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入社半年の振り返り

8月にDuolingoに入社してから早いもので半年が経ちました。

マメに更新しようと思っていたブログも気づけば半年でたったの4記事。ブログの更新はさっぱりでしたが、Duolingoのマーケティング活動に関しては精力的に活動してきました。

ざっとこの半年を振り返ってみたいとおもいます。

半年の成果

まずこの半年の成果ですが、アクティブユーザー数が順調に増加し、直近1月でYoY60%+の成長を達成しました。
Q1(1-3月期)のOKR目標も無事、1月末時点で前倒しで達成することができました。
App Storeの「教育」カテゴリでも何度かランキング1位を記録しました。

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やってきたこと

Duolingoの日本オフィスには僕しかいません。たった1人の活動なので、どこにリソースを投入して、どこにしないかを意識してきました。例えば新規ユーザー獲得はがんばるけど、コミュニティマネジメントはやらない(やれない)、といった具合です。
やってきたことを大きく2つに分けると、「DLを増やす定常的な施策」と「認知をあげる施策」です。

DLを増やす定常的な施策は主に①Performance Marketingのテコ入れ、②ASO最適化、③YouTuberとのタイアップです。細かい施策内容は割愛しますが、これらの主なハイライトは:
- Performance Marketing:獲得効率20%改善
- ASO:ビッグワードの「英語」で1位獲得
- YouTuberタイアップ:21件実施。DL数増加に貢献大

ここら辺は機会があればまた別途。

ほかにも、定常的なPR活動、Twitterアカウント開設、日本本格参入リリースなどいろいろとやっていました。

認知をあげる施策は、年末年始に比較的大規模なキャンペーンを(といっても予算が限られていたのでデジタルのみで)実施しました。

やはり大きなハイライトはこの年末年始キャンペーンでした。この施策に連なる背景から振り返っていきたいと思います。

戦略

マーケティング投資の大部分は「認知向上」に割り振ることにしていました。この意思決定は、みなさんおなじみの「9 Segmap分析」にすごく助けられました。現状が構造化されてわかりやすく可視化できたので、注力すべき領域が一目瞭然でした。おかげで本国への説明も容易でした。

未認知層、及び認知/消極顧客のボリューム、競合の状況、自社ファネルの健全性を鑑みると、認知が上がれば高い確率でブランドが伸びると判断できました。余談ですが、カテゴリー内のプレファレンスも認知に大きな影響を受けていました。ある意味ダブルジョパディがここでも見られた形です。ここらへんの詳細は未来に書くかもしれない記事で。

調査〜分析

次は、誰に何を伝えるべきか。認知を上げると言っても、無目的にブランド名を覚えてもらえばいいわけではありません。独自のベネフィットはなにか、それを誰に伝えるべきか。立ち上げ時期はこの調査/分析に大半の時間を費やしました。

大きな転機はひとりのヘビーユーザーとの会話でした。インタビュー中、そのユーザーさんは「毎日お風呂でDuolingoをしているんです」と発言されたのですが、僕はさほど気にせず「お風呂でスマホいじるんですね(大丈夫?水没しない?)」と適当に相槌を打ってそのやりとりを終わらせてしまいました。そのときは何も思わなかったのですが、インタビューが終わって振り返りをしているうちに違和感に気づきました。

あれ、おかしい。英語の学習は脳みそを使う行為。一方でお風呂は、一日の最後にゆっくり浸かる、もっともリラックスしたい場所のはず。交感神経から副交感神経にスイッチを切り替える大切な時間。そんなぼーっとしたいときに、なぜ語学アプリを使う?副交感神経優位にならないじゃないか。

不思議に思ったのでもう一度その方に電話しました。
「さっきお風呂でDuolingoやってるって言ってましたけど、なぜですか?」「なぜって言われても...僕はもともとお風呂でInstagramとか眺めるの好きなんで、そんな感覚ですかね」

この瞬間、全てが繋がりました。それまでもほかのインタビューで、寝る前にベッドのなか、起き抜けのベッドのなか、モーニングコーヒーと一緒に、といったシーンでDuolingoを使っている方々を見てきました。そのときは「スマホだからいつでもできる」程度の利点にしか思っていませんでしたが、いやいや、みんなリラックスするべき時間にDuolingoを使っているじゃないか!

そうか、Duolingoは語学アプリだけど、勉強じゃないんだ。それまで点在していた情報がすべてつながって、一本の線になりました。

どんなデスクリサーチをしても、英語を学びたい/話せるようになりたいという人は70~80%います。人口に直すとざっくり8,800万人。一方、国内の外国語学習者は一般的に13%、1,700万人と言われています。差分の7,100万人がどこにいるのかがずっと疑問でした

この疑問をインタビューと照らし合わせると、見えてきたのは「多くの人は英語(外国語)を学びたいけど、勉強はしたくない」というインサイトでした。この気持ちはすごくわかります。「勉強」になってしまうと一気にハードルが高くなる。参考書ひらくのしんどいですもん。本についているCDも再生したことないです。

そんなインサイトに対して、Duolingoは「ぼーっとしながらでも英語(外国語)が学べる」という圧倒的なベネフィットがある。とてもユニークだし、魅力的。強い軸がみつかりました。

キャンペーン制作

この軸をどう年末年始のキャンペーンに生かすか。どうやったらこのベネフィットにクリエイティブなツイストを加えられるか、が焦点でした。

代理店と喧々諤々の議論の日々。あれ、日本人の9割が新年の抱負をたてるけど、8割が結局正月をごろごろ過ごしてしまう?いいじゃないか、Duolingoがあればゴロゴロしながらでも英語が学べる。日本の寝正月を全肯定だ。そうだ、それでいこう。「ゴロゴロしながら英語が学べるアプリ」だ。

このコンセプトをもとに、信頼するクリエイティブディレクターにブリーフィングしました。(ブリーフィングの書き方はこちらの記事をどうぞ)

「これはゴロゴロしながら英語が学べるアプリです。(カテゴリーベネフィットが伴った)Duolingoのブランド名と、このアイディアがしっかり伝わるクリエイティブをお願いします。」

そうしてできたのが、このゴロゴロビデオ。笑いが止まりませんでした。

後々聞いた話ですが、このブリーフをもらったときは「水谷さん、なに言ってるんだろう」と思っていたみたいです。でもつくりはじめたら「なるほど、そういうことか」と意味がわかったとか。感謝です。

グローバルチームに初めてお披露目したとき、画面越しに全員爆笑。ミーティングが終わった後もSlackのDMで「ずっとあの曲が頭から離れないんだ」と連絡がくるほどでした。

動画ローンチに畳みかけるように、Twitterでのキャンペーンも展開。冬のゴロゴロを応援するプレゼントキャンペーンとして、「人をダメにするソファYogibo」が当たる施策を実施しました。


キャンペーン全体の結果は上述の通り、ストアのカテゴリーランキング1位。YoY 60%+成長。そして1~3月期の目標を前倒しで達成することができました。

オンライン動画広告は想定したシミュレーションを上回る結果となり、ブランドリフトサーベイでも明確なリフトが見られました。

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半年はあっという間に過ぎてしまいましたが、立ち上げ時期にしっかりとした調査/分析ができたおかげで、プランニングで迷うことがありませんでした。目先の施策に振り回されたり、手当たり次第に脈絡なくあれこれ手をつけることも避けられました。こういう沼みたいな状況に陥ってしまうと精神的に辛いので、最初に軸をつくれたのは本当によかったです。


そして2月16日からまた新たな発表もおこないます。多くの方に有益となる発表ですので、楽しみにしていてください。

P.S. 韓国市場も見ることになりました。なにも分からないことだらけなので助けてください。

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