいすると、”交換すること”である。
いかにこの困難を越えて、我々が変わることができるかを試されているともいえる。そのときに、当初計画していた VARY=変化 の意味が評価の1つとして浮上してくると考えることができる。
以下は、その交換を解釈を記事にしたものである。プロジェクトの内容を理解後に、参加する前に一読いただけるとうれしいです。
交換とは、ある効果からその対象(思考or 表現 or 制作物)を解釈して、等価(交換できる状態)であることを合意形成できるようにすることである。その結果、価値そのものでなく、価値観で語ると売買も交換に含まれる。
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