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海外進出の戦略としてのM&A(In-out)

国内市場の閉塞感から海外へ事業を展開したいニーズは年々高まっている。オーガニックで新規参入を目指すのがこれまでの支流であったが、M&Aを活用し現地企業をグループ化することですぐに仕事を始められるメリットから海外進出の一つの戦略として徐々に広まってきている。

中小企業は単独での海外進出が難しい

今日、日本の中小企業も海外展開をしないと事業存続が難しくなってきている。 国内中小企業ではまだまだ原材料高騰分を価格転嫁できている企業は少なく、利益率が低いまま経営を続けている状況だ。いっそのこと日本ブランドを活かし海外へ販路を拡大したり、生産拠点を設置したいと考える企業も多いと思うがオーガニックで海外拠点を立ち上げ、軌道に乗せるのは並大抵のことではない。だから海外展開に二の足を踏んでいる。大手は資金に余裕があるため、数年なら先行投資することは可能だが中小企業はそうはいかないのが現実だ。だからと言って、国内のみでジリ貧のままいては破綻や廃業が待ち構えている。

海外拠点はM&Aで開設しよう

現地企業はすでに事業を営んでおり、ある程度ネットワークも顧客も持っていることが想定できる。彼らにも何かしら悩みはあるはずなので、それらの解決策が提示できる日系企業であれば子会社化や買収に応じてくれるはずだ。おそらく現地企業はより成長する機会を求めているし、そこへ日系企業の先進技術や良い商品・サービスが加わることで相乗効果が生まれ大きな成長の起爆剤になる。日系企業は単独進出で軌道に乗せるまでの時間とお金のコスト削減ができる。このようにIn-out(日本企業が海外企業を買収する)M&Aは双方にとってとてつもないメリットが享受できる。

まずはASEAN地域から海外展開がおすすめ

ASEAN地域は親日国が多く、日本の商品や文化を高く評価してくれている。そのアドバンテージがあるため日系企業によるM&Aは比較的ハードルが低いと言える。それ以外にもASEANがおすすめな理由が以下5点である。

1、域内の人口が増加しており、マーケットが拡大している
2、物価がまだまだ低く今なら比較的手頃に企業買収が可能である
3、現代表が創業者の場合が多く、トップダウンで話が早い
4、域内の企業も日本市場への進出を目指している
5、域内は関税がないため、1拠点から他の域内へ事業展開が可能

これらのメリットを1社M&Aすることで一瞬にして全て享受できる。今後はこういった事例が増えると見込んでASEANへ進出しているのが日本M&Aセンターだ。彼らは2016年のシンガポール事務所開設を皮切りに現在では、マレーシア、インドネシア、ベトナム、タイと5拠点へ展開している。日本型のM&A仲介というビジネスモデルで1〜30億規模の中小・中堅案件を取り扱っている。

クロスボーダーM&Aが日本産業を救う

私はこれまで日本の中小企業が作った商品を海外へ販売するお手伝いをしてきた。テストマーケティング時点では現地の評価も上々でいざ本格参入をしようと準備を進めていた企業が土壇場で進出計画を白紙にするケースを見てきた。そのほとんどの原因が単独で進出する際の資金と人材の課題であり、M&Aという手段をとれば本業のみに集中でき、より短時間で最大の利益を上げられたと考える。
まだまだ事例数としては少ないが、クロスボーダーM&Aが一般化しIn-outによる日系企業の海外進出、Out-inによる海外企業の日本進出が当たり前の時代がすぐそこにきている。ぜひ海外展開を考えている企業オーナーにもM&Aの持つメリットを最大限享受してもらいたい。

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