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「名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)」:大人気シリーズの第27弾の舞台は函館。もういろんなキャラがいて、一見(いちげん)さんは把握できなくなっている。。

<あらすじ>
北海道函館市にある斧江財閥の収蔵庫に、怪盗キッド(声:山口勝平)からの予告状が届く。ビッグジュエルと呼ばれる宝石を追い求めているキッドだったが、今回は、幕末を生きた新選組副長・土方歳三にまつわる日本刀を狙っていた。西の高校生探偵・服部平次(声:堀川りょう)とコナン(声:高山みなみ)たちは剣道大会のために函館に来ており、犯行予告当日、キッドの変装を見破った平次はキッドを追い詰めていくが……。その頃函館倉庫街では、胸に十文字の切り傷がつけられた遺体が見つかり、“死の商人”と呼ばれアジア一帯で武器商人として活動する日系アメリカ人の男が捜査線上に浮かぶ。男は、戦時中軍需産業に深く関わっていた斧江家初代当主が函館のどこかに隠したとされる宝を探していた。その宝とは、当時日本の敗色濃厚だった戦況を一変させるほどの強力な兵器だという噂もあり、その宝とキッドが狙う刀は関係があるようであった。刀を狙うキッドに謎の剣士の影が迫り……。

KINENOTEにて

評価:★★★
(五段階評価:★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高、☆が最低)

劇場版名探偵コナンシリーズも今年で第27弾。TVシリーズをリテイクし、総集編として劇場公開したものを除くと、コロナ禍の2020年に劇場公開がなかっただけで、1997年の第1作「名探偵コナン 時計仕掛けの摩天楼」(1997年)からずっと毎年出しているのは素直にすごいなと思います。ただ、そうしたコナンシリーズはドラえもんやクレヨンしんちゃんのような、その他の長年シリーズものと違って、原作やTVシリーズの経過に伴って、コナンや毛利蘭などの主要キャラのほかに、本作にも出てくる怪盗キッドや服部平次などの、コナン以外でもサブストーリーで主役を張るような準主役級キャラであったり、警察やFBI、CIA、国際警察の中の人物、それにシリーズ通して対峙していく黒の組織の中でも様々なキャラクターが出てきています。それらキャラも劇場版に出てくるので、結局こいつは、この映画だけのキャラなのか、それともシリーズ通してキーとなるキャラなのかを見ながら判断しないといけないのは、ちょっと一見さんには厳しい作品になっているのかなと思います。

そして劇場版コナンシリーズで、もう1つ楽しいのは犯罪の舞台となる現場。本作の1つの前の「名探偵コナン 黒鉄の魚影」(2023年)は太平洋・八丈島の海底に建設された国際的な犯罪研究施設という、ある意味ちょっと現実離れした施設や乗り物編ではなく、タイトルにもあるように北の観光都市でもある、函館という現実都市を舞台にした作品。ちょうど昨年(2023年)函館に旅行に行っていたこともあり、本作にも出てきた函館山であったり、五稜郭も旅行で訪れていたので、それもあっての鑑賞になりました。ラストの函館の街を舞台にした、現実離れしたコナンアクションは相も変わらず楽しいし、旅行の想い出もスクリーンで少し堪能できたことはあるのですが、お話としてはちょっと大風呂敷を広げすぎ感があったりします。怪盗キッドや平次など準キャラも登場させ、僕もよく知らないTVシリーズ版(であろう)キャラクターもちょい役で出てくる割には、話が本作内ですっきりとしてこないんです。だから、肝心の犯罪部分に関しても、ちょっとやりすぎ感も感じえない。全体的にちょっと大味になっているのが、(函館という楽しい場所を舞台にしている割に)残念だったりします。

それに本作公開に合わせて、前作の「名探偵コナン 黒鉄の魚影」(2023年)もTV放映されたと思いますが、こちらがなかなか力の入った面白い作品だっただけに、逆に本作の大味感はより際立ってしまったかなと思います。コナン映画はやっぱりキャラをたくさん登場させるという横の拡がりより、前作の灰原哀のように、コナン(もしくは毛利蘭)と1キャラクターに絞った犯罪劇に絞って、前半・後半にいわゆるコナンアクションを展開させれば(笑)、自然と力感入った作品になるかな(これはこれですごいのですが)と思ったりします。

<鑑賞劇場>TOHOシネマズくずはモールにて


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