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社員の定着率を高めるにはオンボーディングがすごく大事だという話

今年の8月に、語学学習アプリを展開する『Duolingo』に入社しました。そして最近、ようやくオンボーディングが完了しました。(オンボーディングは新入社員向けプログラムのようなものです)

そこで感じたのが、「オンボーディングめっちゃ大事!」ということ。入社してまだ1ヶ月で、且つリモート業務ですが、すでに「チームの一員」になれたと感じています。

Duolingoはテックスタートアップにしては珍しく、平均勤続年数7年、従業員定着率95%超(!)の企業です。ちなみにシリコンバレースタートアップの平均は約2〜3年(もうちょっと短いかな...Airbnbで2年半。)ちなみにちなみにDuolingoは設立から8年程度の企業。つまりほとんどの従業員が辞めていないのです。

Duolingoの驚異的な従業員定着率の要因のひとつに、このしっかりしたオンボーディングがあるのでは、と感じました。

実際、適切な新人研修によって社員の離職率が改善された実験例もあります。

新入社員の視点に立つと、オンボーディングには、いろいろなメリットがあります。会社のルールが覚えられる、雰囲気に慣れる、早く戦力になれる、など。しかし最も重要なのは「会社が自分のことをちゃんと思ってくれている」と感じられることではないでしょうか。

会社と個人の間に、深い精神的なつながりが持てると、心理的安全性が増し、ひいては会社に長く定着することにつながるのではと思います。

ではどんなオンボーディングか良いのか。自分が個人的にDuolingoで体験したオンボーディングプロセスを紹介したいと思います。

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オンボーディングシート

入社前に、上司(CMO)からオンボーディングガイドが送られてきました。Google Documentにずらーっと案内が書いてあるのですが、驚いたのはそのボリューム。とにかく量がすごい。ガイド単体でも14ページの分量。さらに、各項目にはリンクがあり、リンク先のドキュメントもすごい量...
全て消化するのに数週間かかりました。

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嬉しかったのは、「自分向け」にオンボーディングガイドが書かれていたことです。自分の名前が入っていて、役職やメンターの名前、自分向けのオリジナル挨拶が盛り込まれていました。小さなことですが、大切に思ってくれているんだな、と感じられました。

内容は、入社に当たっての心構えから始まり、僕の(そう、僕個人の)役割や期待していること、組織図、会社の行動指針など、多岐にわたりました。印象的だったのはIntroductionに「Tips for Success」が紹介されていたこと。要約すると、

・まずリラックスすること。仕事始めはみんな大変だから。
・焦らないこと。無理に最初にインパクトを残そうとしない。この冒険はスプリントじゃなくてマラソン
・たくさん質問すること。あなたが思っているより、もっと。質問しすぎて悪いことはない。

冒頭にこう言われることで、心理的にかなり楽になりました。また、自分の最初の2週間の目標が定義されていたのも、ありがたかったです。おかげでやるべきことがクリアになりました。

My 20 Questions

その名の通り、「私の20の質問」に答えるシートが用意されていました。「なぜDuolingoに入ったの?」「この会社でなにを達成したい?」などの会社に関連する質問から「あなたの仕事スタイルを説明すると?」「ストレスが溜まるとどうしてる?」といったパーソナルな質問まで。ドキュメントに回答を記入していきます。

自分のシートだけではなく、上司や他の同僚の回答ドキュメントも揃っているので、手っ取り早くチームメンバーのことが知れます。これは助かりました。

例えば上司は、「賛成できない意見を聞くと、無意識のうちに顔をしかめてしまう癖がある」と書いていました。実際に会議で顔をしかめているのを見て、「なるほど、賛成していないのか」と微笑ましく感じました。

My 20 Questionsは相互理解に役立ちます。やって損はないので、全ての会社にお勧めしたいです。

ドキュメントを記入したあとに、上司と1on1をおこなったのですが、上司が僕の回答内容について嬉しそうに話してくれたのがとてもうれしかったです。「そうね、パワポは、苦手なら無理してつくらなくてもいいわ」

ストレングスファインダー

才能診断ツールのようなものです。受験者の持つ資質を明らかにしてくれる類のもの。こちらも受けさせられました。

新入社員の立場からすると、自分の特性をチームに理解してもらえるのは安心感があります。「俺は戦略思考が強いんだ」なんて変にアピールする必要もなくなるので。(する機会もないと思いますが)

また、チーム全員の資質がスプレッドシートで一覧でみれるように整理されていました。これもメンバーを理解するのにかなり役立ちました。

1on1

誇張抜きに、30人以上との1on1を入れるように推奨されました。オンボーディングガイドに、ご丁寧に「会うべき人リスト」が書かれていて、しかも誰と優先的に会うべきかも書かれていました。

正直ほとんどの時間がここに取られたので、「戦略プランが立てられない!」と焦ったりもしたのですが、そもそも最初の1ヶ月でプランを立てること自体、求められていなかったのです。

これこそが、ガイドラインにあった「スプリントではなくマラソン」で言い表したかったことなのだと理解しました。まず会社のことを理解すること、そして自分を理解してもらうことが何よりも重要なんだ、と。1on1の嵐は、そんなメッセージのあらわれだったような気がしています。

1on1では役職関係なく、みんなすごく丁寧に接してくれました。おかげでいろいろな人と知り合えて、心理的にもかなり楽になりました。やはり、いきなりSlack上でコミュニケーションを取るのは心理的にもハードルが高いものです。リモートだとなおさら。業務の話に入ってしまう前に、1on1でじっくりとお互いのバックグラウンドや趣味などを(30人分!)話せたのは、とてもいい時間でした。

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以上が大まかなオンボーディングプロセスです。ここに盛り込めなかったものもたくさんあります。是非とも紹介したいので、それはまたの機会に。

このオンボーディングのおかげで、今、本当に楽しく過ごせています。不必要な焦りやプレッシャーもないし、チームの一員としてやる気に溢れています。考えてみれば、まだ誰ともフィジカルに会ったことが無いのにそう思えるのって、すごいことだなーと思います。

毎日を一人で過ごしているにも関わらず、モチベーション高くいられるのは、このオンボーディングがあったからです。現に他の新入社員も、みんな口を揃えて「すでに自分史上最高の会社」と言っています。当面、みんな辞めることはなさそうです。

オンボーディングは、従業員の定着率に役立つ ー
新入社員の入社体験について、見つめ直すきっかけになれば幸いです。

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