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【速報版】トンガ付近での大規模噴火に伴う潮位変化について

【はじめに】
この記事では、2022年1月15日に発生し、翌日にかけて観測されている潮位変化と、それを受けて発表された「津波警報・注意報」について、速報的にまとめていくものです。

※ 内容に関しては、私(Rx)の忘備録的なものですので、必ず正しい情報でご確認いただきまようお願いいたします。

1.時系列(日本時間)

2022/01/15(土)

  • 13:10 トンガ諸島付近の「フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山」で大規模噴火が発生(噴煙高度:約16,000メートル)

  • 18:00 遠地地震に関する情報
        (日本への津波の有無については現在調査中)

  • 19:01 「若干の海面変動が予想される津波予報」で、
        「日本の沿岸では被害の心配なし」と発表

  • 23:55 ※奄美大島小湊で1.2m(警報クラス)を実測

2022/01/16(日)

当初(1月16日午前0時15分)の発表状況、この後、岩手県に津波警報が追加。
  • 00:15 + 津波警報(奄美群島・トカラ列島)および津波注意報が発表

  • 00:16 ① 満潮時刻・津波到達予想時刻に関する情報

  • 00:26 ② 31分前に奄美大島小湊で1.2mを観測していたと公表

  • 00:38 ③ 本州での実測値を公表

  • 02:00 会 気象庁が1回目の記者会見

  • 02:26 ※ 岩手県久慈港で1.1m(警報クラス)を実測

  • 02:54 + 警報(追加):岩手県

  • 02:55 ⑭ 29分前に久慈港で1.1mを観測していたと公表

  • 04:07 + 注意報:長崎県西方、鹿児島県西部

  • 07:30 - 警報→注意報:奄美群島・トカラ列島

  • 11:20 - 警報→注意報:岩手県

  • 14:00  注意報→予報:全国

2.過去の私(Rx)の記事で振り返る

(1)ここ最近「津波」を観測した事例

警報が発表され、実際に津波を観測した事例としては、東日本大震災以降では3例目(2011/3/11・2016/11/22・2022/01/16)となりました。
ただ、いずれの事例でも「出し遅れ」の傾向があるのは若干気がかりです。

 日 付  最高値  震源地
2006/11/15 0.84m 千島列島東方
2007/01/13 0.43m  〃
2010/02/27 0.10m 沖縄本島地方
2010/02/28 1.20m チリ地震
2010/12/22 0.50m 父島近海
2011/03/11 8.5m+ 東日本大震災
2016/11/22 1.44m 福島県沖
2021/01/16 1.20m (トンガ諸島)

(2)津波の「第1波」の観測情報について

今回は『津波か否か』の議論もあり、更に発表は困難を極めた側面もあったと思います。
ただ今回に限らず、「津波の第1波」の観測情報の発表は、実際に観測してから公表されるまで数十分(注意報以上を発表していない場合は1時間以上のことも)掛かるのが通例です。

こうした場合、下の項でも見る様に、気象庁の「潮位観測情報」のページで実測値をグラフで見た方がリアルタイムに直感的に把握できると思います。

更に今回は、「実測値」を受けて警報・注意報に格上げする形なため、あらかじめ注意・警戒を促すことは、普段以上に期待しづらい状況にあります。大事なのは、いま報じられる情報が最新とは限らないということ。これは、東日本大震災の時に強く衝撃を受けた教訓の一つです。

(3)津波警報・注意報が“格上げ”された事例について

今回まさに恐れていた事態が起きたのが、「津波による被害の心配なし」という発表をしてからの「格上げ」(事実上の撤回)です。
津波に関する情報へのリテラシーのある人間には驚かないのですが、そうでない一般の方々には、情報の混乱・錯綜の印象を与えたのではないかと危惧しています。

2021年春に起きた東北地方の地震をもとに、ウェザーニュースの山口さんらがこんな受け答えをしていました。

「たまにあるのが、津波無いですとか、若干の海面変動ですって言ったのに実際に津波来ることがあるんですよ。そういう時は出し遅れになるんですけど、津波注意報を出すということはあります。

(05:40)山口剛央・予報士 

「……確定の情報が入った時点で『津波の心配はありません。』とお伝えすると思うんですよ。そこで、『あ、無いんだ良かったな』とすぐ情報源を見るのを止めてしまうのは危険だということにもなりかねないということですよね?」

(06:00)武藤彩芽キャスター

「最悪は、無いと思ってたら、実際に後から津波注意報が発表された事例って稀なんですけどあるんですよね。 最新の情報を入手し続けるというのが重要です。」

(06:30)山口剛央・予報士 

まさに今回これが的中してしまいました。ただ、こういった弱点というか、制度上の課題があることを把握しているだけでも、情報の読み方や対応に、かなりの差が出てくるのではないかと思うのです。

3.各地の実測状況(例)

ここからは各地の「潮位観測情報」などを元に、観測点ごとの時系列を整理していきたいと思います。今回は特にそうですが、「実測」されたから警報などに反映するという形になっています。

大事なのは、「後出し」にならざるを得ず、『まだ警報が出ていないから、警報級の潮位変化が起きていない』とも限らない点です。普段からそうですが、警報・注意報を待たずに避難行動を取ることが重要だと感じます。

気象庁 > 潮位観測情報

北海道地方:浜中町霧多布港

19:01 津波予報(若干の海面変動)発表
21:03 第1波(押し)
23:59 最大波:60cm(注意報クラス)を実測
00:15 「津波注意報」発表
00:50 51分前に60cmを実測していたことを公表
01:05 最大波:90cmを実測
01:10 5分前に90cmを実測していることを公表

午前1時頃に「高潮警報」基準に達する最大波を観測。その後も50cm前後の潮位変化が続く。

東北地方 :岩手県久慈港

19:01 津波予報(若干の海面変動)発表
20:57 第1波(押し)
00:08 最大波:90cm(注意報クラス)を実測
00:15 「津波注意報」発表
00:38 30分前に90cmを実測していたことを公表
02:26 最大波:110cm(警報クラス)を実測
02:54 「津波警報」発表
02:55 29分前に110cmを実測していたことを公表

午前3時前に「高潮警報」基準を超える潮位変化を観測(津波警報を発表)。その後も天文潮位の高い状態が続いており、「高潮注意報」基準に近い潮位変化が続く。

関東地方 :東京都小笠原村父島

19:01 津波予報(若干の海面変動)発表
19:58 第1波(押し)
22:52 最大波:90cm(注意報クラス)を実測
00:15 「津波注意報」発表
00:26 1時間半前に90cmを実測していたことを公表

日付変わる前に90cmの波を2度観測(但し干潮時間帯)。その後は50cmに満たない変動が中心。

近畿地方 :和歌山県串本町(潮岬)

19:01 津波予報(若干の海面変動)発表
20:52 第1波(押し)
00:15 「津波注意報」発表
00:36 最大波:70cmを実測
00:45 9分前に70cmを実測したことを公表
00:58 最大波:80cmを実測
01:10 12分前に80cmを実測したことを公表
01:23 最大波:90cmを実測
01:31 8分前に90cmを実測したことを公表

終始「津波注意報」クラスの変動が続く。午前1時台に70→80→90cmと最大波を更新。

四国地方 :高知県土佐清水(足摺岬)

19:01 津波予報(若干の海面変動)発表
21:04 第1波(引き)
00:15 「津波注意報」発表
00:23 最大波90cm(注意報クラス)を実測
00:38 15分前に90cmを実測したことを公表

NHKでは漁船の転覆(室戸)や海面の上下動(土佐清水)が繰り返し報じられた高知県。 始点がプラスだったこともあるのでしょうが、潮位偏差は「+100cm」を超えているように見える。

九州地方 :鹿児島県奄美

19:01 津波予報(若干の海面変動)発表
20:44 第1波(引き)
23:55 最大波1.2m(警報クラス)を実測
00:15 「津波警報」発表
00:26 31分前に1.2mを実測していたことを公表
07:30 「津波注意報」に切り替え

「津波警報」が発表される直前、1.2mの最大波を観測。その後ははっきりと上下幅が小さくなっている様に見えるが、しばらく続きそう。

地点ごとの情報と検証は下の記事をご確認ください。


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