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俳句チャンネル ~季語の六角成分図~

【はじめに】
この記事では、2021年2月18日「夏井いつき俳句チャンネル」にアップされた動画『公募ガイドは光の書?季語の六角成分図でボツから逃れよう』から「季語の六角成分図」についてご紹介します。

2018年に出版された書籍『NHK俳句 夏井いつきの季語道場』もベースに、具体的な「季語の六角成分図」について、私見も交えながらお話ししたいと思います。

0.『公募ガイド』については簡単にだけ

今回お話しにあった『公募ガイド』について、私はあまり実経験が無いのでサラッとだけ触れさせてもらいますが、

『公募ガイド』(こうぼがいど)は公募ガイド社が発行する 公募に関する月刊雑誌。1985年、季刊誌『全国作品コンテスト公募ガイド』として創刊。翌年に月刊化し、『公募ガイド』に改称した。毎月9日発売。
ジャンル別に公募情報が紹介されており、「ネーミング・標語」、「文芸」、「論文」、「アート」、「フォト&ビデオ」、「音楽・芸能」、「学生向け」、「ノンセクション」に分けられる。

色んなジャンルの公募に関するトピックスや、公募で選ばれるためにプロがアドバイスしてくれる特集記事が注目ということになりましょう。

「俳句キット」
第1部 5音+12音の型編
第2部 季語の分析編 ← 今回紹介する内容
第3部 アウトプット編

普段の夏井組長の書籍や動画でも紹介されている基本的な考え方が、この『公募ガイド』でも重ねて紹介されているようです。(無料公式記事より)

そして、インタビューで話した内容に関して組長は動画の中で、

色んな俳句の賞・コンテストに応募する時の、「簡単な作り方から少し抜け出す」ための(アドバイス)。
凡人の塊から闇から闇に葬り去られるのでは『公募ガイド』の目的に合致しないから、「どうやったら(公募に)残ることが出来るのか」そういう「俳筋力の鍛えるやり方」の非常に具体的なやり方、ヒントを紹介している。

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といった内容を語っています。それに対して、家藤正人さんが、

すごいですね、今言ったことを言い換えると、『闇に沈まないための、終末から逃れるための光の書』みたいな感じですね!

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そして、その中で一番ポイントとなるのが「季語の六角成分図」なのです。

1.「季語の六角成分図」

動画では、「六角成分図」について、組長自身が、

「六角成分図」は、私の中で季語を理解していく時に、自分の頭の中で、目安として持っていた一つの指標。

と語り、季語の本意を理解するため使っていたツールだと説明しています。

具体的な使用例としては先ほどの『公募ガイド』のHPにあったものの動画をお貼りしました。 冬の季語『木枯』の例です。

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私が俳句を作る時、外から入ってくる情報は五感(視覚、嗅覚、聴覚、触覚、味覚)しかなく、この5つのアンテナからしか外の情報が入ってこない。
となったら、一つひとつの季語を把握するために、五感情報を目に見える形で整理していけたらいいな、という私が個人的に思ってた脳内データ分析。

プロの俳人が行っていた季語理解のツールがまさしく『季語の六角成分図』なのです。

2.五感だと1個足りない。増やしたのは「連想力」

ただ、五感だと「六角成分図」には足りない。そこで1個増やしたのが、「発想力」という項目だったようです。その契機となったのが、「忌日」の季語だったそうです。

例えば、動画がアップされた2月(立春)以降の忌日の季語で代表的には、

・2月12日「菜の花忌」(作家・司馬遼太郎)
・2月17日「安吾忌」 (作家・坂口安吾)
・2月20日「多喜二忌」(作家・小林多喜二)
・2月22日「風生忌」 (俳人・富安風生)

などがありますが、五感に直接刺激する季語ではありません。「菜の花忌」も、実物の菜の花のイメージが僅かに香ってきますが、実際には菜の花という存在とは無関係な「忌日」なので、五感だけのレーダーチャートだとほぼ最低点が連なってしまうという訳です。

そこで、「実物」が無いから五感への訴え掛けは弱いものの、相対的に見て「連想力」のパワーが強い季語を際立たせるために、「連想力」を加えて、綺麗な六角形の成分図を編みだすことに成功したのだそうです。

3.「六角成分図」実践 ~基礎編~

これは個人の感覚を数値化して視覚化することが目的なので、数値に答えがあるものではありません。なので皆さんが思い思いに季語を分析して、蓄積していくことが実践の第一段階になります。

六角成分図なのは飽くまでも夏井組長が作ったオーソドックスなものであって、慣れてきたら他の要素を加えて「正八角形」の成分図も良いかも知れません。

(例えば、「いつき組」を名乗る常連の「ふるてい」さんは、五感から全く離れて、俳句の技巧的な観点から「新季語六角成分表」を作ってます。 ↓)

これを、貴方にとって馴染みのある媒体で、沢山作ることが俳筋力を鍛えることにも繋がりますし、貴方の大きな財産となっていくでしょう。

・紙ベース(手帳、メモ帳、句帳 etc)
・表ソフトベース(Excelのレーダーチャート機能などを使用)
・ホームページ(例えば、「レーダーチャート画像作成・概要」さんなど)

4.「六角成分図」実践 ~交流編~

これを作る中で、他の句友たちと交流する場面があると、更に新たな面白い発見に出くわすことがあるそうです。例えば、

「梅」について語ったとき、南の人間は「晩冬」や「早春」の印象が強い「梅の花」を、北国の人は「春本番」といった印象に感じる

「麦」について語ったとき、都会生まれの女優MCは「触覚」の点を低く捉えていたが、実際に麦畑に行ったゲストさんは、麦の籾殻の感覚などを肌に触れた経験から「触覚」の点を高く評価していた

「鶏頭の花」の視覚や、「百合の花」の嗅覚などの配点自体は高くなるけど、それを『好き』と捉えるか『嫌い』と捉えるかは人それぞれ

などです。これを続けることが「基礎体力作り」になる。と語っています。

【おわりに】

話しがだいぶ膨らんでしまったので、ここで一旦切りますが、要するに、「ボツの闇」から逃れるためには、テーマとなる「季語」への理解を可視化して分析し、類想を避けるべく「季語の本質」を捉えることが第一歩だという結論に達したようです。

動画については、改めてリンクを貼っておきますので、そちらをお楽しみ下さい。そして、今回の記事に派生した実例については、別途記事をアップしようと思っていますので、続編もお楽しみに! それでは俳号:Rxでした、ではまたっ!


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