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中田敦彦のYouTube大学 ~スローライフ系・老荘思想の実践編~

【はじめに】
この記事では、中田敦彦のYouTube大学で紹介された「老荘思想」と、その系譜にあるのではないかという動画をエクストリームに纏め、ストレスフルな現代人に、古くて新しい価値観を再認識させていこう! という記事です。

1.思想編

(2019/10/29)【東洋哲学史②】〜意識高い系儒教 vs スローライフ系道教〜

YouTube大学を初めて半年、哲学に凝っていた頃の動画から、「諸子百家」の授業。タイトルが非常にわかりやすかったので、そのまま引用しました。今回取り上げたいのは「スローライフ系道教」の方です。
ちょっと動画をご覧いただけるようでしたら、冒頭の30秒をご覧ください。

右側に青色のペンで書かれている部分「出世と成功にとらわれない生き方」が、老荘思想(道家)から「道教」へ波矢印で繋がっている説明部分です。

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成功を求める「意識高い系」の儒教との対比で、道教を「スローライフ系」と位置づけて、諸子百家を大別しています。ちょうど現代のビジネス本にも「意識高い系」と「スローライフ系」がベストセラーな様に。

(2019/10/30)【東洋哲学史③】〜儒教を無効化するライバル「道教」〜

〔人徳を持つ者が成功して会社や国を大きくする〕という儒教の帝王学を、真っ向から否定するという老荘思想。カードゲームの「無効化」みたいに。

①人徳なんてほとんどウソだ ② 成功したら大変だ ③ 拡大してもキリがない

として、人徳、成功、拡大路線という幻想を無力化してくるのです。まるで「世捨て人」の様に見えるが、実は乱世における生存戦略なのではないか? と、中国戦国時代から現代という乱世を生きる現代人にも共通する考え方。

(参考・2019/10/26)【論語と算盤②】「蟹穴主義」

本来、老荘思想と対極にいる『論語』ですが、渋沢栄一の『論語と算盤』で「蟹穴主義」という考え方が紹介されていました。

要するに「不相応(ぶそうおう)」、「分を弁(わきま)えろ」ということです。これを言っているのが、失敗して負け惜しみを言っているのでなく、財界人として成功し日銀総裁などの誘いを断った「渋沢栄一」だから凄い。

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2.実践編

(2020/10/06)【働きすぎない生き方①】1日100食限定の佰食屋〜業績至上主義からの解放

例えば、「佰食屋(ひゃくしょくや)」という100食限定の食堂は、拡大を追求するのが常の飲食・ビジネス業界においては異色な「売り上げを敢えて減らして、働きすぎない生き方」を追い求めています。

渋沢栄一の「視・観・察」ではないですが、

『店舗数が増えた、年商1億円を突破した、経済産業省から認定を受けた』

ことを著者が喜んでいる点で、まだ『業績至上主義』から解放・脱却できていない事をあっちゃんは見抜いていました。それだけ『業績至上主義』は、魔力が強いということなのかも知れません。

しかし、不必要に売上増加を追い求めず、「売上を減らすメリット」を享受するという理論を、現代社会において実践する姿勢は大変勉強になります。

(2019/11/24)【千利休②】と「丿貫(へちかん)」

安土桃山時代の茶人・千利休の動画で、この老荘思想に繋がるのが、YouTube大学の視聴者の中にもファンの多い「丿貫(へちかん)」です。

動画の18分ぐらいからあっちゃんが語っている、豊臣秀吉の大茶会での伝説的なエピソードは、禅や侘び茶を極める「丿貫」と、その他の茶人との対比という観点からも面白いものです。

これがYouTube大学で「世捨て人」の様な生き様を『日本人の偉人伝』の中で取り上げた初期の例となります。

(2020/09/20)【山奥ニート①】

あっちゃんが、配偶者である福田萌さんから紹介され(初めて)取り上げたという書籍がこの『山奥ニート』です。

舞台は和歌山県。最寄り駅から車で2時間の限界集落、木造校舎を改装した所に山奥ニート15人が共同生活をしています。
(ただし、働いて収入を得ているので、本当はニートじゃないのですが。)

生活費は月1万8000円で、それを賄える程度の収入を、限界集落の住民たちから得ています。
もちろん台風は恐ろしく、停電は全く復旧しないですし、通院には車で30分掛かりますが、月に数える程度働けば、残りは自由自適な生活を送れます。

この後紹介する「年収90万」の独りぼっちな生き方との大きな違いは、共同生活をする周囲との間に、守らなければならない「ルール」がある事です。

例えば、洗い物は自分でする、月に数回夕食を作る、半年に1回は大掃除をするといった日常的な物から、生活費の未納や暴力沙汰による退去勧告などです。これらを守れないと、ここでは生活することが出来ません。

(2021/07/10)【年収90万円で東京ハッピーライフ①】世間の常識に縛られず楽に生きよう

『山奥ニート』から約1年、これまでの「YouTube大学」の総集編のような動画がアップされます。それが「年収90万円で東京ハッピーライフ」です。

(執筆当時)収入は、年収90万円≒月7万5000円。週に2回「介護」の仕事をされていて週休5日です。そして、生活費は7万円。そのカラクリとは。

住:「多摩」の5畳ワンルーム(最寄り駅から徒歩25分)家賃:28,000円
:1日300円で自炊 玄米、味噌汁、納豆、サバ缶

1,000万人以上の住む東京都は東西に長く「多摩」であれば、都心とは比べ物にならない程の家賃で生活することが可能です。『多摩かぁ』とか『玄米か~』とか(潜在意識で)下に見たそこの貴方。あっちゃんをパクりますが、『侮らないでね!!』ということです。

著者の方は、週休5日を「(図書館での)読書と散歩」に費やしているそうで、日に10冊もの本を読む読書家でもあります。これまで数年掛けて、あっちゃんが紹介してきた、本から学んだ生き方を尽く実践してるのですから!

例えば、食に登場する「玄米、味噌汁、納豆、サバ缶」などは、『食習慣』の授業で摂るべきとされた体に良い食材そのままです。当然、糖分や飲酒で心身のバランスを崩すこともありません。

他にも、5畳一間で生活できるほどの「ミニマリスト」であり、「働き過ぎない仕事のスタイル」を地で行っているのです。皆さんが動画や記事を見て『実践してみたいなー』と思うだけで満足に実践できていないものばかり! 多くの人が実践できていないことを成し遂げる生活を送ってるのですから。

(2021/07/11)【年収90万円で東京ハッピーライフ②】やりたくない事さえしなければ優勝

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あっちゃんのホワイトボードの右側を引用しましたが、至言に溢れてます。

①「好きなことで、生きていく」というより「キライなことで死なない」
多くの人が自ら命を絶っている現状に鑑みれば、「『キライなこと』をして死なな」ければ、ひとまず良いのだという観点は極めて大事だと思います。
『嫌なことして、死んじゃう』というバッドエンドを遠ざけるのです。

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やりたいことが見つからない人でも「やりたくないこと、できないこと」は自分で分かってるはず。やりたくない事さえしなければ優勝なのですと。接客が嫌な人は接客を避け、一人で黙々と単純作業をやるのが嫌な人はそれを避ける。そうして、まず最初に『居心地』の良さとストレスフリーを確保していくのです。

それを人間関係に当てはめると「苦手な人から徹底的に離れる」ことになります。「苦手な人や物、環境から脱する」のが実は極めて重要なのです。

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そして「お金」は『逆算して稼ぐ』という考え方に立った事ありますか?勿論、お金はあるに越したことは無いですが、儒教に対する老荘思想ではないですが、(特に労働者として)多くのお金を稼ぐことは非常に大変です。「生活に本当に必要なお金は幾らか」を考え、「それ以上稼がない」は言い過ぎかも知れませんが、「それだけ稼ぐにはどれだけ働けば済むか」という所まで一度考えてみるのも良い機会かも知れません。

実は「FIRE」の境地に、資産1億円なんか無くても到達できるという目からウロコな発想かも知れません。『生活費年/数百万円の水準を維持するには、年利6%の資産運用元金が1億円居る』…という「生活費」を小さくすることで、元手も少なくて済むのです。

※勿論、コメント欄にある通り、様々な疑問や課題、問題点もありますが、これも現代社会において『実践』しているということに価値があります。

⑤ 結局は、「外に聞くと答えは見つからない」。『外に求めず、内に聞く』ことで、世間体や評価に必要以上に左右されず、自分が本当に求めるものが何かハッキリし、それを追求していけるようになる。大事なのは自己観察。真面目な人ほど自分に蓋をして頑張りすぎてしまう。①にも繋がる話です。

『自分だけの正解は、自分が一番居心地のいいスペース』

これこそが、実は「幸せ」の答えなのではないかというのです。

【おわりに】

この「年収90万円で東京ハッピーライフ」では、あっちゃんがYouTube大学の総集編的な位置づけで語っていて、過去の動画を振り返っています。ここでは、おさらいされた動画を一部ですが列挙しておきたいと思います。

・ボーッとする時間を確保 → 「禅/マインドフルネス」
・服を買わずに姿勢を伸ばす → 「ミニマリスト」
・支出を抑えて、その支出から逆算して収入を得る → ほぼ「両学長」
・玄米、味噌汁、サバ缶 → 「最高の体調」
・精神性、人間関係の授業 → Think Clearly/Smart

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これらは全て、中田敦彦のYouTube大学で『書籍』をもとに授業が行われたものです。決して、あっちゃんが考案したものではなくて、既に『書籍』で紹介され、ベストセラーになっていたものです。決して万人にではないですが、読書する方やアンテナの高い人には届いていた有益な情報達なのです。

筆者は、週休5日の中で「日に10冊」の読書をした結果、ほぼ独学でこれらの生き方を体得していったのだと思われます。『あっちゃんの先』を行っているのかも知れません。

事実、筆者は「YouTubeを週2(あっちゃん現状、週3)」で更新してきたほか、「資産1億円に遥かに届かないのにFIREとほぼ同じ境地」ですから。あっちゃんが動画の最後に『少し嫉妬している』と語るほどの生活を送ってこられた方なのです。

『年収90万円でのハッピーライフ』というタイトルから、一瞬でも下に見た皆さん。あっちゃんの言葉をもう一度パクリます。『侮らないでね!!!』

ひょっとすると、皆さんが『成功』や『出世』にとらわれてきた考え方を、無効化せんとする「老荘思想」のスローライフな生活を、現代社会において『体現』する極めて数少ない存在かも知れないのですから。


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