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「とにかくリングに立ち続ける」瞬発力で道を切り拓いてきた建築会社総務の『バイタリティの根源』

白北地域に移住して6年、蘇原にある鈴村建築㈱さんにお勤めの舩橋 良太(ふなはし りょうた)さん。

激動のキャリアと、そのハードルを乗り越えてきたバイタリティの源となる考え方。そしてお子さんを持つ移住者からみた、町のリアルとその想いをお聞きしました!

ー 明日休みかどうかは、当日の23時に決まる


ーー良太さん、宜しくお願いします!
 蘇原にある建築会社、鈴村建築さんにお勤めとのことですが…営業さんですか?(笑)

まあ、ある意味営業ですね(笑)鈴村建築のInstagramアカウントは僕が主にやっているので。

ーー話しやすい雰囲気から、営業さんだと決めつけてすみません(笑)アカウント拝見しています!フォロワー数もすごいですね。

笑顔から親しみやすさがあふれ出ています

SNS経由の受注も増えてきましたが、なんとかやってます(笑)ただ、今は総務や経理の仕事がメインです。あと、宅建の資格を取って新しく不動産業もはじめましたね。

ーー金額の大きい建築案件を、SNSで受注されているのはすごいですね!SNS運用や不動産業は、良太さんが会社にご提案されたんですか?

大枠はそうですね。熱意をもってプレゼンすればやらせてくれる環境があるので、非常にありがたいです!会社としても新しい営業方法を模索していたので、僕の提案だけでなく社長の舵取りあってこそですが。

ーーやっぱり営業さん特有の推進力を感じます!キャリアとしては建築関係が長いんでしょうか?

今の会社が初めてです(笑)
ただ1社目は建築業界とは近しい不動産業界で、営業をやっていました。つとめた会社は、過去大きな問題が発覚して全国的に良くないニュースが流れていた所なんですけどね…。

ーーそうだったんですね…。少し前の時代の不動産会社というと、ノルマもかなりきつそうな…。

鈴村建築さんでのお写真。荒波を越えてきた凛々しさを感じる

売れないやつの人権はない、って感じでしたね(苦笑)明日が休みかどうかは、その日の23時頃にきまる程のハードワークでした…。

「1年目から年収1,000万!」という広告の謳い文句に惹かれて、会社を決めたのが運命の分かれ道でしたね(笑)

ーー23時って、ほぼ翌日!(笑)1社目からハードモードすぎる!!今の時代でいうと所謂『ブラック』…。乗り越えられる人は多くなさそうですが、ビジネスマンとしては尋常じゃなく鍛えられそうです。

かなり鍛えられましたね~。あと、売れた時の報酬はすごく良かったです(笑)やりがいも感じていましたし、ちょっと会社に染まりかけてたかも…。

ただ、ニュースになった問題案件の対応をしているうちに『これは倫理的に大丈夫なんだろうか…?』と疑問に思ってきたので、その瞬間にスパっと辞めましたね!

あの頃を思い出す良太さん。左手には白川茶。

ーー染まりかけている所を踏みとどまったんですね。しかも気づいたら行動がはやい!白川町に移住されたのは、その会社を辞めた後ですか?

ー 「世の中のこと、なめてるかもしれませんね」


白川町に移住したのは、もう1社経てからですね。その1社は実は父親の会社だったんですけど。

ーー親御さんは経営者だったんですね!良太さんの決断の早さと提案力は、親御さんの影響もあるような。

たしかに商売人の息子っていうのはあるかもしれませんね!父親が珈琲の卸し、母親が喫茶店をやっていました。

庭には自作のピザ窯も。「面白そう!」と思ったらすぐに自分でやってみる良太さん

ーー今までのお話からも、親御さん譲りのバイタリティをひしひしと感じます。お父さんが立ち上げた会社ではどんな仕事をされていたんですか?

そこでも営業をやっていました。新規開拓先を探すというミッションがあって中々大変でしたね。ただ『ガイアの夜明け』で道が拓けました。

ーーえ、テレビ番組の『ガイアの夜明け』ですか??

はい、たぶんガイアの夜明けでした(笑)

番組で地方のスーパーの特集を見たんです。そういったローカルなスーパーって、こだわった商品を置くことで特徴をだしている所が多いので「ウチの商品はいけるんじゃないか?」と思って、すぐアプローチをかけました。

ーービジネス系の番組見て実際にすぐ行動する人に始めてお会いしました(笑)どれくらい前のことですか?

もう10年くらい前になりますが、その時からウガンダの契約農園でとれたオーガニック珈琲を扱っていたのでマッチするんじゃないかと思ったんです。

ーー10年くらい前に!それはかなり時代の先を行っていますね。オーガニックが脚光を浴び始めたのはつい最近ですもんね。

そうなんです。それが結構うまくいって…芋づる式に開拓先が増えました(笑)もちろん私だけの力じゃないですが。

ーーでも、テレビを見てすぐに行動にうつすことが出来る人は少ないと思います!1社目から今まで一貫して、すごい行動力と瞬発力ですね…!

いやいや、そこまでじゃないですが…世の中のことは、なめてるかもしれませんね(笑)

ーーえ、そうなんですか?(笑)世の中なめてたら営業で成果あげるのは難しそうですが…

高校の時ボクシングをやっていたのですが、始めたキッカケも『ガチンコファイトクラブ』というテレビ番組を見て「このレベルならおれでも勝てそう」と思って始めましたから(笑)

「あの頃はもっと、なめてましたねぇ」

ーー確かになめてる…(笑)それ、チャンピオンがドキュメンタリー番組で若い頃振り返って言うセリフですもん(笑)

ほんとなめてますよね。それで後々痛い目みることになるんですが(笑)

ボクシングは別にしても、会社員だったらよほどの事がない限り仕事で死ぬことはないじゃないですか?ダメだったらダメで方向展開すればいいので、とにかくリングに立ち続けることが重要だなと思っています。

ーーなるほど、「いつか勝つ」という覚悟があるからこその行動力なんですね。

そうですね…。「うまくいかないこと」が嫌なので戦法は色々考えますね。ある意味わがままなのかもしれません。

でも、実際はうまく行かないことばっかりですけどね(笑)

ー わずらわしいと思う人は向いてない


ーーその会社を経てから、白川町に移住されたんですよね?良太さんの移住のキッカケ、全然想像つきません(笑)

その会社が新規事業として農業を始めたんです。その農業をやっている時に「田舎ってイイナ~」と思ったので会社辞めて無職で移住しました。

ーー無職で!また行動が早い!激動のキャリアから、農業への緩急が凄まじいです(笑)

農業をやっている時のふと見上げた空とか、田畑の空気感とかを感じて…これからは田舎でやっていくのもいいなと思ったんです。単純に癒されたのもありますが、子供が出来た時の環境や新しい環境へのシフトも面白いなって。

今では田舎の必須スキル草刈り機も余裕で使いこなす(ヤゴー取材班に無理やりもたされた)

ーーなるほど、今までの仕事で全力を尽くしてきたからこそ、新しい環境への道が拓けたんですね。決断してからすぐ仕事を辞めて白川町に?

いいえ、同じ岐阜でいうと『郡上市』や『山県市』も見に行ったんです。でも当時のご担当の長尾さん(現・白川町役場企画課 課長)が、「こうゆう物件はどうですか?」など白川町を見に行った後もよく連絡をくださって。本当によくしてもらったので、白川町に決めようと思いました。

無職で(笑)

ーー行動力が振り切れてますね(笑)でも、前は愛知の都会に住んでらしたんですよね。環境の変化は大変じゃなかったですか?

そんなに大変じゃなかったですね。仕事も割りとすぐに決まりましたし、引っ越したはじめの頃から、今住んでいる白北地域や同じ集落の人も良くしてくれたので。

今までは無かった『仕事以外の交流』が増えて楽しいですよ。

自宅の真下に流れる佐見川(白北地域と佐見地域は隣接している)

ーーいわゆる『田舎の付き合い』ですね。そういった事がわずらわしいと思う方もいらっしゃると思いますが…。

そういった付き合いをわずらわしいと思う人は、田舎に向いていないと思いますね。付き合っていて悪い人はいないし、会社の人達含めてみんな良くしてくれるので有難いです。頻繁に断ってなければ自然にお誘いがあって、退屈しないですもん。

ーーお祭りや消防団の活動等々ですよね。確かに地域の活動は時間を割かれることも多いですが、エンタメ的に見ても都会では簡単に味わえない体験が多いですよね。

ー秘境みたいになるのも面白い


ーー田舎の環境を愉しんでいらっしゃるとはいえ、困ることは少なからずあると思います。ぶっちゃけ「ここは困るな~」っていう所はありますか?

そうですね…。4歳の子供が保育園に通っているのですが、保育園に通う子供の人数が少なく友達が少ないとが心配のタネではありますね。

ーー白北保育園ですよね?同級生は何人くらいですか?

3人ですね。今はいいかもしれませんが、町外の高校に進学して同級生の人数が多くなった時に少し心配です。

良太さんに瓜二つなお子さん、悠馬(はるま)くん

ーー同級生が3人……それは少ないですね…。高校で同級生の人数が増えた時、コミュニケーションや関係性づくりに馴れるまで大変かもしれませんね。(リアルな問題だ…)

高校が町内にないので「どうしようかな…」と思いますね。子供のことを考えると心配ですが、町のことを考えると人が少ないのはしょうがないですしね。

住んでみてわかったことですが、実際に人をガンガン増やしていくのは現実的じゃないように思いますから。

ーー他の町もそうですが、実際に移住者数が転出者数を上回るのは厳しいですよね。緩やかにすることはできるかもしれませんが。

だったら、むしろ人が少ないことをメリットにして『秘境』みたいになったら面白いんじゃないかと思いますね!年1回くらい41号線(国道)を止めてフェスとかイベントをやる、とか(笑)

ご自宅の目の前には、眼下にひろがる佐見川と風吹き抜ける爽快な林の風景

ー秘境フェス面白そう!人がすくないからこそ出来る事、その可能性を探ることは白川町でももっと重要になってくる気がします!

「人が減ったことを楽しもう!」と思えたらいいですよね~。

ーーその想いのもと町をフィールドにして色々なことが出来たら、日本の全田舎がうらやむ白川町をつくれるかもしれませんね!

良太さんの行動力・提案力があれば町の活性化も進みそう…是非ヤゴーでも一緒にやりましょう(笑)

いやいや、今は目の前の仕事で一杯一杯です(笑)
まずは今取り組んでいる不動産の仕事を軌道にのせることが第一です!

ほんと、売りたい物件あったら教えてください(笑)

ーー先走り失礼しました(笑)

 是非この記事を見てくれている方で、いい物件をお持ちの方は鈴村建築さんのInstagramにDMをお願いします(笑)

良太さん、本日はありがとうございました!

鈴村建築の皆さんと

鈴村建築株式会社
Instagram:https://www.instagram.com/suzumurakentiku/
公式HP:👇

取材執筆:纐纈 翼 @tsubabo_sakuraya
写真:榊間 歩 @ratatoskr_617
編集:宮澤 優輝@yuki_m_629

取材月:2022.07
※記事中の年月は取材当時のもの。