「ワタシが私を見つけるまで」

原題は「シングルになる方法」お気軽なラブコメの体裁をとりつつ、自立ってなんなのか 恋愛、人生とは、軽い語り口でけっこう切り込んでくる。

女性のための「おひとりさまバイブル」ね。 なるほど確かに。

NYでの1年を舞台に 彼を切らしたことがないが愛されないし恋に依存してるアリス、太っちょでも毎晩モテモテ、ステディは作らずセックスを楽しむロビン、仕事以外興味ない子供嫌いの産科医メグ、結婚が人生の目的で出会い系にどっぷりのルーシー、それぞれの物語を描く。

原題はハウツービーシングル 「シングル」は なってしまう人 はダメなんだよね。 シングルを選ぶ、つまり1人できちんと立って生きようとする人だけに 運命はほほ笑む。

映画は 誠実な恋人に守られてることに飽き ちょっと自立してみようと悪い冒険心をおこした甘ったれ女子アリスが 恋人関係を保留したまま保険をかけて自立の真似事をし、彼を失い、次々短期間で浅い恋愛を繰り返し、誰からも必要とされない自分に我に返り、人間として自立しようと歩き出すまでを描く。

アリスの姉メグは3000人をとりあげたベテラン中年産科医。この国では子供は人生の足枷、と恋愛も結婚も避けてきたが、ついに赤ん坊の魅力に降参し、精子バンクで見ず知らずの外国人の子を妊娠。妊娠初期のムラムラからヤってしまったかなり年下のケンと妊娠を隠したまま恋愛がはじまる。

ぼくの子じゃなくても ぼくの恋人の子供だ(だから大事)

これは昔 再婚するときに私も言ってもらったんだよね

よく「2人の子なんだからあなたも面倒みてよ!!」みたいなのあるけど
メグはとことん自立してて 私の子、だと言い切る。産科医ゆえにお腹に10か月宿し地獄の苦痛を経て産むことの意味を知り尽くしてる。

でも メグの自立心は逆に行き過ぎており 「家族でドライブするとする。私が疲れてあなたにハンドルを任せる。そして事故が起きる。(子供の命をあなたには預けられません)」 愛とは 信頼すること 失敗の可能性があっても運命を相手にゆだねること。 メグはまだこの時点ではそれに気づけていない。

登場人物の中ではいちばんメグよりの失敗と(男を信頼しきれず 寄りかかられるのも寄りかかるのもよしとしない)心情(それが愛じゃないのは本当は痛いほどわかってる)をもっている私は

毎晩男をとっかえひっかえのほかの女子たちの乱痴気騒ぎや悲壮感には 共感しなかったが メグの気持ちは痛いほどわかった。強がって頑張ってしまうけど孤独で、それは自立ではなくただの拒絶だとほんとは理解してる。

メグが我が子を腕に抱いて言う 「私は完璧に自立してるし1人で生きていける。でも イヤなの。」

あまりに身に染みて 視界が滲みました。 できるからこそ、選ぶべきだ。

できないので選べないのも できることだけにしがみついて他の可能性をはなから捨てるのも 根本は同じだ。

できないんだからしかたない   できてしまうんだからしかたない

妹のアリスは 男が途切れないメスとしての才能があるけど、イヤになって 自立する自分を選ぶ。 モテないからしかたなく自立おひとり様をやってるのではない 1人でいることを選んで生きること、それこそが「欠けているのではなく自立したシングル」だぞ、という結末です。

シングルは いるはずのソウルメイトが欠落した割れ物、不良品、欠陥品ではない。

メグとケンのように 依存しなくても経済的にも心も体も自分できちんとマネージメントできる 自立したおひとりさま同士こそが 「あえて」2人で生きる道を選択して 幸せになれるんだよ ということでしょう。

人生は 流されて仕方なくその状況なのか 自分で選びとってその状況なのか 歩いていく先で見えるもの掴めるものがまったく違う。

ライトなNYガールズ応援映画ですが
このテの映画特有の インテリアやファッションや音楽のセンスの良さも楽しめるし 前向きに生きる人間賛歌は やっぱりいいものです。

女は特に 恋人ができると人生のすべてを彼との時間に使いたがり、やりたかったこと行きたかった場所、読書やジムに行き自分を磨く時間すらデートや彼との電話やメールの時間やオシャレの努力に費やしてどんどん中身が薄くなるって人が少なくないように思う。

それやってると 恋が終わったあと 消費されたつまんない自分 に気づいて 私の時間を返してだの言い始めちゃうんだろうな・・・。

私は望まずして突然シングルを強いられたけど

今は 人の人生に責任を持ちたくなくなったという建前で本当は妻に依存する自分を切り捨てたかった元夫の弱さ悲しみもわかるし

選ばされたようにみえて 結局 家を出るのを決めたのは自分だったのだから 選んで今がある。

完全に自立能力があってなお 人が恋しいと思う。

半人前の0.5と0.5がくっついてどうにか1 という埋め合わせの相手ではなく

1+1で2以上になれる 人生を豊かに彩ってくれる相手を 自分の1を大きくしながら探し続けていくことにする。


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