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津波の「第1波」の観測情報について

【はじめに】
この記事では、地震発生後に発表される「津波の第1波観測情報」について、ここ10年の実例を振り返っていきます。

1.「津波・第1波」の観測実例リスト(暫定版)

津波に関するニュースを見ていると、地震の発生(津波に関する情報発表)から少しすると「実際に観測された津波の情報」が発表されます。

厳密な意味では少し違うかも知れませんが、今回はそれを「津波・第1波」の観測情報など名付けて記事を書いてみることにしました。

早速、私が分かる範囲でまとめてみた「津波・第1波」の観測実例リストがこちらです。(素人の手控資料から作ったので、正確性は保証しかねます)

表のうち「予想」は、津波の第1波予想時刻(第1波を観測した海域)と、最も早く第1波を観測した地点の「観測時刻・観測値」を示しています。

そして、一番右の「発表」は、ニュースなどで津波・第1波の観測の情報が実際に報じられた時刻(大体)を表しています。

2012年3月14日の18時08分頃に起きたM6.8の「三陸沖」の地震では、

・「18時40分頃」と津波・第1波の到達予想時刻が当初予想され、
・「18時52分」に、「10cm」の第1波が実際に観測され、
・「18時55分」に、その情報が発表された

という風に表を読んでください。

続いて、この表から分かること(?)を素人目線で考えていきます。

2.津波予報ではリアルタイムでは発表されない(?)

詳しくは、また記事を書きたいとは思いますが、気象庁が発表する津波の情報には、「大津波警報」「津波警報」「津波注意報」「津波予報」といったものがありますが、このうち「津波予報」に関しては、「津波・第1波」が仮に観測されていても、基本的には情報は発表されないと思います。

「津波予報」を、日本語版ウィキペディアでは、
 ・津波の心配なしの場合
 ・若干の海面変動が予想される場合
 ・津波注意報が解除された場合
に大別していますが、

津波注意報以上が発表されていない地震では、仮に、津波注意報以上に相当する津波が実測されていても、津波注意報以上に格上げされない限り、基本的には「津波が実測されている」という情報を発表しない印象があります。

例えば、2021年2月13日に起きた福島県沖のM7.3の地震では、当初、速報値M7.1と推定された値をもとに「津波予報」が発表。翌日(午前1~2時台)に10~20cmの津波(海面変動)が観測されましたが、このことが報じられたのは、地震から半日(1日)以上経ってからでした。

※「津波予報(若干の海面変動)」は『20cm【未満】』を対象としており、「最大20cm」であるならば、厳密には『20cm【以上】』の「津波注意報」にギリギリ該当する規模という見方もできるはずです。
※また、気象庁は、「津波予報」だけの時は、情報を発表しなくなります。津波に関する情報が公表されていないからといって、『もう津波が観測されていない』とか『もう安心だ』などと決して誤解されることのないように。

・16/09/23 15 6.7 予 0.2m 関東東方沖
・18/05/06 10 5.7 予 0.3m 鳥島近海
・21/02/13 55 7.3 予 0.2m 福島県沖

ここ5年でも3例ぐらい起きています。情報の見方としてご注意ください。

3.津波到達予想時刻の見方について

( 後日、記事起稿予定 )

4.「津波・第1波」到達の発表までには結構時間?

改めて最初に載せた表を物凄く簡略化して、1行足してみました。

画像2

これは、地震発生から「津波・第1波」の観測情報が発表されるまでの時間に限って表示したものです。

この表から分かること:東日本大震災後の例については、地震の発生から「40分~1時間以上」経たないと、実測情報が出てこない計算となります。

ここ10年幸いなことに、大津波をもたらすような地震やM7後半の巨大地震に近い地震が起きていないのもありますが、M7前後の良くある地震では、地震発生から1時間前後「津波の実測」の情報が無い事の方が多いんです。

ですから、『地震から30分(~1時間)経っても、津波が観測されたって情報もないし、そろそろ平気かな?』と思うのは、情報の見方を誤解している可能性もあり、かなり危険なこともあるのです。

津波から1時間半ぐらい経つと、実測の情報も出揃って、気象庁から津波に関する情報の続報が出されることも多いですが、こうしたタイミングも考慮しているのではないでしょうか。少なくとも、気象庁が発表した情報が解除されるまでは、適切な行動を取り続けることが必要かと思います。

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