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こころの健康

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YeKuが作成した「こころの健康」に関するエッセイ記事をまとめます。
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記事一覧

心の不調時、精神科・心療内科・カウンセリング、どこに行くか迷ったら?

精神的な不調や心の悩みは、誰もが生涯に一度は経験するものです。 しかし、その悩みをどこで相談し、誰に助けを求めればいいのか、迷うことは少なくありません。 精神科、心療内科、カウンセリングは、それぞれが異なるアプローチで心の問題に対処します。 この記事では、これらの違いと、どのような状況でどこを選ぶべきかを解説します。 精神科 精神科は、主に精神疾患や精神障害を診断・治療する医療機関です。 心や精神の症状を中心に対応します。 例えば、気分の落込み、幻覚、妄想、物忘れ

「うつ病って逃げでしょ?」と言われたら

こんにちは。 私は過去に不登校と引きこもりを経験し、双極性障害と診断されています。今日は、うつ病に対する誤解について、私の経験を交えながらお話ししたいと思います。 「うつ病って逃げでしょ?」こんな言葉を耳にしたことはありませんか? 最近は無いかもしれませんが、こうした心無い認識を持っている人はまだまだ多いです。私も以前、そう言われたことがあります。 しかし、私たちが本当に「逃げ」たいのは、社会ではなく、自分自身の内面に蔓延る絶望や痛みからです。 うつ病はただ気持ちが

心の病をカミングアウトされたら

心の病を抱える人からその事実をカミングアウトされた時、どのように対応すれば良いのか、そのテーマについてお話ししたいと思います。 私自身、実際にこのような経験をしたことがあります。初対面に近い人から「鬱だったんだ」と言われた時もあれば、長年の友人からパニック障害であることを打ち明けられたこともあります。 そんな時、私はただ「そうなんですね」と優しく言葉を返すようにしています。 このような状況に遭遇した時、私たちが取るべき態度は、大げさなものではなく、相手の話を受け入れたと

自律神経が乱れがちな春に気を付けたいうつ病予防

春の訪れは、新たな始まりの象徴でありながら、同時に私たちの身体と心に様々な変化をもたらす時期でもあります。 気温の寒暖差や気圧の変動は、自律神経のバランスを崩しやすく、これにより様々な身体的、心理的、行動的な変化が引き起こされることがあります。 今回は、そんな春特有の体調不良や心の落ち込みに対して、どのように向き合い、うつ病を始めとした精神病に至る前に予防していくかについて、ご紹介したいと思います。 身体面の変化 春になると、倦怠感が続いたり、首や肩の凝り、胃腸の不調

自殺を望む人を止めるべきか

かつての私は、死を選ぶことはその人の尊厳に関わる選択だと考えていました。たとえば三島由紀夫のように、揺るぎない信念のもと自らの命を絶つことは、ある種尊重すべき行為であるとさえ思っていました。 しかし、年月を重ねるにつれて、その考えは変わりました。 私自身、不登校を経て引きこもり、双極性障害という病と向き合いながら、うつの淵を覗いた経験があります。その経験から言えるのは、自殺を考える人の中には、三島のような確固たる信念を持つ者はほとんどいないということです。 多くは病によ

人と自分の痛みを比べることはできない

「あの人は平気そうなのに、私は耐えられない。私はなんて弱いんだろう」 とか、 「あの人はどうしてこれしきのことが耐えられないんだろう」 と思ったことがあるだろうか。 私はある。 けれども、痛みや苦しみは、本質的に本人だけが評価できる。他人と比較することはできないものだ。 我々はそれぞれ異なる脳を持ち、世界を独自のフィルターを通して捉えている。 共感力の高い人は、他人の痛みや苦しみまで自分のことのように考えてしまうことがあるだろう。それによって、他人の経験を完全に理

うつ病が「心の風邪」は違和感がある

うつ病に対する認識は、依然として単純化されがちである。 社会的な認知は進んでいても、実際になったことが無い方からすれば想像しがたい状態だろう。 分かりやすさを求めてか、しばしば「心の風邪」と表現されるが、この表現は病の深刻さを軽視しているように感じる。 確かに、風邪という比喩はうつ病を一般の人々にとって身近なものとして捉えやすくする効果を持つかもしれないが、その一方で、治療の容易さや一時性を連想させるリスクをはらんでいる。 私自身、過去には不登校や引きこもりを経験し、

うつ病は「心が弱いから」なるものではないことを示す研究結果

慈恵医大の研究班が、うつ病を誘発し得る特定のウイルス遺伝子変異を発見したそうだ。 この科学的な進歩は、うつ病に関する社会的な誤解を解消するための一歩となる可能性がある。うつ病が単なる「甘え」や「心の弱さ」の結果でないことを、遺伝子のレベルで明らかにしているのだ。 いまだに理解のない人々の間では、うつ病になる人は繊細なんだとか、心が弱い、あるいは甘えなんだという認識が横行しているように感じる。 しかし、うつ病は単なる心理的な問題にとどまらない。 脳は複雑な生物学的機構で

他人の定規で測った幸せなんていらない

他人の物差しで測った幸せは、いつだってジャストサイズからはみ出す。私たちはよく、社会の定めた定規に自身を当てはめ、そのフィット感で幸福を計ろうとする。しかし、元引きこもりで現在プログラマとして働く私にとって、その定規はいつもゼロ点を指していた。人々が信じる「普通」という幻想に、私の人生は抗い続ける。 まず、幸せの基準は文化によって変わる。日本での「普通」とアメリカの「普通」は異なる。同じように、私の「普通」とあなたの「普通」は同じではない。私の幸せは、自分が好きなことを追求

おかしいなと思ったら見直すうつ病のサイン

今まで、自身の経験からうつ病に関する記事を書いてきました。 うつ病は心の病として多くの人が苦しむ病気です。日本では百万人を超える患者がいます。しかし、その初期の兆候は見逃されがちです。今日は、うつ病の可能性がある代表的なサインについてご紹介します。 気分の低下 慢性的な悲しみや無力感、絶望感を感じることがあります。これらはうつ病の最も典型的な兆候の一つです。 時に涙が止まらなくなったり、笑顔になれないといった自覚症状があることもあります。 興味・喜びの喪失 かつて

逃げるのは恥じゃないし役に立つ

うつ病や不安障害などになりやすい性格のことを、精神疾患の原因と捉え、「病前性格」とする説が昔から提唱されています。 例えばうつ病になりやすい方は「真面目で責任感が強い」とよく言われますが、多くの場合そうした方はネガティブな出来事に対する動揺が平均的な人に比べて大きく、ストレスの対処が苦手であると考えられます。 その一因として、真面目で責任感が強いゆえに、辛い状況でも逃げずに頑張ってしまうということが挙げられるかもしれません。 現代社会において、常に最善を尽くし、限界へ挑

2023年のメンタルケア系人気記事【#こころの健康】

最近頻繁に2023年の振り返り記事を書いている今日この頃です。 金曜日は「こころの健康」に関する記事をお届けしていますが、今日は2023年最後の金曜日ということで、今年好評だった「こころの健康」に関する記事をいくつかご紹介します。 精神科の世間的なイメージがまだ悪いようなので、なるべく読んだ方の精神科に対するイメージが向上して、必要な時、気楽に受診できるようになることを目的として書いた記事でした。うつ病などの精神疾患は、辛くても我慢してしまう方が多いと思いますが、それは本

人生が楽しくないとき

日々の生活を送る中で、なんだか毎日がつまらないと感じる時もある。 人間は、単調で変化のない日々によって刺激に飢えたり、あまりにも物事がうまく進まないと、「人生が楽しくない」と感じる。 その原因は多岐に渡る。単調で変化のない毎日、夢や目標を見失っていること、体調の問題や乱れた生活バランス、人間関係の乏しさなどだ。すべてに対する特効薬はないが、この記事では、どう乗り越えていくべきかのヒントをご紹介しようと思う。 まず、自分自身に向き合うことが重要である。瞑想や自問自答を行うこ

「悩みを相談する友達」はいなくてもいい

 皆さんは何か困ったことや悩みがある時、友人などに相談するタイプだろうか。私自身はあまり他人を頼らないが、何事においても友人や家族に相談してから決めるというタイプの方が存在することも知っている。  一方で、友人が少なく、悩みがあっても相談相手がいないということで、さらに追い詰められ、思い悩む方もいるだろう。  しかし、「悩み事を相談する」ということが、問題解決において必ずしも有効かというと、そんなことはない。  実際的な問題解決の一手法として「相談」を用いることもできる